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[完結]引きこもりの少年は異世界で森に引きこもる、はずだった。~幼馴染の聖女の為になし崩し的に異世界を連れまわされた件~  作者: 安ころもっち
第四章・王国のダンジョン攻略

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83.異世界人と王国の貴族 02


 王国に来てから2週間以上が過ぎた。


 現在45階層を超えたところ。

 そろそろ森に帰りたいというホームシックを抱えながらダンジョン探索を続けている。


 31階層からはさらに強力な魔物が増えたが、それぞれが与えられた新しいスキルにより3チーム体勢を維持しながら攻略を進めていた。

 時には危険な魔物の出現により他チームの助けを借りたりしながら、着実に階層を上げていったのだ。


「そろそろ厳しくなってきたかもしれないな」

 そう言ったのは飯田だった。


 45階層を堺に、飯田達のパーティ以外は死の危険を感じる場面が増えてきた。幸運なことになんとか乗り切ったものの、一歩間違えば誰かが命を落としてもおかしくはない状態ではあった。

 いっそ全員で纏まって進もうか?という意見もあったが、それでは飯田達の後ろをついて歩くだけの状況となるだろう。それならば飯田達だけで進む方が背後を気にしないだけ効率が良いはずだ。

 恐らく飯田達だけなら現時点でも50階層を目指せるのではと思っている。


 本来なら何年もかけて修行をして能力値を上げ、スキルを獲得して技術も磨く。そうやって階層を上げていくのが定石であるので当然ではある。それをしたとして、30階層を超える為には良いクラスに恵まれる必要があるのだ。

 飯田達を含め、多数のチートクラスがいるパーティであるからこそ、全員がそれなりに進むことができているのだ。


 話し合いの末、飯田と蘭堂の率いるパーティは先を進めつつ、他のメンバーは地道に適正階層に籠ることにした。

 それぞれがダンジョン内で得た素材や宝箱から出たアイテムを売却したり、それらを原資に良い装備品を作ってもらったり、それに不和さんが付与をかけたり北山さんが素材を使い魔道具化を試みたりと、誰もが忙しく動いていた。

 少しずつだが成長しているのだと実感することはできていた。


 そんな中、マイケイル国王のアドバイスもあり、改めてスキルの使い方を学ぶ機会も設けてもらった。

 帝国ではいわゆる力押し、スキルをイメージできればそれで良いという発動方法でしかなかったが、王国では様々な方法でスキルの威力を上げたりする研究がなされているという。


 今日は王国の筆頭魔導士だというおじいさんが教官として教えてくれるようだ。


「水の精霊様に我は求む。何よりも強く激しく、天へと舞い上がり何者にも負けない鋭敏な一撃で敵を打ち砕きたまえ!天翔けるは水の槍撃!」

 目の前で1本の指を立てている教官は、その上に人の形をした水を矢を作り出し、そして弾けるように天に上ると、用意されていた的にまるで雷でも落ちたかのように突き刺さり破裂した。


「今のはワシのスキル、水槍を使った攻撃じゃ」

 そう言ってにやりと笑う教官に、皆が驚きの声を上げる。


「このように、スキルを強くイメージすることが何よりも大事であり、その発動の際の詠唱についてはスキルの名を入れぬとも発動するのじゃ。己の脳裏に一番しっくりくる詠唱を探すことが一番の近道なのじゃ!もちろんしっくりくるのであらば、スキルの名を言ってもかまわんぞ?」

 その言葉を聞いてそれぞれが周りと相談するように話し始めた。


「ここに様々な詠唱をまとめた書を用意した。こういったものは語彙力が必要じゃ。自身で一番想像しやすいものを使い、さらに昇華させることは人としての楽しみの一つじゃよ。

 もちろんこれは魔術クラスを持つ者の四大魔法についても同様じゃ。どうじゃ?夢が広がるじゃろ?」

 またも笑う教官を見て、気の良いおじいさんだなと思った。


 みんな用意された本を回し読みしている中、銀の刺繍が入ったローグを身に着けた男達が3人近づいてくる。


 筆頭だという教官が金の刺繍が入ったローブを身に着けているので、部下が様子を見にでもきたのだろうか?そう思った。


「これはこれは筆頭殿、こんなところで他国の者に我が国の貴重な研究結果を漏洩されているとは、この国はもう帝国の属国に成り下がってしまったのでしょうか?」

 1人の男がそう言うと、他の2人はこちらも睨んでいる。


「お前達が気にすることでは無い。陛下がお決めになったことじゃ。これから帝国とはより良い関係を築いてゆくのでな」

「そんな悠長なことを言っていると足をすくわれるのでは?」

「今後、我が国は帝国とは強固な同盟を結ぶ近しい国となる。何より今現在、この若い子達にこの国の危機を救ってもらっておる真っ最中なのは知っておるじゃろ?それを恥ずかしげもなくそんな雑言を口にするなど、それこそが王宮魔導士の質を損なう下劣な態度ではないか?」

 教官にそう言われた3人は悔しそうに歯噛みし、俺達を再度睨みつけている。


「お言葉ですが、我が国の研究の成果を奪い去り、さらに力をつけたこの者達が我が国に反旗を翻し、陛下を亡き者にせんと画策している。そんなことは絶対に無いと言い切れるのですか?」

 そんな男の反論を聞き、深いため息をつく教官。


「言っておくが、俺達が本気を出せば今のままでもこの国を落とすことは容易いか?なんなら試してみようか?」

 飯田が3人をジッと睨みそう言った。


「それ見た事か!」

「馬脚を現しましたね!」

「やれるものならやってみるが良い!返り討ちにしてくれる!」

 そう叫びながら身構える3人の男。


「辞めんか!この者達はこの若さですでに40階層後半で活動する強き者達じゃ!ここで詠唱について学ばぬとも、いずれは一騎当千、この国の者達は誰一人叶わぬ存在意になるであろう!そのような者達と敵対するなど……お前達はこの国を滅ぼすつもりか!」

 怒気を強めた教官はそう言って3人を睨む。


 3人は悔しそうに顔を歪ませると、何も言わずその場を離れていった。


「すまんのぉ。恥ずかしながらこの国にもあのような狭量(きょうりょう)な者もいるのじゃ。陛下にはお主達に強くなってもらうよう協力を惜しむなと言われておる。その書を見て気になったものがあれば、使うてくれ。

 スキルによっては鉄板の文句もあるのでな。アドバイスもさせて頂く。気になることがあればなんでも聞くが良い」

 申しわけ無さそう言う教官を見て、優しかった小学校時代の担任の先生を思い出してしまった。


 そんなこともありつつ攻略を進める俺達。

 50階層に挑戦できるようになったのはさらに1週間が経った頃だった。


「じゃあ予定通り俺達から入るから、連絡を待っててほしい」

 そう言っていつものように扉を開け闇に消える5人。


 俺達は飯田からの連絡を来るのを待った。


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