【鳥たちの証】
※挿絵はAIイラストを使用しています
双眼鏡越しに、枝を揺らす一羽を見つけた。
「‥‥‥ルリビタキ? いや、尾の色が――」
ピカルは真剣な表情で、双眼鏡を調整した。
今日の文化体験は「バードウォッチング」。
地球の生態系を観察し、記録するための活動だ。
公園のベンチに座り、じっくりと野鳥を観察している。
羽の色、鳴き声、行動パターン――すべてを記録書に書き留めていく。
考察を口にした途端――
肩に「ぽふっ」
「‥‥‥ん?」
腕に「ちょん」
「‥‥‥え?」
そして、頭にも軽い重み。
「‥‥‥ま、また‥‥‥?」
ピカルは動きを止めた。
鳥たちが集まってくる。
スズメ、シジュウカラ、メジロ――気づけば、体中に鳥が止まっていた。
その姿はまるで止まり木に模した状態。
「うぅ‥‥‥これでは記録が‥‥‥取れない‥‥‥」
双眼鏡も、記録書も、もう手に取れない。
動けば鳥たちが逃げてしまう。
それでもピカルは、困ったように笑った。
かつてアルフィオスにも、多様な鳥たちがいた。
色とりどりの羽、美しい鳴き声――空を自由に飛び回る姿は、星の生命力そのものだった。
鳴き声は、その星の健康の象徴だったと、古い記録にある。
だが今、アルフィオスの空は静かだ。
鳥たちの声は、もう聞こえない。
ならば、彼らが近くに来るのは――この星が、まだ希望を持っているという、証なのかもしれない。
ピカルは静かに目を閉じた。
肩に止まる小さな重み。
頭の上で鳴く、優しい声。
腕を伝う、小さな足の感触。
すべてが、生命の温もりを伝えてくる。
「‥‥‥ありがとう」
小さく呟いた。
鳥たちは、ピカルの言葉に応えるように、さえずりを続けた。
_____________
しばらくして――
「お兄ちゃ〜ん! どこ〜?‥‥‥ってうわぁ!!」
キララが駆け寄ってきて、目を丸くした。
「お兄ちゃん、鳥まみれ!!」
「シッ!‥‥‥静かに。逃げてしまう」
「すごいすごい! まるで童話の主人公みたい! 写真撮っていい!?」
「‥‥‥好きにしてくれ」
キララはスマホを取り出し、パシャパシャと連写した。
「えへへ〜、これ絶対コーギーちゃんにも見せよう!」
「‥‥‥頼むから、あまり広めないでくれ」
ピカルは小さくため息をついた。
だが、その表情は穏やかだった。
_____________
その夜――
ピカルは記録書に、今日の体験を綴った。
『地球の鳥たち――生命の象徴、希望の使者。
彼らが人に近づくのは、この星がまだ生命力に満ちている証。
アルフィオスにも、いつか――この鳴き声を取り戻したい』
ペンを置き、ピカルは窓の外を見た。
夜空には、星が瞬いている。
「鳥たちの声が響く星――それが、俺たちの目指す未来だ」
静かな決意とともに、ピカルは目を閉じた。
今日、肩に止まった小さな重みが――
まだ、心に残っていた。
セルフリクエスト:ピカルでバードウォッチング
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