【雪の斜面、ふたつのライン】
※挿絵はAIイラストを使用しています
「こうして重心を少し後ろに――」
颯爽と滑り終えたピカルが、スノーボードを外しながら説明している。
その横で――キララはすでにぐらついていた。
「待って待って!!足!足が勝手に〜〜!!」
ボードに乗った瞬間から、体が制御不能になっている。
重心がどこにあるのか分からない。
前に進むのか、後ろに下がるのか――もはや自分でも分からない。
――ドサッ!
「痛たたた‥‥‥。――も〜〜お兄ちゃんみたいに乗りこなせないよ〜!!」
頬を真っ赤にしながら、キララは雪の上に倒れていた。
ふかふかの雪が彼女の体を受け止め、冷たさが頬に染みる。
でも――けれど、口元にはうっすら笑み。
悔しさと楽しさが混ざった、不思議な表情。
ピカルはそっと手を差し出す。
「大丈夫だよ、何事も初めては難しいけど‥‥‥練習すれば出来るから」
優しい声で、妹を励ます。
「うぅ、言ったな〜!じゃあ絶対乗れるまで帰らないからねっ!」
キララは兄の手を掴み、勢いよく立ち上がった。
雪まみれの体を払いながら、再びボードを装着する。
その目には、諦めない決意が宿っていた。
そう言って立ち上がる彼女の背中に、ピカルは小さくため息をついた。
(‥‥‥本当に、帰れない気がする)
キララの性格を知っている。
一度「絶対やる!」と決めたら、本当に最後までやり遂げる――それが彼女だ。
「じゃあ、もう一回行くよ!」
「‥‥‥ああ、分かった。でも、無理はするなよ」
「大丈夫、大丈夫!今度こそ乗りこなしてみせるから!」
それでも、兄妹はまたゲレンデへ。
リフトに乗り、再び斜面の上へと向かう。
雪のきらめく斜面の上を、今日もふたりで進んでいく。
青とピンクのライン――ピカルの青いウェアと、キララのピンクのウェアが、雪の上に二本の軌跡を描いていく。
ピカルは安定した滑りで、スムーズに斜面を降りていく。
キララは何度も転びながら、それでも立ち上がり、また進む。
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「‥‥‥あれ? あれ? 今‥‥‥滑れてる?」
キララの声に、驚きが混じっていた。
体が前に進んでいる。
転ばずに、ちゃんと滑っている。
「お兄ちゃん! 見て見て!私、滑れてるよ!!」
「‥‥‥ああ、良い調子だ。そのまま重心を保って――」
ピカルは並走しながら、優しく声をかける。
キララは少しずつ、確実に、スノーボードをコントロールできるようになっていた。
そして――
ゴール地点に、無事に到着。
「やった‥‥‥やったぁ!!」
キララは両手を上げて、喜びを爆発させた。
「お兄ちゃん!私、最後まで滑れたよ!!」
「‥‥‥うん、よく頑張ったな」
ピカルは妹の頭を優しく撫でた。
_____________
その夜。
ロッジで温かいココアを飲みながら、キララはまだ興奮気味に話していた。
「ねえねえ、明日もまた滑りに行こうよ!」
「いいけど、今日はもう休もう。体が疲れてるだろう」
「うん!でも、すっごく楽しかった!」
キララは満足そうに笑った。
ピカルは記録書を開き、今日の体験を綴り始める。
『スノーボード体験――何度も転びながら、それでも諦めずに立ち上がること』
『失敗を恐れず、挑戦し続けることの大切さを、キララから学んだ』
兄妹が共に歩んできた証。
これからも、ふたりで進んでいく。
どんな困難があっても、支え合いながら――雪の斜面を、希望へと向かっていくように。
参加者リクエスト:「ピカルとキララのスノボ体験」
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