38.血溜まりチャチャチャ
おれたちは世界を昇っていた。
神になるつもりなど毛頭なかったし、どうせどんな世界をつくっても地獄であることに変わりはないからだ。
ただ別に、現実世界へ向かいたいわけでもなかった。
つまりはなんとくってこと。
明確な理由を一つ挙げるとするならば、巡礼になるのだろう。
おれたちのしでかしてきた罪。その痕跡を辿り、ただ祈る。
行動になんの意味があるのかはまだわからない。
ただひたすらに祈る。祈り続ける。答えを探すのはその後でいい。
正しいことなのか、大切なことなのか。
ただ、重要であるのは確かだった。
連れ合いは二人いる。
一人はおれの片割れ、血色の少女キナ。
もう一人はナナシと名乗る、陰気な奴だ。
どうやら記憶を失う前のおれと並々ならぬ接点があったようだが、いまひとつ思い出せないし、思い出すつもりもなかった。
やけに見た目が好みだったから、同行を許したにすぎない。
キナは当初かなり不満そうだったが、なぜかナナシのことは大切に思っているようで、渋々許諾してくれた。わけがわからない。
不思議なことといえばもう一つ、無心で歩いていると時折、こんな言葉が聞こえてくるのだ。
『生石君、目を逸らしちゃダメだよ。ほら、ちゃんと見てよ』
耳を塞ぐ。聞くな、聞くな、聞くな、聞くな。
チャ。
チャ。
チャ。
チャ。
チャ。
足音なんて聞くな。
見下ろせばほら——。
『私を見て』
血溜まりに映るソレを、思い出してしまうから。
完。
ここまで読んでいただきありがとうございます。
彼らの物語は一旦ここで終わりですが、別作品には普通に登場してきそうです。




