外伝 第2話 救いの赤き影①
※挿絵はAIイラストを使用しています
キララが淹れてくれたお茶の湯気が、穏やかに立ち上っている。
甘い香りが部屋に広がる中、三人とコーギーちゃんはソファに腰を落ち着けていた。
「それにしても、キララも随分大きくなったなあ」
アルデンがカップを口に運びながら、しみじみとした表情で呟く。
「もう15歳ですから!」
キララが胸を張って答えると、アルデンは懐かしそうに笑った。
「ああ、そうだった。お前らを最初に助けたのは、あの時だったな」
その言葉に、ピカルとキララの表情が少し変わった。
まだ幼かった頃の、忘れられない記憶。
「あの建物崩落事故……覚えてるよ、もちろん」
ピカルが小さく呟く。
「懐かしいな。まだお前らがこんなちっこかった頃の話だ」
アルデンが手で身長を示しながら語り始めると、時間が巻き戻されるように、あの日の記憶が蘇ってきた。
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十二年前——アルフィオス、リアナス家支援地区
当時6歳だったピカルは、一人で古い建物の探索をしようとしていた。
リアナス家の記録係の血を引く彼は、幼い頃から知識欲と好奇心が人一倍強かった。
「おにいちゃん、どこいくの?」
振り返ると、3歳のキララがとことこと後をついてきている。
「キララは家にいなよ」
「やだ!キララもいく!」
キララが頬を膨らませて抗議する。
幼いながらも、兄と一緒にいたがる妹の気持ちは強かった。
「ここから遠いところに一人で行くからキララの足じゃ無理だよ」
「ぜったいいっしょ!」
キララが兄の服の裾をぎゅっと握って離さない。
その一途な瞳に、ピカルは折れてしまった。
「……分かった。でも、絶対に僕から離れちゃだめだよ」
「うん!」
こうして、兄妹は一緒に支援地区の外れにある古い建物に向かった。
ピカルが目指したのは、支援地区の外れにある古い建物だった。
かつては研究施設だったらしく、今では使われなくなって久しい。
「すごい、こんな感じになっているんだ.…」
好奇心に目を輝かせるピカル。
しかし、建物を間近で見ると、想像以上に老朽化が進んでいた。
「やっぱり危ないな.…。キララ、ここで待ってて——」
「やだ!いっしょ!」
キララが再び兄の服を掴む。
「……分かった。でも手を繋いで、絶対に離さないでね」
「うん!」
ピカルがキララの小さな手を握り、二人は古い扉の隙間から建物の中に入っていった。
内部は薄暗く、埃っぽい匂いが漂っていた。
床には古い機械の部品や書類が散乱している。
「わあ、なにこれ!」
キララが興味深そうに辺りを見回していると、突然天井から不穏な音が聞こえた。
ミシッ…… ミシミシッ……
(!嫌な予感がする.…)
「キララ、出よう!急いで!」
ピカルの声に緊張が走った。
長年放置されていた建物の構造に、限界が来ているのだ。
二人が慌てて出口に向かったその時——
ドォォォン!!
天井の一部が崩れ落ちてきた。
瓦礫が扉を塞ぎ、二人は建物の中に閉じ込められてしまった。
「うわあああん!」
キララが泣き声を上げる。
飛び散った破片が彼女の額に当たり、血が流れていた。
「キララ!!!大丈夫!!?」
ピカルは慌てて妹を守るように抱きしめた。
しかし、キララは恐怖とショックで泣きやむことができず、震えながら兄にすがりついていた。
「おにいちゃん…いたいよぉ…」
「大丈夫、大丈夫だから。僕がついてるから」
ピカルは震える声でキララを抱きしめた。
まだ6歳の少年には、この状況があまりにも重すぎた。
建物は更にきしみ続けている。
いつ完全に崩壊してもおかしくない状況だった。
「誰か……誰か助けて……」
ピカルの小さな声が、薄暗い空間に響いた。
第二話は長くなってしまったので、分割①②として分けてあります。
続きは第二話②へ
外伝のPV動画(youtube)にございます。
https://youtu.be/i-ovccDfyew?si=UjOiZMOHUMt6O6ng
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