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今日から使える異世界ライフハック  作者: 白生荼汰


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うどんの賞味期限

間違えて次話を公開したため、本日2話投稿になっております。

完全にストックないなった(・ω・`)

 昨日に引き続き雨。

 夕飯を控えめにしたせいか、めっちゃお腹すいた。

 ご飯炊けるの待ち切れないし、封を開けた半生うどんもそろそろ使いきっちゃいたいし、塩豚の茹で汁を生かしてあったかいおうどんにする。ネギと白菜と茹でた塩豚のうどんに、カップ麺で余った七味を入れる。

「げ、マジ!?」

 食べ終わってからなんとなく空袋を確認して、カップ麺より賞味期限が短いのに今更気付いた。

 半生なんだもん、そりゃそうか。

 300g入りが残り7袋。賞味期限はあと2ヶ月ちょっとってとこ。

 21食分なら、カップ麺よりは飽きずに食べられるだろうし、なんとかなるかな。付属のめんつゆは幸い一年くらい持つから当面は大丈夫そう。

 不安になって、スパゲティと乾麺のかんざしうどんを確認したら、スパゲティはだいたい3年、うどんは2年持つみたいでホッとした。スパゲティは業務用5kgが3袋、かんざしうどんは1kgあるんだけどね。

 スパゲティは開けたらペットボトル保存確定なんだけど、かんざしうどんは保存袋に残数あるうちに移さなきゃだ。

 洗濯を済ませて、外の様子を伺う。

 昨日の夜はバケツをひっくり返したみたいな雨だったのに、今はシトシト静かなものだ。

 久しぶりに絵が描きたくなって、画材を用意する。

 用意したのはありふれたクロッキーブックと鉛筆。

 クロッキーブックは紙が薄い分、安くて枚数が多いのが助かる。色をつけたりするならスケッチブックの方が色抜けしなくていいけど、ひたすら落書きしたい時とか、構図や配置を考える時はクロッキーブックが便利だ。

 モチーフはお皿とハギレとセロリのおまけで貰ったリンゴ。こんな時でさえ、質感が違うモチーフを揃えようとするあたり、わたしは真面目で頭が固いのかもしれない。質感が違うモチーフを揃えて描くのは絵画教室で習った練習方法だ。

「……こんなに絵を描かなかったのっていつぶりだろ」

 慣れ親しんだ筈の黒鉛が描くラインがぎこちなくて歯痒い。ずっと描かずにはいられないから描いていたはずなのに、仕事になったらいつの間にか、描かなきゃいけないから描かざるをえなくなっていた。

 技術は上げられる。技法は覚えられる。正しくて効果的な絵を計算して整える。

 わたしの主戦場は、誰にでもわかりやすく、誰にでも受け入れられやすい絵で、大手ゲームメーカーの社内イラストレーターという立場は割と向いていたのだと思う。結局退職したけど、仕事自体は嫌いじゃなかった。

 あ、でも修正作業は嫌いだったな。他人の絵に手を入れるのが苦手だったんだ。

 他人の絵に筆を入れるのはその相手にナイフを突き立てるのと変わらない、そう言いながら、容赦なく生徒の絵に修正箇所を加えていた講師を思い出すからだ。俺は絵描きじゃなく先生になっちまったから、お前たちの絵に筆を入れるが、絵描きになりたいならつまらん真似はするな。他人の絵に平気で筆を入れるような奴は絵描きじゃない。と、ふざけ半分で同級生の絵にアドバイスしようとした生徒を叱っての言葉だった。

 わたしは画家でも芸術家でもないし、それが仕事だから、数え切れないくらいナイフを振るった。

 この異世界では、今のところナイフを振るわずに済んでいる。

 もう他人の修正ばかり回ってくる仕事はしたくない。

 物体に線なんかなくて光と陰で構成されている。簡略化された線で形状を捉える。物には必ず厚みがある。視覚は噓をつく。立体を平面に落とし込むとき必要な嘘がある。見たままを捉える。光の際が一番影が濃くなる。

 絵画教室や指導書や仕事で得た助言を頭の中でぐるぐる回しながら、線を重ねていく。

 雑念が多くてゾーンに入れない。

 形だけだなー、と客観的なわたしが頭のどこかで言っている。

 まだこれはわたしの絵じゃない。

「……あ」

 ふと明るくなった気がして顔を上げると、ちょうど昼になるころだった。

 意識が途切れたから、ここでいったん休憩だ。

 ずっと同じ姿勢でいたせいで凝った肩をぐるぐる回しつつお昼の支度をする。

 半分だと使い勝手が悪かったから、次の塩豚からは1/3にカットだな。

 馴染みのあるバラ肉塊とか塊ベーコンもそのぐらいの大きさだし、調理後に何度も触るのは余計な雑菌を付けそうでちょっと怖い。

 ハーブを一緒に巻いておいた塩豚を3つに切り分け、2つはクーラーボックスに戻す。鍋底に白菜を敷いてジャガイモと大きめに切った玉ねぎと人参と一緒に豚肉を並べたら、その上を白菜で覆い、ビールを半分くらいかけたら蓋をして、弱火でじっくり蒸し煮にする。

 残ったビールはもちろん、お昼が出来上がるまでのわたしのお供だ。

 お米の浸水時間とか、加熱時間、蒸らし時間、料理の余熱調理なんかを計算して、手際よく料理できると謎の達成感がある。

 出来上がった塩豚の蒸し煮は、豚の脂と塩っけを吸った野菜がやたらに美味しかった。

 ビールのかすかな苦みと一緒に漬けたハーブの風味で、ものすごく手間暇かかかってる味がする。

 たまらず昼からもう一本ビールを開けてしまう。

 買い込みすぎたと思っていたけど、この調子でいくと全然賞味期限内にビールは飲み切るな。

 もちろん全部食べきれるわけもないから、残った分は、野菜と水を足してポトフにして、夜と翌朝で食べる。裏庭にはキャベツもあった。煮込んだキャベツ美味しい。残っていたセロリの半分の半分位をポトフに入れ、残りは胡椒と生姜と酢に一緒に漬けてピクルスにする。

 4種類目のお米ももちろん美味しかった。

 これはわたしでもわかった。大きめな粒でしっかりした粒感があり、さらっと食べられる。ご飯がご飯だけで美味しい、というよりも、おかずがよりおいしくなるご飯だ。

 わたしの好みは、今のところこれが暫定一位。

 明日には順位が入れ替わるかどうか楽しみだ。

いつも読んでいただきありがとうございます。

ブックマークや★★★★★、レビュー等で応援してもらえると嬉しいです。


どうぞよろしくお願いします。

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