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今日から使える異世界ライフハック  作者: 白生荼汰


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おむすび屋さん開店

あけましておめでとうございます。


おむすび屋さんもやっと開店しました!

本年もぼちぼち更新していくつもりです。

 あれこれ考えても、とりあえずやることは決まっているのだし、畑も一応ひと段落ついた。

 なので今日からおむすび屋を始めるべく、今朝は五合のお米を研いだ。

 まだカップ麺は食べる気になれなくて、朝食はうどんにする。めんつゆだけの素うどんで十分美味しい。ネギくらいは入れるべきだったかな。

 おむすびだけで500円というのも気がひけて、一口サイズのベーコンを二切れと干し大根の浅漬けを少し添える。イメージ的にはコンビニのおにぎり弁当だ。

 カップ麺の具を5個分刻み、麺を細かく砕くのは地味に面倒くさい。

 そのうち慣れてきたら野菜のおかずも売ってもいいな、なんて夢想していたのが一気に醒めた。なんなら、これからベーコンを焼くのがもう面倒くさい。

 いや、でも、おむすびだけで500円はぼったくりすぎな気がする。おむすびなら卵焼きとソーセージを付けたいところだ。まだベーコンはあるから明日もベーコンでいいとして今後のおかずはどうしよう。

 今日はちょうど星の日だし、明後日以降用に豚肉を買ってこなきゃね。頼めば鶏肉とかも仕入れてくれるんだっけ?

 一週間分だと考えたら、また小銀貨一枚分くらい買ってこなきゃダメかしら。

 あ、でもベーコンにするなら漬け込み時間が足りない? 見切り発車はこれだからもう。次に買うのはバラ肉じゃなくて肩ロースとかがいいかな。

 ダッチオーブン様は上手にふっくらごはんを炊いてくれた。

 屋台をどうするか考えて、立ち売り箱を作ってみた。昔の駅弁売りの人とか、文化祭で歩き回りながら焼きそばなんかを売る時のあれだ。

 カップ麺が入っていたダンボールを再利用して、下げ紐を付けただけの簡単な作りだけど、おむすび8食分くらいなら問題なく載せられる。8食分というのはお米5合とカップ麺5個で大体16個のおむすびになる計算だからだ。

 折りたたみテーブルと椅子とかでも良かったんだけど、往復が山道だからなるべく荷物は軽くしたかった。それに、あちら仕様のテーブルと椅子なんて、変なやつに目をつけられそうで怖い。その点、ダンボールはただの箱だからね。近づいてよく見なければ紙だとはわかるまい。

 門前について、身支度を軽く整え直し、髪をにんじんで染めたサラシで覆う。制服なんてなくても気分的にメリハリをつけたくて、おむすびを売る間はこのサラシを身につけ、売り切れたり休憩の時は外すようにしようかな、って。

「おはようございます」

「おはよう。いい色の布を被ってるな」

 今朝の門番もワフタだった。

 わたしが挨拶をすると、笑顔で挨拶を返してくれる。

「これからおむすびを売る間は、この布を被っておこうかと思って」

「それを身につけてる時は売り物があるってことか。そりゃいいな。で、いくらだい?」

「一人前銅貨5枚で売るつもり」

「少し贅沢だが開店祝いだ。俺もひとつ買ってやろうかね」

「わぁ、ありがとう!」

 早速ひとつ売れた。

 嬉しい。


 朝市について、粥屋のおじさんを探す。

「おはようございます」

「おう、リサおはよう。今朝からかい?」

「はい」

「なら、ご祝儀だ。ひとつくんな」

「ありがとうございます!」

 粥屋のおじさんもおむすびを買ってくれた。

「その、知り合いがいないので、隣で売ってもいいですか?」

「嫌だねー。強力な商売敵だ。ま、いいや。面倒見てやるから、隣においでな」

 冗談を言いながらおじさんが受け入れてくれる。

「そういや、俺は名乗ってもいなかったな。ご存知、食堂のブッケだ。頭のそれは俺の真似かい?」

「あ、そういえば」

 頭に布を巻いている人は他にもいるけれど、女の人はたいていバブーシュカか三角巾みたいに巻いていて、手ぬぐい状の布をラーメン屋スタイルで巻いている人は見ない。端がヒラヒラするのがイヤだっただけなんだけど、同じような巻き方をしているのは男性だけだ。

