【ピカル・王族風コレクション】
※挿絵はAIイラストを使用しています
石畳のアプローチに、重厚な鉄の門。
その奥にそびえるのは、白壁に蔦を絡ませた洋館。
まるで物語の一頁を切り取ったような光景だ。
その前に立つのは、ピカル。
着せられたのは、地球のクラシックなロングコートと、金の刺繍が施されたベスト。
まるで貴族か王族の肖像画から抜け出したような姿で、しかし本人の顔には明らかな困惑が浮かんでいた。
「はいっ、そこでストップ!」
カメラを構えたキララが、声を弾ませる。
「そのままポーズ決めて~!はい笑顔!いい感じ、すっごく似合ってる~!」
「なんでこんな格好を……?」
笑みを崩し低く呟くピカルと対照的に、キララは満面の笑みで答えた。
「いいのいいの!似合いそうだったから衣装借りて見たの! よーし、どんな感じに撮れてるかなー?」
二人でスマホを覗き込む。
そこに映るのは、洋館を背に立ち姿だけは完璧に様になっているピカルの姿だった。
「おおー!こういう格好見ると、ノヴァ様みたい!」
「えぇぇ……」
ピカルの口元がぴくりと引きつる。
その表情に、キララは
(理由はよくわからないけど、本気で仲悪いんだな~)
と心の中で笑った。
その後もしばらく、ピカルはキララのスマホに翻弄され続けることになる。
「はいっ、次はちょっと真顔で!腕をこうして――よし、決まった!」
「しかしこれ、本当に何に使うんだ?」
「記念だよ記念!“お兄ちゃんの変身アルバム”ってことで!」
「はぁ!?聞いてないぞ、そんなアルバム……!」
カメラのシャッター音が続く中、ピカルは小さくため息をついた。
が、唇の端には、かすかな笑みが浮かんでいた。
(……まぁ、キララが楽しそうなら、それでいいか。)
だが、その瞬間
「でもさ、ノヴァ様ってこういう服よく似合いそうだよね~。あの人、立ち姿だけで貫禄あるし。お兄ちゃんと並んだら凄そう!」
無邪気にそう呟いたキララの言葉に、ピカルの動きが止まった。
「……やめてくれ。あの人を並べないでくれ」
声のトーンが一気に低くなる。
キララはきょとんと目を瞬かせ、そして吹き出した。
「えっ、そこまで!? も~、冗談だよ!……でも――」
彼女はふいにピカルの隣に寄り、スマホの画面を一緒に覗き込みながらふっと笑った。
「私は、お兄ちゃんの方がずっと“かっこいい”って思ってるけどね?」
「……っ!」
ピカルの頬が、みるみる赤く染まる。
彼は顔を逸らし、咳払いで誤魔化そうとしたが、耳の先まで真っ赤になっているのを、キララはしっかり見逃さなかった。
シャッター音が鳴る。
「よーしっ、これがベストショットってことで決定~!」
「や、やめろ……!」
その日。
ピカルのスマホには、『ピカル・王族風コレクション』と名付けられた謎のアルバムが、静かに追加されていた。
参加者リクエスト:ピカルが洋館前で佇む姿
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