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[完結]引きこもりの少年は異世界で森に引きこもる、はずだった。~幼馴染の聖女の為になし崩し的に異世界を連れまわされた件~  作者: 安ころもっち
第四章・王国のダンジョン攻略

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80.ワイドラゴ王国のダンジョン 02


――― ワイドラゴ王国・王都ダンジョン 20階層


 ダンジョンに入って8時間。

 途中休憩を挟みながらも攻略を進めていくが、気分は遠足であった。それでも順調、かなりのハイペースなのだと思う。


 確かにこのダンジョンは魔物達の数が多い。感覚的には大森林のダンジョンと比べても倍以上の魔物が湧き襲ってきているという印象だ。帝都のダンジョンと比べても湧きが異常らしい。


 それでも今のところ余裕があるので、それぞれがチーム毎に各階層をくまなく回って魔物達を減らしている。大森林の30階層をクリアできる面々が総出で回っている為、このようなハイペースでの攻略になっているのだ。

 ゴブリンやらスケルトンやら人型の魔物が多く、動きが読めるので戦いやすいというのもあるが。


 人型以外だとスライムやウルフ、スネークや一角兎などもいた。

 珍しい種類だと爆発する種を吐く大砲花(バズーカ)や1メートル程の巨体で転がって体当たりをしてくる弾子虫(ダンゴムシ)という魔物もいたが、どちらも難なく狩ることができている。


 たまにその階層に相応しくない程の強い魔物も出てきていたが、それも異変の一つなのだろう。帝都のダンジョンではなかった現象だという。


 俺自身は早く森に帰りたいというのが正直なところなのだが、こういったダンジョンを攻略するという行為は普通に楽しい。

 できれば一人で黙々と攻略を楽しみたいところだが、今のところ俺にそんな自由は与えられていない。いつか1人で、なるべく人と関わりを持たずに、自由気ままに旅をしてみたいなと考えてしまう。

 今のところ今回の事が終われば森に籠ることは確定だが。


 初日という事もあり、ダンジョン内に寝泊まりすることはせず、転移札の登録を済ませ帰還する。


 夕食の準備はできているということなので部屋に戻りシャワーで汗を流す。もちろん個室が用意されていたので安心してシャワーを使うことができた。個室が用意されていなかったら森へ帰るところだ。

 そう考えながらシャワーを浴びて一日の疲れを洗い流していたが、思えば文句を言ってる間に横井達の部屋にでも行けばよかったのか?と思いつく。

 いや待てよ?良い感じになっているようなので、もしかしたら不和さん達と部屋を各自行き来して、いや、いっそ皆で一緒にという流れになっているかも……


 やめよう。

 変な妄想が浮かんでしまったので温度を下げたシャワーを浴び頭を冷やす。


 すでに飯田がマイケイルに報告を済ませているというので、夕食を終えると部屋に戻る。隣には何故か腕を俺に絡ませ歩いていたフランが。そのフランはそのまま俺と一緒に部屋に入ろうとするので慌てて止める。


「いや、なんで入ってこようとする。……未波もこっそり入ろうとするなよ」

 フランに抵抗しつつ背後にいてフランを後押しする未波にも文句を言う。


 そんな文句を扉付近で話していると、その未波の背後には池田さんまでいるのを確認する。やはり自分が玩具にされているのだと感じてため息がもれる。


「明日もダンジョンだぞ?そんなふざけてないで、三人とも部屋に帰って早めに寝てくれよ?」

「まだ寝る時間ではございませんわ?」

 そう言って少し赤らめた頬を両手で挟みモジモジするフラン。


「そうだよ?まだ寝る時間じゃないけど、でも勝基君が寝たいっていうなら、その、一緒に……」

 同じく下を向き体をくねらせている未波がそんなことを言う。


 耳まで真っ赤になっている未波を見て、そこまで体を張って揶揄わなくても、と考えてしまう。俺を揶揄うのはそんなに楽しいのだろうか?

 池田さんは何も言わずに真っ赤な顔をこちらに向けている。それはそれで少し照れる。最近はこうやって揶揄ってくる彼女にも少し慣れてきたが、それでも多少びくついている俺もいる。


「そんな事いってると、俺だってお前達を襲っちゃうかもしれないぞ?」

 3人の圧に負けないようぎこちなくもそんなことを言ってみる。


 3人から変な声が聞こえてきたが、その勢いは止まらずそのままジリジリと圧をかけてくる。

 力ではまだ負けてない。そう思っていたが、3人がグイグイと体を押し付けてくるのでどこに手を置いてよいかわからず後退る。


「ひ、卑怯だぞ!三人がかりでなんて……くっ、いや、待って?待て待て、うわっ!」

 押されながら後退する俺は、気付けばベッドに倒れ込んでしまう。


 そして、体のあちこちに柔らかい感触を感じ目を開ける。

 目の前にはフランの顔。そして胸に押し付けられている柔らかな感触に思わず呼吸を止める。


 左右の腕にも柔らかな何かを感じるが、なるべく想像しないようにと考えるが、俺の類い稀なる妄想力がそれを許してくれえず、2人の柔らかなアレが腕に乗っているのだと、多分そうなのだと考えてしまった。

 顔にフランの息がかかる。甘く暖かいそれに思わず喉が鳴ってしまうが、何をどうして場を濁そうか必死で考える。


 ってかフラン、なんでそんな良い匂いするの?食事の後じゃん?ってか俺、臭かったりするよね?よく分からない肉料理とかめっちゃ食べたし、絶対あのソースと混じった変な匂いとかしちゃってるよね?


 そんなことを考えている中、3人も動きが無い。多分だが3人共もやりすぎてしまった悪戯に、今どう着地しようか悩んでいるのだろう。


 ややしばらくして、左右から音がするとともに腕の圧が弱まるので、ようやく解放されると思った俺は息を吐き出そうと少し右に顔をずらす。そして近くまで顔を近づけている未波の顔が見えた。

 その顔はジワジワと近づいて来て……


「ちょ、未波?」

 心臓が激しく胸を叩いて顔が熱くなる。


 そのままでいたい誘惑に負けず顔をそむけるが、反対側には池田さんの顔が迫ってきていた。もう無理!そう思って目を瞑り体を強張らせ思考を止めた。


「おー、三人を一度になんて中々豪気だね!」

 そんな声が聞こえ目を開けると、3人はビクリと体を震わせ俺から離れ壁の端へと逃げていった。


 声の主はマイケイルで、その背後には頭を抱える飯田と他4人が立っていた。


「た、助かった」

 俺はかろうじてそう呟いた。


「か、勝基君、また明日ね」

 暫しの沈黙の後、そう言う未波と共に3人が恥ずかしそうに部屋を出ていくのを、俺はただ見送るしかなかった。


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