【居眠りにハートを添えて】
※挿絵はAIイラストを使用しています
「んも~~、またこんなところで寝てるし……」
キララは部屋の扉を開けた瞬間、思わず声を漏らした。
そこはピカルの“作業部屋”。
壁一面の棚には本や資料がぎっしり詰まり、机の上にはメモ帳とデータ端末が無造作に積み重なっている。
夕陽が差し込む窓辺、そこに横たわるのは青い髪を少し乱し、開いた本を抱えたまま眠り込む兄の姿だった。
「おーい、お兄ちゃん~!」
キララは声をかけながら近づくが、返事はない。
「そこで寝てると風邪ひいてもしらないよ~~??」
そのとき――
「……単位エネルギーの伝達経路が……交差して……」
ピカルの唇が、かすかに動く。
(……寝言?)
キララはきょとんと瞬きをした。
「また呪文いってる……。絶対、夢の中でも分析してるなコレ」
机の端にはコーヒーのカップと、まだ消えかけのモニターの光。
きっと、何時間も集中していたのだろう。
その疲れが一気に押し寄せて、このまま眠ってしまったに違いない。
「もう……ほんと、まじめすぎるんだから。」
小さくため息をつき、キララはそっとタオルケットを手に取る。
肩にふわりとかけてやると、兄の呼吸が微かに落ち着いた気がした。
その寝顔は穏やかで。
普段の知的で隙のない表情とは違い、どこか幼さすら残しているように見えた。
キララは胸の上に置かれたメモ帳をそっと手に取り、ページをめくる。
びっしりと走り書きされた文字。
《地球とアルフィオスにおけるエネルギー循環の共通構造》
《文化再生と記憶ネットワークの影響》
線で結ばれた図解や数式が、紙面を埋め尽くしていた。
「うわあ……。相変わらずの謎メモ……」
ちょっと感心しつつも、キララはそっとペンを取り余白に書き加えた。
《おやすみお兄ちゃん! でもちゃんと布団で寝ようね!》
その下にちいさな星マークと、ハートをいくつか添えた。
「これで、起きたときにちょっと笑ってくれたらいいな。」
そう呟くとキララは立ち上がり、静かに部屋を出ていった。
窓の外では、夕陽がオレンジ色に街を染めていた。
その柔らかな光が、ピカルの頬をそっと照らす。
胸の上に置かれたメモ帳に、彼の手がそっと触れていた。
まるで夢の中でもキララの声に返事をしているみたいに。
参加者リクエスト:ピカルでメカクレ
※わかりやすいようにタイトル改変してあります。
お読みくださりありがとうございます!
ブックマーク、評価、コメントを頂けると大変嬉しいです!!
リクエスト企画の方は不定期で参加者様を募集してます。
Xで最新情報を投稿してますので、よかったらご覧ください。




