水魔法と草木染め
たこ焼き粉を使った卵なしの天ぷらは、大変ジャンクかつスナッキーで、ビールを消し飛ばしてくれました。厚みのあるさつまいもの葉っぱはそのまま、にんじんの葉は身と玉ねぎを合わせたかき揚げにしたのだけど、どちらも美味しかった。
2つだけ卵は残ってるけど、なんとなく勿体無い気がして使えなかった。
卵って賞味期限長い上に、その賞味期限は生食しても大丈夫な期間で、温度変化にさえ気をつければ常温も可能なんだよね。意外に卵強い。よく聞く『腐った卵をぶつける』ってアレ、どうやって割りもせずに腐った卵を見分けてるんだろう。わざわざ塩水とかで調べて用意するんだろうか。それに持ち歩いてる時に事故ったらどうするんだろう。古くなると卵白が水っぽくなるから、ぶつけるなら新鮮な方がどぅるんとしてインパクト強い気がする。どぅるん。
「あいたたたたた」
案の定、というか、既定路線というか、今朝も全身筋肉痛で目が覚めた。
前回よりもひどい。
具体的に言うと、肩と腕がパンパンだ。
覚悟はしていたから、お風呂でより入念にセルフマッサージしていたつもりだったけど、そんなの焼け石に水だった。
ひぃひぃ言いながら身支度して、昨日間違えてお米を2合精米していたことに感謝する。
全身が筋肉痛だから、アクションが一つ減るだけでもありがたい。
「今日は農作業お休み!」
っていうか、永遠にお休みにしてしまおうか。
元気に自生してるお野菜を適当に千切って食べれば、それだけでよくない?
穴二つ掘っただけでこんなに疲労困憊になってるのに、広い畑を耕せるわけがないって。
あちこち痛む体をだましだまし、前回使ったのとは別メーカーのきつねうどんを割り砕く。
今日はもうダラダラして過ごしてやる。
ご飯のお供を作る気力もないから、セロリのピクルスだけ出して、汁物は玉ねぎとジャガイモのお味噌汁。セロリのピクルス、こんなに作っても食べきれるか心配だったのに、案外あっという間に食べきってしまった。ピクルス液はもったいないから取っておく。ソミュール液ももったいないけど、動物性たんぱくは食中毒が怖いからなー。くさやはなんで使いまわせるんだろう。
晩酌の支度をしつつ、晩酌しつつ、スモークしていたベーコンは、4時間ほど燻してみたら、塩豚から作ったベーコンよりしょっぱくて硬かった。
こちらも美味しかったけど、比べたら前回の物の方がわたしの好み。
保存性はこちらの方が高そうだけど、次回作るとしたら、もっと塩分濃度下げて作ろうかな。
この世界の加工肉ってどうなんだろう。
食堂で食べたシチューに入ってたハムは美味しかったから、アレならマグの肉屋で買う方が楽だしいいかもしれない。
あくまで趣味としてなら今後も作ってもいいけど、一回作るとそればかり消費しなきゃいけないのは辛い。使う塩の量とか気になっちゃうし、市販の加工肉をあれこれ試してから考えようっと。
美味しいベーコンがあるから、今朝は虎の子の卵を使っちゃう。
ベーコンといえば、ベーコンエッグでしょ。
このベーコンならジブリ飯みたいに分厚く切って焼いても美味しそう。
薄く切ってカリッカリに焼くのも美味しいけど、一度はやってみたいよね、分厚いベーコンステーキ。
筋肉痛で筋肉が損傷してるんだから、たっぷりたんぱく質をとらなくちゃ。
厚めに切った塩豚ベーコンを目玉焼き用フライパンでじっくり焼いて、油を出してからその油で卵を焼く。ベーコンの塩っ気があるから塩はいらないけど、胡椒はたっぷりかける。
はい、美味しそう。
本当は焼くところから、フライパンじゃなくてコンボクッカーのスキレットで焼いた方がそれっぽいけども、スキレット重いんだもん。
今日のところはフライパンで妥協する。
あ、うまー。
焼いたベーコンウマー。
塩気のあるベーコンに、ぷりぷりした白身と濃厚な黄身が絡まるの、大正義。
これは朝から飲みたくなっちゃう。
今日は休みにするつもりだし、いいか。
ビールを飲みつつ朝食を終えて、洗い物を済ませる。
「急に休み、って決めるとそれはそれで時間を持て余すなぁ」
いや、でも農作業は無理。本当に無理。
ちょっと動くだけで体がきしむもん。
いつものグリルテーブルでのぺっとして、身体を休める。
ここ、お気に入りの四阿だったはずなのに、大根とか大根の葉っぱとか、さつまいもの葉っぱと茎とか、にんじんの葉っぱとか、干しまくりで怪しい魔女の隠れ家めいてきたな。
干物女を自認してきたわたしだけど、干物女って干物を作る女、って意味だっけ?
