野菜と薬草と香辛料の違い
マグおすすめの食堂は肉が美味しかった。
肉屋が勧める食堂なんだから当然かもしれない。
ただしお値段はお高めの銅貨8枚。
いや、高いのか安いのか、本当のところはよくわからない。
ブレッドの基準は安くて腹いっぱいになれる、なんじゃないかと思わないこともないので、本当にブレッドの基準を一般的な基準にしていいのか怪しいからだ。
メニューはハムと豆と野菜を煮込んだシチューみたいなもので、多分このハムはマグのところから仕入れてるんだろう。
食事をしてから、散策も兼ねていろいろなお店を冷かして歩く。
もちろんマグおすすめの店で、野菜とハーブと香辛料を買うことも忘れない。
それから雑貨店でエイクの葉とやらと、それと何かの蔓も忘れず買った。
糸や紐は高いのに、蔓はお手頃価格だ。
銅貨一枚でやたらにたっぷり買えてしまった。
念のために口に入れても大丈夫か聞いたら、食べるのかと驚かれたけど、食品を縛ったりすると答えたら納得して貰えた。筋張ってて煮込もうとどうしようと食べるのは無理だが、毒性はないそうだ。よかった。それなら今後タコ糸代わりにも使えるな。
八百屋と薬屋と香辛料屋の違いは、生か干してあるか種子類か、みたいな感じだけど、その違いは緩やかだ。
生の生姜は香辛料屋にあったので、単価の違いで店が分かれてるのかもしれない。
生姜は胡椒と同じくらいの値段だったけど、そこそこ高い、くらいで別に無茶苦茶高い、という感じではなかった。スーパーで買える一塊くらいで銅貨5枚だ。
……無茶苦茶高いな。
胡椒が同じ重さの銀で取引される、みたいな昔聞いた話が頭の隅にあったせいで、それほど高くないように錯覚していたけど、野菜の安さなんかを考えたら、無茶苦茶高い部類だ。
訂正。香辛料は高い。生姜も高い。
香辛料屋では、ナーヘルという香辛料も買ったけど、これは多分丁子とかクローブとか呼ばれるものだと思う。それからカルダモンに似てるカルデモムに、シナモンによく似たカネール。ナツメグによく似たムスカリ、それに唐辛子。全部合わせて小銀貨一枚が高いのか安いのかよくわからないけども、どれもほんのぽっちりつまんだくらいの量で売ってくれたから、高級品なんだな、って感じた。
薬屋で買ったのが、多分ローリエと多分ローズマリー。
なぜ多分をつけるかというと、わたしはハーブやスパイスに詳しくないから。ラウリエとロゼマレインと呼ばれていたけど、甘くてスパイシーな香りのする葉っぱはローリエっぽいし、さわやかな香りのするすぎのこの兄弟みたいなのがローズマリーだったと思う。
ベーコンて確かこのあたりのスパイスが入るはず。
これが合わせて銅貨一枚。
それと八百屋で普通にセロリっぽいヤツと、パセリっぽいヤツを買った。おまけでリンゴを一個。本当はセロリだけ買おうと思ったけど、使える硬貨の最小単位が銅貨で基本おつりは出してないらしくて、おつりの分も野菜を持っていくように言われたのだ。
買い物の単位がいちいちデカい!
でも他の買い物客を見ていると、それで当たり前みたいに買い物をしていく。
おそらくだけど、ひと家族の人数が多いんだろう。
あとは職場ごとに食事を作っているか。
ブレッドのような単身者や核家族は自炊をしないで外食をするのかもしれない。
それともう少し持って行け、と言われても、見覚えがある感じの野菜と一緒に、これ食べられるの? みたいなものも並んでまして。わたしの感覚からすると、野菜と雑草が並んで売られている感じ。
雑草だと言い方が悪いから野草、かな。
食べられるから売られているんだろうけど、なんだか不思議な感じがした。
少しだけ買い物をして帰るつもりが、結局しっかり買い物をした感じになってしまった。
帰り際にも門のところにはワフタが立っていて、気を付けて帰るように言われた。
言われた通り気を付けて帰ったけれども、案の定迷って、かなり早い時間にフィーダを出たはずなのに、プレハブちゃんにたどり着くころには夕暮れが迫ってしまった。
疲れたけど、気力を振り絞ってベーコンになる予定の袋にセロリの葉とパセリとハーブとスパイスを突っ込み、少し余ったローズマリーとローリエとパセリを塩豚の片方のラップを開いて入れた。
それから思いついて薄めに切ったチャーシューを角煮の残りの大根をおろしたものとオニオンスライスで和えて、少しだけ酢を落とす。それを茹でてから冷たい水で締めたうどんにめんつゆを絡めたものに豪快に乗っける。
狙い通りにさっぱりして美味しいそれをつまみにビールを煽って、お風呂に入って、寝た。
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