【ふんわり卵焼きに朝の香り】
※挿絵はAIイラストを使用しています
朝のキッチンは、柔らかな陽光に包まれていた。
窓から差し込む光が、ピカルの横顔を淡く照らす。
その視線の先、熱を帯びた卵焼き器の上で、黄金色の液体がふつふつと揺れていた。
「火加減を、ここで少し強めて……」
ピカルの低い声が、静かな空間に溶ける。
手首をすっと返し、菜箸を巧みに操りながら彼は続けた。
「巻くタイミングを逃さないように……よし。」
ぱたん、と音を立てて卵を巻き上げる。
無駄のないその所作は、まるで熟練の職人のようだった。
「わあ……お兄ちゃん、めっちゃ職人さんみたいじゃん!」
キララがカウンターに身を乗り出し、瞳を輝かせる。
「いや、ここからが難しくて」
ピカルは淡々と答える。
「これは技術の問題というか、工程の最適化を――」
「はいはい、説明されても私はできる気がしないので大丈夫でーす!」
キララは笑いながら手を振り、冷蔵庫の方へと駆けていく。
「お皿の準備してくるね~!」
お皿を手に戻ったとき、キララの目に飛び込んできたのは、美しく巻き上げられた出し巻き卵だった。
ふんわりとした層が重なり合い、ほのかな湯気を立てながら輝いている。
「うわぁ……ほんとにキレイ……!」
キララは思わず息を呑む。
光を受けて、卵の表面がほんのり艶めいていた。
ピカルは少しだけ照れくさそうに目をそらしながら、卵をそっと皿に滑らせる。
「もうちょっとふわっと仕上げたかったんだけど……まあ、次回の課題だな」
「いやいや、十分すごいから!? これ朝から食べられるなんて最高でしょ!」
キララは、嬉しそうに声を弾ませた。
そのままふたりは並んで、朝食を囲む。
キララが一口頬張ると、ふわりと広がる出汁の香りに目を丸くした。
「ん~~~~っ!」
もぐもぐと口を動かしながら、親指をぐっと立てて見せる。
ピカルは、静かに小さく呟いた。
「……よかった」
その声を聞いて、キララはにっこりと笑い、コップの水をくいっと飲み干した。
「よーし、今日もがんばるぞ~!」
太陽の光が差し込むキッチンに、ふたりの笑い声があたたかく響いた。
まるでこの時間ごと、幸福という名前の色で染められたみたいに。
リクエスト:ピカルで出し巻き卵(和食体験)
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