ちなみに茶殻は即座に水魔法でカラカラにして、使用済み保存バッグで保存することにした。
そのうちコーヒー染めとか、紅茶染めとかやってみようかな。
「……にんじんの葉っぱが多すぎる」
このところ野菜本体じゃなくて葉っぱばっかり食べてる気がするけど、気のせいかな?
気のせいじゃなかった。
いやね。にんじんの葉っぱ、美味しいんだよ。
香りがよくて。
でも、香りがいいってことは癖が強いってことで、干してとっておこうと思ったのはいいけど、全部食べるのか、って言われたら、途中で飽きそうな予感がひしひしする。
夜は昨日のかき揚げとほぼ同じ構成で、粉の量増やしてベーコンも細切れにして入れてチヂミにしようかなー、なんて考えてはいるものの、そろそろ飽きそう。
にんじんの葉っぱと人参って似たような香りなわけで、葉っぱの方が香りは強いし苦みも強いから、継続して食べるなら本体の方かな、って。
かといってせっかく干してるのに、このままコンポストに突っ込むのもなーって。
……染物、やってみる?
草木染って、基本どんな植物でもできるんだって聞いたことがある。
にんじんの葉っぱでもできるんじゃないだろうか。
とりま、染めてみようかな、って思ってるのは、トリビュースで購入したパンツ。
洗濯したら生成りっぽい色になったし、なんだかちょっと綿素材じゃないっぽいから、うまくすると染まりやすかったりするかもしれない。
それにスカートの下に履く想定で買ったものだから、うっかり失敗しても問題ない。
なんで綿素材じゃなさそうなのが決め手になったかっていうと、植物性の繊維は染まりにくいって話を聞いたことがあるから。
仕事で染物をする風景を描くために、染物で有名な地方に足を延ばしてワークショップを受けたことがある。
綿や麻などの植物繊維を染めるのには、まずタンパク処理といって大豆をすりつぶした呉汁に浸して乾かすそうだ。
タンパク質が必要なら、粉ミルクでも、何ならそれこそソミュール液の残りでもできそうな気はするけど、わざわざそのために用意するのはもったいないし、ちょっと気持ち悪い。
試しにやってみようっていうだけだし、軽い気持ちで始めようか。
煮洗いに使う桶に細かく刻んでさらしで包んだにんじんの葉っぱを煮出す。
ぐつぐつ煮ていると、意外なくらいに真っ黄色な煮汁が出てきた。
アルカリ性に寄せるとよく染まるそうだから、そこに重曹を少し入れる。
しばらく染料となる液を煮詰めて色がこれ以上濃くならなくなったあたりで、パンツを入れた。
生地が染まるまでぐつぐつさせていて、ふと思いついて、水だけを取り除く。
洗濯をするときに汚れが落ちるのは、溶けた汚れごと水を取り除くからだ。
ならば、溶けている色を残したまま水を取り除き、染料を濃くしていけば、より濃く染めることができるんじゃないだろうか。
わたしの思い付きはよかったみたいで、パンツはびっくりするくらい鮮やかに染まった。
いったん冷めるまで放置した後水洗いすれば、可愛いレモンイエローのパンツに大変身だ。
え、可愛い。びっくり可愛い。
染め直したらパンツも随分可愛くなったな。
にんじんの葉をまとめておくのに使ったさらしも、綿素材なのに結構綺麗な黄色に染まっていたから、中身の葉っぱを捨てて、染料の残り液を改めて沸騰させてちゃんと染め直す。
タンパク処理してないけど、このさらしはイケたじゃーん。
染液を操作しているうちに、水魔法の使い方に関する理解が深くなってきた。
これなら、いろいろと混ざった水も今までより楽に動かせるようになる。
水魔法は、『水』を動かせる魔法なのだ。
つまり、水を通してなら、その他の物体も動かせる。
おむすび屋さんがひと段落したら、染物屋さんでもやっていけるかもしれないな。
需要があればだけど。
船とかも操作できそう。
ここにきて将来の選択肢が増えてきたな。
いつも読んでいただきありがとうございます。
ブックマークや★★★★★、レビュー等で応援してもらえると嬉しいです。
どうぞよろしくお願いします。




