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Project Alpheos(プロジェクト・アルフィオス) ~あなたのリクエストで星の未来を取り戻せ~  作者: だしのもと
Project Alpheos 体験ミニストーリー(星レベル10~

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【初めての雪、初めての笑顔】

※挿絵はAIイラストを使用しています

 今日の地球での『文化学習』は人生初の雪あそび。


 アルフィオスでは雪が降らない。

 かつて、約300年前までは降っていたという記録もあるが、今のアルフィオスの気候では、雪を見ることは不可能だ。

 だからこそ――


 空から降る白い雪と、一面真っ白に染まった景色を見た瞬間、ふたりは同時に息をのんだ。


「‥‥‥これが、雪‥‥‥」


 ピカルは呆然と立ち尽くし、空を見上げた。

 白い結晶が、ゆっくりと、静かに、舞い降りてくる。

 手のひらに落ちた雪は、一瞬でその形を変え、やがて溶けていく。


「すごい‥‥‥本当に、白いんだ‥‥‥」


 キララも、目を丸くして雪を見つめていた。

 写真や映像では何度も見たことがある。

 でも、実際に目の前で降る雪は、想像を遥かに超える美しさだった。


「お兄ちゃんみて!本当に白い!フワフワしてる!冷たいー!」


 キララは地面に積もった雪をすくい上げ、両手いっぱいに抱えた。

 ふわりと軽くて、でもしっかりと冷たくて、触れるたびに新しい発見がある。


「これ、丸められるんだよね?」


 キララは雪をそっと抱きしめてみて、形を整えた。

 少しずつ圧をかけると、雪が固まっていく。


「あ、ほんとだ!固まった!」

「雪だるまっていうの作ってみよう!」


 目をきらきらさせるキララ。

 その隣では――

 ピカルも既に夢中で雪だるまを作り始めていた。


「‥‥‥まずは、小さな球を作って‥‥‥それを転がすと大きくなる、と‥‥‥」


 真面目な表情で、まるで実験をするかのように、丁寧に雪を転がしていく。

 理論通りに、雪玉はどんどん大きくなっていく。


「すごい‥‥‥本当に大きくなる‥‥‥」


 ピカルの目が、ほんの少し輝いた。

 そして――


挿絵(By みてみん)


「‥‥‥ほら、キララ!情報で見た通りの雪だるまが出来た!」


 完成した雪だるまを前に、ピカルは満足げに笑った。

 いつも真面目な表情が、今日は綻んでいる。

 二段重ねの雪だるま。

 小枝で作った腕、石で作った目と口。

 完璧なプロポーションだ。


「わぁ〜!お兄ちゃんすごい!めっちゃ上手!」


 キララは拍手しながら、ピカルの雪だるまを見つめた。


「よ~し!私も大きいの作ってやる〜!」


 対抗心に火がついたキララは、さらに大きな雪玉を転がし始めた。


「えいっ、えいっ!」


「キララ、そっちは坂だから気をつけ――」


「わわっ!止まらない〜!」


 雪玉が勢いよく転がり、キララも一緒に雪の中へ――ボフッ


「ぶはっ!」


 雪まみれになって顔を上げるキララ。


「‥‥‥大丈夫か?」


「う、うん‥‥‥あはは、雪って転んでも痛くないんだね!」


 キララは笑いながら立ち上がった。

 気づけばふたりの声が揃って、雪の公園に楽しそうな笑い声が響いた。


「もう一回やる!」


「待て、今度は俺も手伝う」


「やったぁ!」


 初めての雪に童心へ逆戻りした兄妹。

 ピカルは普段の冷静さを忘れ、キララと一緒に雪玉を転がす。

 キララは全身で雪を楽しみ、転んでも笑い、また立ち上がる。

 驚いた顔も、はしゃぐ笑顔も、どちらも『記録』と『記憶』にしっかり刻まれていく。


 _____________


 1時間後――


 公園には、大小さまざまな雪だるまが並んでいた。


「――やりすぎたかもしれない」


 ピカルは息を切らしながら、10体以上並んだ雪だるまを見つめた。


「えへへ〜、でも楽しかったね!」


 キララは満足そうに笑い、一番大きな雪だるまの隣に座った。


「‥‥‥ああ、楽しかった」


 ピカルも素直に認めた。

 そして、ふたりは並んで空を見上げる。

 まだ雪は降り続けている。


「ねえ、お兄ちゃん。アルフィオスにも、いつか雪が降るかな?」


「‥‥‥どうだろうな。でもあったらいいな」


 ピカルは静かに答えた。


「その時は、ノヴァ様にも雪だるまの作り方教えてあげようね!」


「‥‥‥あの人が作るかどうかは分からないけどな」


「きっと作るよ!だって、こんなに楽しいんだもん!」


 キララは自信満々に言った。

 ピカルは小さく笑い、妹の頭に積もった雪を優しく払った。


 冬の日に見つけた、ささやかな宝物。

 それは雪だるまでもなく、雪景色でもなく――兄妹で過ごした、この温かな時間そのものだった。


 _____________


 その夜。


 ピカルは記録書に、今日の出来事を打ち込んでいた。


『初めての雪体験――地球の冬がもたらす、白い奇跡』


『雪は、ただ冷たいだけではなく、人々に喜びと驚きを与える。この感覚を、アルフィオスの人々にも伝えたい』


 そして、最後に一行だけ――


『キララの笑顔が、今日は特に輝いていた』


 打ち込む手を止め、ピカルは窓の外を見た。


 雪はまだ降り続けている。

 暗闇に浮かぶ、白い景色に故郷を思い浮かべ、静かに目を閉じた。



参加者リクエスト:「ピカルとキララで雪遊び」


お読みくださりありがとうございます!

ブックマーク、評価、コメントを頂けると大変嬉しいです!!


リクエスト企画の方は不定期で参加者様を募集してます。

Xで最新情報を投稿してますので、よかったらご覧ください。


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