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Project Alpheos(プロジェクト・アルフィオス) ~あなたのリクエストで星の未来を取り戻せ~  作者: だしのもと
Project Alpheos 体験ミニストーリー(星レベル10~

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【空腹と羨望の報告書作成】

※挿絵はAIイラストを使用しています

 キララは有名な犬動画の配信者とのコラボに招かれ、クリスマス仕様の豪華なごちそうを囲んでコーギーちゃんと並んで座っていた。


 テーブルの上には、ローストチキン、ミートパイ、カラフルなサラダ、クリスマスケーキ、そして色とりどりのクッキーやマカロン。


 まるで雑誌の表紙のような、華やかで美味しそうな料理の数々。


「わぁ〜!すごい!こんなに豪華なの初めて!」


挿絵(By みてみん)


 キララは目をキラキラさせながら、配信カメラに向かって喜びを爆発させている。

 画面の向こうでは視聴者がわいわい盛り上がり、温かな笑い声と灯りが弾む。


『キララちゃんかわいい〜!』

『コーギーちゃんもいる!』

『めっちゃ豪華!!』


 コメント欄は祝福のメッセージで溢れ、配信は大盛況だった。


 ──その頃。


 報告書に追われ、徹夜明けで何も食べていないピカル。

 部屋でキララの配信を見ながら豪華な料理の数々に目を奪われ、画面に釘付けであった。


「‥‥‥」


 デスクの上には、半分まで書き終えた報告書、空のコーヒーカップ、そして何も入っていない皿。

 ピカルは昨夜から一睡もしていない。

 ノヴァから求められた詳細な観察報告書を仕上げるため、徹夜で作業を続けていた。


 そして気づけばもう夕方。

 何も食べていない。


「最初に聞いてた話より、だいぶ豪華だな‥‥‥?」


 画面越しに映る、ローストチキンの照りつや。

 湯気が立ち上るミートパイ。

 ふわふわのクリスマスケーキ。

 そして、キララが嬉しそうに頬張る姿。


 グゥゥゥゥ‥‥‥


 お腹が鳴った。


「‥‥‥っ」


 ピカルは顔を引きつらせながら、画面を見続ける。


『では、いただきまーす!』


 キララがフォークでチキンを一口。


「うん!美味しい〜!!」


 グゥゥゥゥゥ‥‥‥


 また鳴った。


「‥‥‥」


 ピカルの視線は、完全に画面の料理に吸い寄せられている。

 報告書?

 そんなものは一旦忘れた。

 今、彼の脳内を占めているのは「食べたい」その一心だった。

 お腹が鳴るたびに視線が吸い寄せられ、顔がどんどん引きつっていく。


『このケーキ、めっちゃふわふわ〜!』


 キララが幸せそうに笑う。

 コーギーちゃんも特別な犬用ケーキを頬張っている。


 グゥゥゥゥゥゥゥ‥‥‥


 ピカルの目が、画面に釘付けになる。

 羨望と空腹が、彼の心を蝕んでいく。


(なぜ、俺はここで報告書を書いているんだ‥‥‥?キララはあんなに豪華な料理を‥‥‥)


 理性が、少しずつ崩れていく。


(そもそも、"軽い食事会"って聞いてたのに‥‥‥あれは明らかに"豪華なパーティー"では‥‥‥?)


 そして最後には、空腹と羨望が限界に達し、ピカルは両手で頬を押さえて


「むーーーーっ!!」


挿絵(By みてみん)


 と固まってしまった。

 顔を真っ赤にして、画面を睨みつけながら、もはや言葉にならない唸り声を上げている。

 机の上の報告書は、まだ半分しか終わっていない。

 だが、ピカルの心はもう画面の向こうのクリスマスディナーに完全に奪われていた。


 数分後――


 ピカルは大きく深呼吸をして、ようやく冷静さを取り戻した。


「‥‥‥落ち着け、俺」


 そして、静かにノートに一行を書き記した。


『空腹と睡眠不足は、いらぬ感情を呼び起こす』


 ひとり静かに学びを得るピカル。


「‥‥‥まずは、何か食べよう」


 報告書を一旦脇に置き、ピカルは重い体を引きずってキッチンへ向かった。

 冷蔵庫を開けると――そこには、キララが作り置きしてくれた不格好なサンドイッチと、温めるだけのスープが入っていた。


「‥‥‥キララ、ありがとう」


 小さく呟いて、ピカルはサンドイッチを頬張った。

 決して豪華ではない。

 でも、今のピカルには何よりのご馳走だった。


 その夜。


 配信を終えて帰ってきたキララが、部屋を覗き込んだ。


「お兄ちゃん、ただいま~!あのね、今日すっごく楽しかったよ!」


「おかえり。見てたよ。楽しそうだったな」


 ピカルは穏やかに笑った。

 空腹も満たされ、冷静さを取り戻した今なら妹の活躍を素直に祝福できる。


「あ、そうだ!お土産もらってきたよ!」


 キララは袋からクリスマスケーキの小箱を取り出した。


「配信者さんが、"お兄さんにもどうぞ"って!」


「‥‥‥そうか。ありがとう」


 ピカルは小箱を受け取り、蓋を開けた。

 中には、小さなショートケーキが入っている。


「‥‥‥美味しそうだな」


「でしょ!一緒に食べよ!」


「ああ」


 兄妹は並んでケーキを頬張った。

 ピカルの心には、もう羨望も嫉妬もない。

 ただ、妹の優しさに、静かな感謝が満ちていた。


「やっぱり、空腹は大敵だな」


 ピカルは心の中で、もう一度教訓を刻むのであった。

リクエスト:「キララとコーギーちゃんのクリスマスディナー配信をみてむっとするピカル」


お読みくださりありがとうございます!

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リクエスト企画の方は不定期で参加者様を募集してます。

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