「いい色だな。よく似合っている」

「ありがとうございます」

 さて、立ち売り箱におむすびを並べて立ち上がる。

「いらっしゃいませー。おむすびはいかがですか? すぐに食べられておなかにたまる異国の料理です」

 わたしが呼び込みの声を上げると、ブッケはポカンとして、それから笑い出した。

「こいつはいいや。元気がよくて、俺のとこにも客が来そうだ」

「え、おかしかった? 朝市では呼び込みとかしないもの?」

「いいや、したっていいさ。ただ子どもはよくやるが、リサがそこまでできるとは思ってなかっただけさ」

 うぉう、恥ずかしい。

 呼び込みって大人はやらないものだったのか。

「おはよう、リサ。今日からか。遠くからでも声がよく聞こえた」

 楽しそうにブレッドがやってきた。

「一番に買いに来た」

「残念。一番に買ったのは俺だな」

「じゃあ、二番?」

「一番はワフタかな? 朝、門で買ってくれたから」

「それはずるいだろ!」

 ガックリするブレッドに笑っていると、ブレッドと同じく朝の鍛錬を終えたらしい兵士たちがやってきた。

「あ、この間のお姉さん。何か売ってるの?」

「おむすびという異国の料理だ。美味いぞ」

 何故か、ブレッドがドヤ顔で紹介してくれる。

「一食銅貨5枚です」

「う、ちょっと高いな。でも試しに買ってみるか」

「それじゃ、俺も」

「俺も俺も」

 ゲルキもひとつ買ってくれると、一緒にいた子達も次々に買ってくれた。

「うっめぇ、なんだこの肉」

 ゲルキは買ったその場で食べ始めた。

 ……肉からいくのか。

「肉も付けたのか」

 ブッケが苦笑気味に笑う。

「おむすびだけじゃ寂しいかなって」

「そんなことはないと思うがなー」

 各々包みを開いて立ったまま食べ始めたので、注目を浴びている。

「このうぉみしび? ってヤツも美味いな。硬い粥を丸めてるのか」

「おむすび、ね。米っていう穀物を味をつけて具を入れて炊いてるの」

「おむすび、な。これ毎日売るの?」

 ゲルキはおむすびを気に入ってくれたのか、ずい、と身を乗り出してきた。

「明日は違う味で、同じくらいの時間に来るつもり」

「じゃあ明日も買いに来なきゃな」

 ほっぺたに米粒をつけてわちゃわちゃしているゲルキたちを避けて、マグもやってきた。

「あ、いたいた。今日からか。まだおむすびはあるか?」

「はい、残りふたつです」

「売れたな。急いできて良かった。ふたつとももらっていいか」

「はい。もちろん」

 おぉ、初日のご祝儀だろうけどもう売り切れた。

「うちのちびにも食わせてやりたくてな。で、明日も違う味で出すって?」

「うちにある調味料と保存食を使っているんで、ひとつの味はそんなに数を作れないので日替わりで出そうかと」

「なら明日も来なくちゃな」

 ゲルキと同じようなことを言って、マグは店に戻って行った。

「皆様のおかげで完売しました。明日もよろしくお願いします」

 ぺこり、と頭を下げて、サラシを外す。

 おぉ、と声をあげて、集まってくれた人たちが拍手してくれた。



いつも読んでいただきありがとうございます。

ブックマークや★★★★★、レビュー等で応援してもらえると嬉しいです。


どうぞよろしくお願いします。

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