【はじめてのクレープは、甘くてやかましい】
※挿絵はAIイラストを使用しています
「なにこれ……!くるくる巻かれたご飯じゃないのに、甘くてしかも片手で食べられるなんて……!」
キララの目がきらきら輝いている。
白いクリームがたっぷり詰まったクレープを両手で抱えて、頬を落とす勢いでかぶりついた。
その隣でピカルもひと口、慎重にクレープをかじる。
とろけるクリームと果物の酸味が口の中で広がり、少しだけ驚いたように目を細めた。
「……なるほど。確かにこれは……軽食というより“娯楽”の味だな」
口調こそ冷静だが、その表情はほんのりほころんでいる。
普段は質素な食事を好む彼にとって、この甘さはなかなかの衝撃だったようだ。
「ねっ!? おいしいでしょーっ!」
キララは嬉しそうに言いながら、ぴょこんと背伸びする。
その口元には、ばっちりクリームがついていた。
「お兄ちゃんっ、わたしもう2個目いっちゃうよ!」
「……その前に。あとで鏡で自分の口元、見ろよ」
ピカルがやれやれと呆れ顔で言うと、
キララはお構いなしに満面の笑みでピースをキメた。
「え〜!?大丈夫だよ〜、ほらっ♪」
その様子にあきれ顔で一つため息をつく。
「だから!その口にクリームがついたままの顔で笑うのはやめなさい。ほら、ついてる……ここ……ここにも」
ピカルは鞄からハンカチを出しで拭いてあげようとするが
「きゃっ、くすぐったいってば〜〜!」
と言ってもぞもぞと動いて逃げようとするキララ。
だが抵抗むなしく、強制的に口の周りを無理やり拭かれる。
それはまるで小さい子を世話している親の気分だ。
「ふぅ……まったく。子どもじゃないんだから……」
「えへへ〜。でもね、お兄ちゃんが隣にいると、おいしさ2倍な気がする!」
とこちらの心配をよそに、調子を狂わせるような笑顔で返してくるからたまったものではない。
ピカルは少し照れながら
「……そうか。じゃあ次は、3個目は半分こにしようか?」
その言葉に、キララの瞳が煌めいた。
「えっ! ほんと!? やったーっ!そしたらあそこ!」
ぴょんっと飛び跳ねて、嬉しそうに次のクレープ屋さんを指さした。
既に彼女は目的の店まで小走りで向かっている。
その姿に苦笑しながらも、ピカルも歩き出す。
「……って、もう行くのか。さすがにペース早いな……」
二人の笑い声が、街角にふわっと弾けた。
春の陽気と甘いクレープの香りが、今日という一日をやさしく包み込んでいた。
セルフリクエスト:二人でクレープ体験
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