表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
[完結]引きこもりの少年は異世界で森に引きこもる、はずだった。~幼馴染の聖女の為になし崩し的に異世界を連れまわされた件~  作者: 安ころもっち
第四章・王国のダンジョン攻略

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

84/159

81.ワイドラゴ王国のダンジョン 03


――― ワイドラゴ王国・王都ダンジョン 30階層


 4日後、俺達は試練があるという扉の前までやってきた。


 途中、異常に強い死霊騎士(アンデッドナイト)が出現し杉浦さん達が死にかけたが、近くにいた飯田達により助けられるという出来事もあり、3チームに分かれ纏まって進むことになったことで若干ペースが落ちた。


 飯田達は杉浦さん達と、横井達は当然のように不和さん達と、そして俺、フラン、未波達は蘭堂達と一緒に、各階層をくまなく回りながらも先を急いでいた。


 試練についてはボス戦になるというのでどれ程の強さの魔物が出るか心配になるが、ボス部屋は脱出用の魔法陣も設置されているはずなので大丈夫とのこと。

 初見殺しで全体即死攻撃でもなければだが。と飯田が説明していた。


 そもそも大森林のようにボス戦以外の試練は、過去の書物や口伝による話にも無いのだという。

 それでも慎重にということで、まずは飯田達が5人で向かうというので見送った。どうせなら全員で入れば良いのに、とも思ったが何か考えがあるのだろうと下手に口出しはしなかった。


 数分後、飯田から通信具で連絡がきた。

 特に問題のない敵でそれぞれのパーティならクリアできるだろうと言われホッとする。


「じゃあ、さっさと終わらそうぜ」

 加藤さん達と話をしていた蘭堂にそう促され、未波を先頭にまずは俺達が続くことになる。


 先頭で扉を押そうとした俺を蘭堂が止める。……が、すぐに開放される。


「なんなんだ?」

 そう言いながら玉井さんの後ろについて最後に扉をくぐる。


 いや、くぐろうとしたというのが正解だろう。

 俺は見えない壁にぶつかり鼻を強打してしゃがみ込む。


「な、なんだよこれ!」

 鼻を抑えながらそう言って振り返ると、残っていた者達からは笑い声が返ってきた。


「ふひっ、ボス戦な、5人までしか、くふっ、入れん……もうだめだははは!」

「わ、笑ったらだめだよ、ぷふっ、森の時は全員で入れた、珍しいダンジョン、だったんだし、くふっ」

 蘭堂と横井がそんな話をしながら背中を向け体を震わせている。


 不和さん達も必死に笑いをこらえているようだ。

 また盛大にから揶揄われてしまった。

 扉に入る前に未波が心配そうな顔でこっちを見ていたのはそれが理由か。くっそー!だから集団行動は嫌なんだ。そう思いつつも少しだけ心地よさを感じてしまう。


「なんだよもー!」

 そう叫び地面に胡坐をかきつつ頬がゆるんでしまった。


「あのさ、良ければ私達と、一緒にいこ?」

 俺の前にしゃがんでそう言う池田さん。


 ふと杉浦さん達を見ると3人共俺に背中を向けている。


「よろしく」

 そう一言返すと、池田さんからは笑顔が返ってきた。その笑顔を見て、数日前のあれを思い出し、照れもあり顔を背けてしまった。


「さて、いっぱい笑わせてもらったし、行こっか?」

 杉浦さんの号令により立ち上がる。


 最後尾を歩きながら扉をくぐる時は少しだけ緊張した。

 当然なのだろうが無事くぐることができ、大きな部屋に入ると扉が音もなく閉まった状態に戻る。開ける時も手を触れただけだったので、そういった魔導具のようなものなのだろう。


 部屋に入ると床の魔法陣が光るので身構える。


「佐田、右側の青い魔法陣、あれが部屋から出るやつだから」

 杉浦さんに扉側の端にある魔法陣を教えられ頷いておく。


 やはり大森林の試練とは何もかもが違うようだ。


「強固に守れ。[鉄壁]」

 俺はいつものように格子状の壁をみんなの前に設置する。


 光がおさまった魔法陣からは死霊騎士(アンデッドナイト)が出現していた。


「げっ!」

「マジかよ!」

 杉浦さんと古川さんがそう嘆く。


「とりま様子見、貫け氷結の槍!」

 古川さんが鉄壁を避けるように手を伸ばし魔法を放つ。


 それは綺麗な弧を描き、剣を構える死霊騎士(アンデッドナイト)を貫き、背後に抜け氷の槍は砕け散りキラキラと光を放っていた。

 俺達はそれを呆然としながら見ていた。


「弱すぎない?」

「途中で見た奴は別格ってこと、だったのかな?」

 杉浦さんと古川さんがそんな話をしている。


 池田さんと河野さんも、拍子抜けした様子だ。

 俺は安堵し座り込んだ。


「とりあえず、出よっか?」

 すぐにそう言われ慌てて立ち上がり、前方に出現した扉をくぐる。


 心配そうな未波が待ち構えていた。飯田は剣を振り鍛錬をしていたようだが、他の8人は地面に座り込み惚けていたようだ。


「勝基君、大丈夫だった?どこも怪我してない?治癒しとこうか?」

「だ、大丈夫だって。古川さんが一撃で倒しちゃったし」

 そんな会話をしている間に、次々にやってきたみんなを眺めていた。


 フランも横井と不破さん達の混成チームに交じりクリアしたようだ。

 横井が不和さんとフラン、柳本さんと北山さんの5人で組んで、横井が[一閃]でクリアし、その他の4人で組んで田中が[竜戟槍]でクリアしたらしい。

 フランは俺に抱きつくように腕を腰に回しながらステータスを確認し、クラスが人形師から傀儡師に代わっていることを教えてくれた。


 不思議なことにより少ない魔力でスキルが発動できるようになったと理解できたらしい。他にもクラスが変化した者もいたが、新たにスキルを得た者もいるようだった。俺はステータスを開くのをぐっと堪えていた。


 全員が無事試練となるボス部屋をクリアしたのを確認すると、少し早いがここで一旦帰還することにした。俺は部屋でじっくりとステータスを確認したかったので、逸る気持ちを抑えようやく部屋へと帰り着いた。


 帰路の中、未波からは大聖者のクラスになったことを告げられ「これでもっと勝基君を癒せるよ?」と顔を赤らめ揶揄われたので、部屋に入った俺は、クラスの変化で引きこもり脱出を期待してステータスを開く。


 そして、やっぱり一人で確認して良かったなと思い、そのまま枕に顔を押し付け泣いた。夕食も食わずにそのまま眠りに就いた俺は、翌朝、ステータスの変化を聞きたい未波達に強襲されるのであった。


ブクマ、評価、励みになります。感想お気軽にお書きください。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