【夢の中の英雄】
※外伝ネタが含まれます。
(気になる方は読んでいただけると嬉しいです!)
※挿絵はAIイラストを使用しています
昨夜、ピカルは地球のアクション映画を観た。
『勇者が仲間を救い、強敵に立ち向かう物語』
派手な爆発、迫力あるアクションシーン、そして仲間を守るために立ち上がる主人公。
映画は深夜2時まで続き、ピカルはすっかり引き込まれてしまった。
「‥‥‥なかなか面白かったな」
そう呟いて眠りについたピカル。
だが――
その影響は、しっかり夢に出た。
轟音が響く。
目の前には崩れかけた建物、舞い上がる砂埃。
そして、倒れかかるキララの姿。
「キララ!!」
ピカルは必死に駆け寄った。
瓦礫が次々と崩れ落ち、空気が震える。
まるで、幼少期にアルフィオスで経験した、あの建物崩落事故のように――
(――あの日と、同じだ)
幼い頃の記憶が蘇る。
老朽化した建物が突然崩れ落ち、キララが瓦礫の破片でケガをした日。
キララは額に傷を負い、血を流していた。
「おにいちゃん、いたいよぉ‥‥‥」
震える声で泣くキララ
その時のピカルは、ただ抱きしめて「大丈夫だ」としか言うことしかできなかった。
(俺が、キララを守れていれば‥‥‥!)
自分のせいだ。
自分が、妹を危険な目に遭わせてしまった。
その罪悪感は、長い間ピカルの心に深く刻まれていた。
夢の中――
倒れかかるキララの体を、ピカルは必死に抱きかかえた。
「大丈夫か!?キララ!!」
「お、お兄ちゃん‥‥‥」
キララの声は弱々しく、体は震えている。
隣ではコーギーちゃんまで涙目で吠えていた。
「 キララ!!しっかりして!!」
そして――
背後から迫る、巨大な影。
映画で観たような、圧倒的な"敵"の気配。
ピカルは立ち上がり、キララを背に庇った。
「キララを傷つけるなんて……絶対に許さない!!」
炎が吹き上がり、空気が震え、まるで映画の主人公のように叫ぶピカル。
その拳には、謎の光が宿り――
「行くぞ、必殺‥‥‥!!」
――というところでピカルはハッと目を開けた。
「‥‥‥は、夢か」
天井を見上げ、大きく息をつく。
額には汗が滲んでいた。
心臓がまだ早鐘を打っている。
(‥‥‥映画の影響、強すぎる‥‥‥)
ピカルはゆっくりと体を起こし、隣のベッドを見た。
そこには、ぐっすり眠るキララの姿。
穏やかな寝息を立てて、スヤスヤと眠っている。
傷一つない、無事な姿。
そして足元ではコーギーちゃんが丸くなって、気持ちよさそうに寝息を立てていた。
「すぴー‥‥‥すぴー‥‥‥」
夢の中であんなに必死に吠えていたコーギーちゃんも、今は完全にリラックスモード。
平和そのものだ。
平和すぎて、思わずピカルは額をおさえた。
「‥‥‥何を、夢で熱くなっていたんだ、俺は」
自分の行動を思い返し、恥ずかしさがこみ上げてくる。
「キララを傷つけるなんて絶対に許さない」って――
夢とはいえ、あんな台詞を叫んでいたとは。
「‥‥‥次からは、夜更かしして映画を見るのは控えよう‥‥‥」
ピカルは静かに反省した。
だが心の奥底では、あの夢がただの映画の影響だけではないことを、彼自身が一番よく分かっていた。
キララを、二度と傷つけたくない
今度こそ、守りたい
その想いは、夢の中でも現実でも、変わらない。
ピカルはもう一度キララの寝顔を見て、小さく微笑んだ。
「‥‥‥おやすみ、キララ」
そっと呟いて、再び横になる。
翌朝。
「お兄ちゃん、おはよー!」
元気いっぱいに目を覚ましたキララが、ピカルの顔を覗き込んだ。
「‥‥‥おはよう」
「ねえねえ、今日は何する?」
「‥‥‥そうだな。今日は、隣町まで買い物に出かけようか」
「やったー!!」
キララは嬉しそうに飛び跳ねた。
その姿を見ながら、ピカルは思う。
(この笑顔を、ずっと守っていきたい)
夢の中の英雄は、現実では静かだけど確かに『妹を守る決意』を新たにしたのだった。
「そういえば、お兄ちゃん。昨夜、寝言言ってたよ?」
「‥‥‥え?」
「『キララを傷つけるな』って」
「‥‥‥っ!?」
ピカルの顔が真っ赤になる。
「アハハ!お兄ちゃん、何の夢見てたの〜?」
「‥‥‥何でもない」
「え〜、教えてよ〜!」
コーギーちゃんも目を覚まし、にやにやとピカルを見つめた。
「ボクも気になる〜」
「‥‥‥お前たち、忘れてくれ」
ピカルは布団を頭まで被った。
こうして、平和な朝が始まるのであった。
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参加者リクエスト:「強敵を前に倒れたキララをピカルが激高するシーン」
(Tales用に改変してあります)
参加者リクエスト:「強敵を前に倒れたキララをピカルが激高するシーン」
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