みんな大好きカレー味
「今日のおむすびのおかずはお芋です」
よく考えたら、焼き鳥缶とか角煮缶もあったな、って思ったけど、この芋で売り上げに影響があるようなら、それはそれでリサーチになるかな。
「えぇー、肉じゃないの?」
「ごめんねー」
「えー、肉食いたかった……」
ぶちぶち言いながらも、お買い上げありがとうございます。
すっかり常連となっているゲルキが率先して買うと、他の兵士もわらわらとおむすびを買ってくれた。
「銅貨5枚で肉までついてくるのが得といえば得だったけどな」
「腹持ちと味を考えるとな……って」
笑いながら包みを解いていた面々が無言になる。
「え、これって……」
カレー味、ブレッドにも領主様のとこでも好評っぽかったからいけると思ったんだけど、なんかダメだった!?
「すっげえ香辛料! 贅沢すぎだろ!?」
「うわぁ、いい香りー。これで肉食いてー」
「そうだ、肉! 肉買ってこい! このおむすびと一緒なら、ちょっと匂いのきつい安い串焼きでもうまく食えるだろ!?」
兵士たちはバタバタと串焼き肉を買いに走り、自分でトッピングしておむすびを食べている。
「うっめえええ! 何これ。こんなに香辛料使ってていつもと同じ値段でいいの!?」
「いや、まぁ……うん」
……芋をおかずにした場合のリサーチにならなそうね?
「はぁあ、こんな贅沢するならおかずが肉じゃなくなるのも納得だよ。それなのに、同じ値段同じ大きさって、ずいぶん無理してるんじゃないのか?」
「……故郷から持ち込んだ保存食を利用してるから、仕入れのお金はかかってないんだ」
「それにしても、こんだけの香辛料なら売れば結構な金になるんじゃ?」
「使ってる保存食にすでに香辛料で味が付いてるのよ」
「それじゃ、香辛料だけ売るってわけにはいかないのか」
おばあちゃんの遺産にあった赤缶のカレー粉なんて小分けで売れそうな気もするけど、その場合どうやって小分けにするのさ、という問題がね。小さい缶がたくさんじゃなくて、業務用なのか10kgの角缶1個と、2kgの角缶1個と400gの角缶20個入り1ケース。よく見るサイズよりも一回りちっちゃい缶でさえ、2~3回はそれなりの量のカレーを作れるのに何人前のカレーを作る気だったの。
日本より湿度は低いみたいだし、小皿とかでもいけそうな気もするものの、その場合購買層はどこなのよ、みたいな。
それこそ、缶ひとつなんて、ある中で一番小さい400gでも、貴族でもなければ売れない値段になりそう。試しに空き缶とペットボトルを引き取ってもらう時に、オウデルハインダーさんちに一缶買ってもらおうかな。
そんなことを考えている間にカレーうどんおむすびは売り切れた。
「リサ、今日はかれー味のおむすびなのか?」
「そうなんだけど、売り切れちゃった」
「そ、そうか……」
今日は珍しく遅くなったブレッドは見るからにガッカリしている。
「今日のわたし用の試作もカレー味なんだけど、半分食べる?」
「あ、あぁ!」
他のお客さんには見られないようにこそっと半分こした。
だって明らかに贔屓になるもんね。
取り置きも考えなくもなかったけど、押し売りみたいになるのもなんだし、この辺りは加減が難しい。
飽きってある日突然くるもんな。
その点、飽きもせずに皆勤賞のブレッドとゲルキはすごいと思う。
売ってるわたしなんかもう飽き飽きなのに。
「うまっ。やっぱりかれー味は美味いな」
レトルトもあるし、今度うちに来る時はカレーをご馳走しようかな。
キャンプでカレーって王道にして基本、みたいなとこない?
長期保存食にもバッチリカレーはラインナップされてるし。
カレー粉のこともあるし、そのうちおむすびだけじゃなくて、汁物の日とか作ってもいいかもな。
その前に器を揃えなきゃだし、器の運搬をどうするか考えなくちゃだけど。
水魔法で洗って使い回すにしても、粥屋でよく使われる木の器なんか明らかに量があったら重いよね。
悩むところだ。
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