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[完結]引きこもりの少年は異世界で森に引きこもる、はずだった。~幼馴染の聖女の為になし崩し的に異世界を連れまわされた件~  作者: 安ころもっち
第三章・帝国を欲する者達

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69.帝国との戦いの後で 03


 帝都の城から森へと戻って1週間が経った。


「勝基君、就任式は3日後だって」

「そうか」

 俺はやっと機嫌が直った未波からそう聞き、面倒だなとため息をつく。


 この一週間でフランは皇帝への就任を渋々だが了承した。

 飯田達が情報収集をした結果、皇太子は宰相が囲い込んでいる魔導士の1人が作成した薬物により回復不能なものだと判明したからでもある。


 皇帝が交代するという一大事に、主流となっていた皇太子派の増長することに恐怖を覚えた者達からもたらされた多数の情報。

 それにより皇太子の脳に害を与えた実行犯といわれた魔導士を特定、そしてその魔導士を問い詰めた結果、全ては皇太子を傀儡として権力を得ようとした宰相の策略、ということもわかった。

 それにより宰相は投獄され、魔導士共々近日中に公開処刑となるらしい。


 その結果、皇太子派は少なからず存在した第一皇姫派に合流したようだ。

 その第一皇姫ドロンソワーズの嫁ぎ先、公爵家の当主もセドリック・ペールも乗り気のようで、皇帝になったらすぐにでも王国を取ってみせると仲間内で豪語しているのだとか……


 帝国には他に2つの公爵家があるが、どちらも同じように我こそが皇帝に、そして王国を侵略してみせる。という軍国主義な思想に固まった者達ばかりであることも確認できた。

 それらはどこかの忍者からの長さ報告もあった為、間違いない情報としてフランも納得、そんな者達が国を治めるぐらいであれば、と渋々ながら折れた形だ。


 幸いなことに今まで虐げられてきた一般のクラスの者達から、フランが皇帝になれば自分達の扱いも変わるのでは?という声が高まり、そういった人達の声が世論も後押しした為、公爵や他の貴族達からの反対の声は急激に小さくなっていったとか?


 ちなみに初代勇者が残したスマホはこちらで預かっている。

 城に置いておくと何か良からぬことに使われかねないという懸念もあり、今後飯田が異世界に戻れるスキルを得た際に必要になる可能性もあるということで、大事に[格納庫]に入れてあった。


 皇帝が最後に使ったあの巻物は、初代勇者オキタが邪竜がを倒し、その後アンデッド化してしまったものを封印したもので、城の宝物庫の奥に封印されていた物だそうだ。

 勇者オキタがなぜそれを残したかは分からないそうだが、迷惑な物を残してくれたのだと顔を知らない勇者に恨みの念を送っておいた。


 恐らく地球に転移したと思われる皇帝については、結局どうなったか確かめようがない俺達が悩んでも仕方ないという結論に達し諦めた。きっとあっちで慎ましく暮らしているか、横柄に暴れて逮捕でもされてるだろう。


 ふと、あっちでスキルとか使えないよね?と思ったが、勇者オキタも地球に戻ったようだし、何百年前にそんな話も聞いたことが無いし……いや、スマホ持ってたってことは時空のねじれとか異世界あるあるで、実は近代、もしくは未来からの召喚で、未来の地球は勇者が無双を……

 そんな妄想を繰り広げながらスマホを取り出し、旧式のフォーンさんだったことで安堵する。

 そしてまた、勇者が召喚されたのと同じ時代に帰ったと、決めつけるのもどうだろう?と考えた。勇者オキタが返った先ははるか先の未来で、そこでスキルを使って自由気ままに……やめよう切りが無い。そう思って3日後の事に頭を切り替える。


 3日後の就任式で正式にフランが皇帝陛下となる。

 俺もそれに出席し、功労者としてメダルを授与されるのだとか。もちろん拒否したが、それなら皇帝になどならないと駄々をこねるフランを宥める為、俺の強制参加が決まった。

 そのメダルは王族に準ずる権力を使える許可証となっているようで、それを持っていつでも城に遊びにきてとせがまれている。俺が使う予定もないし、貰ったら[格納庫]に永久保存しておこうと思っている。


 その就任式だが、召喚された俺達は岸本さん以外は参加するそうだ。岸本さんは「ちょっと所用があるからね」と言って断ったそうだが、もしかしたらこっそりと忍び込み、式を天井裏辺りから覗いているかもしれないと思った。

 彼女、そういうの好きそうだし。


「勝基君、衣装合わせするって」

 未波に声をかかえられ妄想から戻ってくる。


「え、衣装って、これじゃだめなのか?」

 俺はそう言って自分の恰好を再確認。


 今の俺は街で買ってきてもらったダボっとしたズボンに上着を羽織っている。インナーはもちろんルリ作の最高級品質のものだがな。これで十分だろうと思ってたんだが?


「さすがにその軽装ではまずいでしょ?他国からの来賓もあるんだし?そんな恰好じゃ、フランが恥かくんじゃない?」

「そ、それはまずいな」

 フランの名を出されたことで考えを改める。


 就任式には各国の代表者も集まるらしい。小さな国を含めると6か国。各国はすでに代表者が出発して帝都に向かっているという。

 その中で唯一、西の大国、ワイドドラゴ王国だけは帝国と転移門を繋いでいるため、まずはその王国の面々を迎えてからの式となるらしい。


 帝国側もワイドドラゴ王国はいずれ滅ぼす国、とは思っているらしいが礼儀を持って転移門でお出迎えというので、俺も当然のようにそれに参加を強要されている。


 転移門は現在帝国とワイドドラゴ王国の城を結ぶものしかないらしい。互いの了承があり、さらには大量の魔石を消費するため好き勝手には使えず、前回使ったのは前皇帝が就任した時だったとか。

 気軽に転移門が使えるのなら、王国のダンジョンにも興味が無いわけでは無い。王国のダンジョンは試練が残っているそうなので、30階層をサクッとクリアして新たなスキルを貰えたらと思ったりもした。


 そんな考え事をしている間に、気付けば俺はルリに着替えをさせられていたようで、鏡に映った俺はどっかの貴族のボンボンのようなヒラヒラした恰好をしていた。

 鏡越しに真っ赤にした顔を手で覆っている未波が見えた。


「え?待って?着替え中、ずっと未波いた?」

 その問いに答えが返ってくることは無く、顔を押さえた未波が部屋の外へ走り去ってしまった。


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