戦えないし踊れもしない
本日は3話投稿します。
2話目は17時、3話目は20時公開予定。
出かけるためにパンツを履いてスカートを履き替える。
すぐに乾燥できる水魔法最高……!
神様には感謝だ。
とはいえ。やっぱり洗い替えは欲しいから、早目に残り2着のスカートにもたくし上げ用の加工をしちゃわなくちゃね。
それと今後を考えたら、巻きスカートを作ってもいいかもしれない。
出掛ける時はパンツで移動して、町についてからスカートを巻き付けるの。
うん、その方が利便性が良さそう。
良さげな布を見つけたら、買っておかなくちゃ。
それから、腰骨の上にベルトを巻いて、シースナイフをぶら下げる。
「武器なんて持ってたのか」
ブレッドが目を見開いた。
「武器っていうか……サバイバル用?」
気になっているようなので、腰から外して見せてあげる。
今、装着していたのは、世界各国の軍も採用しているブランドのラバーグリップでシンプルなヤツ。コンパクトサイズだから、わたしの手でも扱いやすい。
実はシースナイフはわたしの無駄遣いコレクションのひとつだったりする。シースナイフって色んなデザインがあって、値段もお手頃で場所も取らない、にわかコレクターが舞い上がるのにはあまりにもピッタリだったのよ。
でも結局使い易いのはスタンダードなの、っていうね。
「……刃が黒いな」
す、と刃先を見て、爪をあてる。
おぉ、なんだかそれっぽい。
「っ!? エラい切れ味だな!? こんなものどうやって手に入れた」
「それは当然向こうで……あー、祖母の遺産?」
多分武器の性能が命を左右するんだろうこの世界。すごい武器を持ってるっていうのはそれだけで何らかの身分を証明してしまうんだろう。
そこにきて「向こうの世界では普通に買える武器だ」なんて言ったら、あれもコレも欲しがられかねない。売ってもいいが、争いのもとにはなるべくなりたくない。
ブレッドを信用しないわけじゃないけど、念のため、ね。
「祖母の遺産、か」
譲りたくない理由として、祖母を理由にするのは便利だ。説明がめんどくさい時とか、今後もどんどん祖母に活躍していただこう。
ありがとう、おばあちゃん。
あなたのおかげで異世界でもなんとかやっていけそうです。
「どのくらい使える?」
「あーっと、フェザースティック作れるくらい?」
本気でサバイバルしたことがあるわけじゃないんで、鳥を捌いたりとかはしたことないです。ローストチキンすら捌いたことがない。魚は捌いたことがあるけど、それは包丁でやりました。
「フェザースティック?」
「焚き付けにするのに、木を削って鳥の羽根みたくして燃えやすくするの」
「あぁ、あれに名前なんてあったのか……そうか、そうだよな。戦闘経験はないか」
「ないよ、そんなの。こちとら選択授業でもリズム感死んでるのに創作ダンス選んだくらいなんだから」
子供の頃の体育で、ダンスか柔道を選ばされて、泣く泣くダンスを選んだ苦い経験が蘇る。柔道は掴み合うのが、なんかダメだったんだ。
しかも、うちの教師、独特の感性しててね……フォークダンスでもヒップホップでも、もちろん日本舞踊でもなく、魂の解放をテーマに、とかいう呪いの儀式みたいなダンスをやらされたんだ。リズム感や要領のいい子は踊ってみた、みたいなので良かったけど、出来ない子だけ集められて……そのぐらいなら、盆踊りとかよさこいとか、他に選択肢があったろうに。
ちなみに男子は上半身脱がされたのが問題になって、翌年その教師はいなくなった。
「つまり、戦えないがダンスは踊れる……?」
「戦えないし、ダンスも踊れない」
訂正すると、申し訳なさそうな顔をしながらナイフを返してくれた。
「材質はわからないが、切れ味からして良いナイフだと思う。何かあっても無理はせずに自分もそのナイフも大事にするといい」
「あ、う、うん」
返してもらったナイフを腰に付け直す。
すごい申し訳なさそうな顔させちゃった……。
あまりにもわたしが何も出来ないから、可哀想になっちゃったんだろうか。
あの、大丈夫よ?
戦えないし、踊れもしないけど、今まで生きてこられたし。
運動神経に恵まれてる族から見るとそんなに気の毒な生き物に見えるのかしら。
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