【二人で金魚すくい】
※挿絵はAIイラストを使用しています
「えいっ!……あっ、また破れちゃった〜!」
金魚すくいのポイを握りしめたまま、 キララは肩を落とした。
金魚はすばやく水面をすり抜けて、 まるでこちらを笑っているみたいだ。
「やっぱり地球の遊びってむずかしい……」
不満そうに口をとがらせたその横で
「……ふむ、コツさえ掴めば簡単だな。」
落ち着いた声とともに、 ヒョイヒョイと金魚をすくっていく。
ピカルの手際の良さに、屋台のおじさんが思わず
「お兄さん、うまいねぇ!」
と声をかけるほどだった。
「お兄ちゃん、なにその余裕顔!? ずるい〜!」
「努力と観察の結果だ。ほら、いっぱいとれたぞ」
「くっ……認めたくないけど、さすがお兄ちゃん!つまり“さすおに”ってやつだよこれ……!」
夜風にゆれる提灯と、遠くで咲く小さな花火。
にぎやかな笑い声が、夏祭りの夜に溶けていく。
「……くやしぃ……! もう一回!!」
キララはすでに三回目の挑戦。
財布の中の小銭もそろそろ底をつきかけているのに、まだ目をキラキラさせていた。
(こういう時の執念はすごいんだよな……)
ピカルは苦笑しつつ、金魚が入った袋を少し揺らしてみる。
透ける水の中、赤や白の尾びれが優雅に揺れていた。
「お兄ちゃんの袋のやつ、さっきより増えてない?」
「屋台の人が“もう充分だから”って譲ってくれたんだ」
「それって優しさ!?お店の人の敗北宣言じゃなくて!?」
ふてくされるキララの頬が、ぷくーっとふくらむ。
「いいなぁ~。お兄ちゃんは、なんでもすくえちゃって」
その呟きに、ピカルは一瞬だけ動きを止めた。
「……そうでもないさ」
「え?」
「すくえないものもある。たとえば……」
そう言いかけて、ピカルは口を閉じた。
『星の未来』
『託された責務』
そういうものを持ち出すには、今夜はあまりにもナンセンスだ。
だから代わりに、笑ってこう言った。
「キララの金魚に対する情熱……とか?」
「ちょっとバカにしたでしょ!?」
「してない。敬意だよ」
「む〜〜〜〜!!」
ぷいっとそっぽを向いたキララの髪が、夜風にふわりと揺れた。
その先にある遠くの花火と、彼女の肩ごしにこぼれる笑顔。
(こういう笑顔になれる時間が、あの星にも溢れたら.…)
そう小さく願った。
参加者リクエスト:キララとピカルで金魚すくい
お読みくださりありがとうございます!
ブックマーク、評価、コメントを頂けると大変嬉しいです!!
リクエスト企画の方は不定期で参加者様を募集してます。
Xで最新情報を投稿してますので、よかったらご覧ください。




