【希望のレシピ】
※挿絵はAIイラストを使用しています
「先生! これどうやって巻くんですかーっ!」
キララの声が、キッチンに元気に響いた。
小さなエプロン姿の子どもたちにまじって、彼女もエプロンをつけて料理に奮闘していた。
今日参加したのは、地域の料理教室。
テーマは「基本のオムレツ作り」。
子どもたちと一緒に、一から教わることにしたのだ。
「こうかな? 違うな、こうかも??‥‥‥あっ!」
くるくる、くしゃっ。
フライパンを傾け、卵を巻こうとするが――思うように形が整わない。
オムレツは今日も、キララの手の中で自由奔放な姿を見せた。
「むぅ〜、なんで先生みたいに綺麗に巻けないの〜!」
隣では、小学生の女の子が上手にオムレツを巻いている。
「キララお姉ちゃん、力入れすぎだよ! 優しく、優しく!」
「そ、そうなの!? 優しく‥‥‥」
キララは深呼吸して、もう一度挑戦した。
フライパンをゆっくり傾け、箸で優しく卵を押す――
しかし。
「‥‥‥やった! 今日は、結構上手いかも! 先生出来ました〜!」
出来上がりを差し出すその顔は、「焦がすことなく出来た」という自信に満ちていた。
形は‥‥‥まあ、少しいびつだけど、ちゃんと巻けている。
焦げもない。
何より、完成した。
「わぁ、キララさん! 上手に出来ましたね!」
先生が優しく微笑んだ。
「えへへ〜、ありがとうございます!」
キララは嬉しそうに、完成したオムレツをお皿に乗せた。
(このオムレツ見たら、お兄ちゃん絶対びっくりするだろうな〜)
ふふっ、と笑うその瞳に映るのは――
兄の驚く顔。
そして、一緒に食卓を囲む未来。
_____________
帰宅後――
「お兄ちゃん! ただいま〜!」
「‥‥‥おかえり。今日は料理教室だったな」
「うん! 見て見て、オムレツ作れるようになったの!」
キララは冷蔵庫から卵を取り出し、フライパンを火にかけた。
「‥‥‥本当に作るのか?」
「当たり前だよ! お兄ちゃんに食べてもらいたいんだもん!」
ピカルは少し不安そうに見守る。
だが――
数分後、キッチンからは焦げた匂いも、悲鳴も聞こえてこない。
「‥‥‥できた!」
キララが差し出したのは、少しいびつだけど、確かにオムレツの形をした料理。
「‥‥‥すごいな。ちゃんと出来てる」
「でしょ! 食べて食べて!」
ピカルは一口、フォークを入れた。
「‥‥‥美味い」
「本当!?」
「ああ、本当だ」
キララの顔がパッと明るくなった。
「えへへ〜、良かった! 次はもっと綺麗に作れるように頑張るね!」
「‥‥‥ああ、楽しみにしてる」
ピカルは優しく笑った。
__________
その夜――
ピカルは記録書に、今日の出来事を綴った。
『料理という文化――それは、誰かのために作る、温もりの形。
キララが学んだオムレツ作りは、技術だけでなく、"誰かを喜ばせたい"という想いも込められている』
そして、最後に一行――
『この"希望のレシピ"が、いつか母星の食卓を彩る日が来ることを願って』
ペンを置き、ピカルは窓の外を見た。
遠い故郷にもきっと届く『希望のレシピ』――それは、料理だけではない。
人々の笑顔、温もり、そして未来への想い。
すべてを込めた、希望という名のレシピ。
「いつか、アルフィオスの食卓にも――」
ピカルは静かに誓った。
キララの作ったオムレツが、その第一歩になるかもしれない。
セルフリクエスト:キララに料理教室
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