【白ひげのないサンタクロース】
※挿絵はAIイラストを使用しています
地球文化体験・今日のピカルの任務はサンタ役。
「サンタとは、白いひげの老人のようだけど、どう考えても僕では"正体がバレる"可能性が高い」
ピカルは鏡の前で真剣な表情を浮かべていた。
手元には、地球の文化資料から印刷した「サンタクロースの特徴」というリスト。
『白いひげ』
『赤い服』
『ふくよかな体型』
『陽気な笑い方』
「これは‥‥‥どれも当てはまらない」
ピカルは18歳。
ひげもなければ、体型も痩せ型。
そして何より――キララのような、陽気な笑い声など出せる気がしない。
「これは‥‥‥工夫が必要だな」
そう判断したピカルは、フードを深くかぶり前髪を下ろし、顔を覆う作戦に出た。
赤いサンタ服を着て、フードを目深にかぶる。
前髪も長めに下ろして、目元まで隠す。
さらに、白いマスクも装着――完璧な変装だ。
「これなら、バレないはずだ」
鏡に映る自分の姿は、確かに『謎のサンタ』として成立している。
大きな袋を背負い、ピカルは子どもたちが集まる会場へそっと入った。
会場は既に賑やかだった。
クリスマスツリーが輝き、音楽が流れ、子どもたちが走り回っている。
その中心には、プレゼントが置かれた特設ステージ。
「――よし、行くぞ」
ピカルは深呼吸して、ステージへと歩いた。
その瞬間――
「サンタさーーん!!」
「プレゼントきた!!」
弾けるような声に、ピカルは少しだけ驚いていた。
子どもたちが一斉に駆け寄ってくる。
その勢いに、思わず一歩後ずさる。
「え、ええと‥‥‥メリークリスマス」
緊張しながら、袋の中からプレゼントを取り出す。
「はい、これ‥‥‥君へのプレゼントだ」
一人の男の子にプレゼントを渡すと――
「わぁ〜!ありがとう!!」
男の子は抱きつく勢いで大喜びした。
「サンタさん!ありがとう!!」
「また来てね!!」
次々と子どもたちが集まり、プレゼントを受け取っていく。
その無邪気さに、ピカルは思わず微笑む。
顔は隠していても、表情だけはどうしても隠せなかった。
フードの奥で、優しく目を細めるピカル。
「‥‥‥良かった。喜んでくれて」
一人の女の子が、ピカルの手を握った。
「サンタさん、ありがとう!大好き!」
「‥‥‥ああ、どういたしまして」
ピカルは女の子の頭を優しく撫でた。
すべてのプレゼントを配り終えた後、ピカルは静かに会場の端へと移動した。
子どもたちは、受け取ったプレゼントを嬉しそうに見せ合っている。
笑顔が、会場いっぱいに広がっていた。
「‥‥‥なるほど。白ひげのおじいさんでなくても、『誰かを喜ばせたい気持ち』があればサンタになれるんだな」
ピカルは小さく呟いた。
サンタクロースという存在は、見た目や年齢ではなく、誰かに喜びを届けたいという『想い』こそが本質なのだろう。
そう思いながら、静かに見守るようにその場を後にした。
_____________
会場の外。
「お兄ちゃん、お疲れ様〜!」
キララが駆け寄ってきた。
手には、温かいココアが入ったカップ。
「どうだった? サンタ役!」
「思っていたよりも、良かった」
ピカルは素直に答えた。
「子どもたちの笑顔を見て‥‥‥少し、分かった気がする」
「何が?」
「地球の人達が、どうしてこういう文化を大切にしているのか」
ピカルはココアを一口飲み、続けた。
「喜びを分かち合うこと。誰かのために行動すること。それが、地球の文化の根底にあるんだな」
「うんうん!そうだよ!」
キララは嬉しそうに頷いた。
「お兄ちゃん、ちゃんと『サンタさん』してたよ!子どもたち、すっごく嬉しそうだった!」
「‥‥‥そうか」
ピカルは小さく笑った。
冬の文化体験は、思っていたよりも温かかった。
_____________
翌朝。
「お兄ちゃん、見て見て!昨日の子どもたちから、お礼の手紙が届いたよ!」
キララが手紙の束を持ってきた。
「『サンタさん、ありがとう!また来てね』だって!ほらたくさん!」
「こんなに?」
ピカルは手紙を一枚一枚丁寧に読んだ。
子どもたちの字で書かれた、素朴だけど温かいメッセージ。
その一つ一つが、ピカルの心に深く刻まれていく。
「‥‥‥また、来年も来よう」
小さく呟いて、ピカルは笑った。
『白ひげのないサンタクロース』
それでも確かに、誰かの心に喜びを届けたのだから。
参加者リクエスト:「ピカルにメカクレサンタ」
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