【クッキーと笑顔と星の約束】
※挿絵はAIイラストを使用しています
「この箱にはハートのチョコチップ入れて、 次の箱にはスマイル型にしよっかなっ♪」
キララはテーブルの上でリズミカルにクッキーを詰めていた。
その表情は真剣で、自分の世界に入り込んでいる。
ピカルはその光景を数歩後ろから見つめながら、 つい問いかけてしまった。
「なぁ、キララ。それ手作りじゃないよな?」
「なっ・・・ちがうよっ!地元の人が作ってくれたのを、わたしが心を込めて丁寧に詰めてるの!」
ムスッとした顔で言い返してきた彼女に、 思わず笑いがこぼれる。
どうやら『手作りクッキー疑惑』は彼女の地雷だったらしい。
それでもキララはすぐに切り替えて、 クッキーの箱を持ち上げながら声を弾ませた。
「これはね。ただのお菓子じゃないんだから! みんなの活動がハッピーになるように、 お手伝いしてるんだよっ!だからね。売れたらすっごく嬉しいの!」
その言葉に、俺は少しだけ目を細める。
木陰で涼む大人たち、興味津々で見つめる子どもたち、そして仲間のガールスカウトたち。
キララはそんな人々に自然と囲まれて、 笑顔でやり取りをしていた。
「・・・・・・さすが、すぐに人の輪に溶け込むのが早いな」
彼女の隣には、もう壁なんてどこにもなかった。
まるでずっと前からそこにいたみたいに、街や空気に、ぴったりと馴染んでいる。
胸を張る妹が、なんだか少しだけ頼もしく見えた気がした。
「いらっしゃいませーっ!チョコチップクッキー、ただいま焼きたて・・・じゃなくて!詰めたてですっ!」
キララの声が、木立の広場に元気よく響く。
小さなテントの前には、クッキーの箱がかわいらしく並べられ、手描きのPOPには【みんなにハッピーをお届け☆彡】とカラフルな文字。
「それ、キララが書いたのか?」
「えへへっ、絵はとなりの子が描いてくれたの!わたしはね、ことばのとこ担当!お兄ちゃんに見られても恥ずかしくないやつにしたんだよ~」
「なに基準だ、それは」
呆れたように言いながらも、ピカルの頬はほんのり緩んでいた。
そんな彼の横で通りかかった親子がクッキーを手に取り、にこやかに会話を交わしていく。
「おねえちゃん!これ、どれがおすすめー?」
「んー、ハートのチョコ入りは『がんばった日に食べてほしいクッキー』だよ! スマイル型は・・・そうだなぁ。食べたらぜったい笑顔になるやつっ!」
自信満々に答えるキララに、子どもたちは顔を輝かせた。
クッキーと一緒に、彼女の言葉までもが贈り物になっていく。
「言葉に気持ちを込める・・・・・・か」
ピカルは、そっと胸ポケットからノート端末を取り出した。
彼女の言葉と笑顔の記録。
それは、アルフィオスにはまだ存在しない、『目に見えない価値』の一つだ。
「お兄ちゃん!あっちの子たち、食べ比べしてみたいって~!手伝ってよ~」
「分かった。補充するクッキーを持っていく」
「フフフッ!ありがとっ!」
満面の笑みで親指を立てる妹に見送られながら、ピカルはそっとつぶやいた。
「こういうのも、再生のヒントになるかもしれないな」
クッキーと一緒に、届けていたのは『やさしさの記憶』。
それを積み重ねることで、きっと星にも希望が戻ってくるとそんな気がした。
参加者リクエスト:キララでガールスカウト体験(クッキー販売)
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