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[完結]引きこもりの少年は異世界で森に引きこもる、はずだった。~幼馴染の聖女の為になし崩し的に異世界を連れまわされた件~  作者: 安ころもっち
第三章・帝国を欲する者達

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61.反撃の狼煙 03


 皇帝に[偵察]を使った俺。


 その能力の高さは、俺が不安を感じるには十分な程であった。


――――――

マルドーク・デ・ウイストザーク / 人族 / クラス [軍神]

力 SS- / 知 A+ / 耐 A-

<スキル>

[剣術] 剣の扱いを極めし力

[気配察知] 周囲の気配を感じる力

[肉体強化] 身体能力を向上させる力

[魔力操作] 魔力の扱いを極めし力

[一閃] 少しの時間無防備になって力を溜めこみ一気に放つ力

[金剛裂破] 己の武力を拳に乗せて解き放つ力

――――――


「おい飯田、あれはやばいぞ?俺達が束になっても敵いそうにないんだが……」

 飯田の袖を引き耳元でそう告げた俺に、飯田も表情をこわばらせる。


「そんなに、か?」

「ああ。スキルもさることながら能力値がやばい。ルリに匹敵する?もしかしたらルリより強いかもしれない……」

 俺の言葉に飯田は黙ってしまったが、一度息を吐き笑う。


「たとえそれでも、俺達なら大丈夫」

 小声でそんなことを話す飯田だが、旨く笑えていないのは仕方ない事だろう。


「飯田、もしもの時は全力で逃げるぞ?」

「分かってる」

 飯田は皇帝と対峙するように前に出る。


「これはこれは勇者殿、そして、後ろにいるのは我が愛しの娘、フランソワーズではないか?無事で何よりだ」

「なにが愛しの娘ーですか!白々しいですわ!」

 皇帝の言葉にそう返すフランだったが、その顔には怯えが見える。


 そんなフランを加藤さん達が励ますようにそばに寄り添ってくれていた。


「ふっ、まあ良い。それより勇者殿、こうやってフランソワーズを連れて生きたという事は、娘を返すから今回の事は許してほしい。と言うことだろうか?」

「違う!」

 苛立ちながら叫ぶ飯田。


「では、森を開放するから見逃してくれっと?」

「それも違う!」

 チラリと俺の方に視線を向けた皇帝に、飯田がさらに叫ぶ。


「ふむ、話が見えんな。それよりも、そこの少年。君が佐田殿だったかな?」

「……ああ」

 いきなりの名指しに緊張し喉が鳴る。


「良いだろう。残念ながら我が国の民を殺害したお主達を、このまま野放しにはできぬのでな。大人しく刑に処してもらいたいところだが―――」

「何言ってんだ?そっちが吹っ掛けてきた喧嘩だろ?」

 皇帝の言葉に苛立ちながら答える俺だが、少し声が上擦ってしまった。


「まあ話は最後まで聞け。お主に良い案を提示してやろう。大人しくあの森を開放してくれないだろうか?幸い森の主とやらもお主には気を許しているのだろう?あの森は貴重な資源の宝庫だ。それが成されれば民達も助かる。

 さすれば罪を帳消しにできるほどの功績だ。お主も、その他の者達も救える。良い手立てだと思うがのぉ?そうであろう?」

 皇帝は、俺をじっと見つめ返答を待っているようだった。


「その前に聞きたいことがある!」

「……良いだろう。申してみよ」

 飯田の声に少し間をおいて笑みを浮かべ了承する皇帝。


「貴方は俺よりも強い力を持っているのだろ?」

「おそらくな」

「それにここに並ぶ方々も俺達に負けず劣らずの強者だ」

「うむ。そうなるな」

「なら……なぜ貴方達で森を制しようとしない!」

 飯田が怒りをぶつけるようにそう聞いた。


「面白いことを言う……私は当然の事、この者達に万が一のことがあれば国が沈むであろう。その為にお主達を送ったのだ」

「俺達なら死んでも良いと?」

「そうではあるが、何人かは犠牲になってしまったようだが、無事生きてここまで戻て来れたのではないか?生き残れたことを素直に喜べば良いのではないか?」

 皇帝の答えに強く握った拳を震わせる飯田。


 まったく話が通じていない気がするのは俺だけだろうか?

 最初から基本的な部分で考えが違うのだろう。


「俺達が生きていられたのは佐田がいたからだ!佐田がいなければ一瞬で皆殺しにされていたはずだ!」

「だから幸運だったという事よ。それで良いではないか?」

「お前……」

 飯田が怒りで肩を震わせている。


 俺達に対する配慮は全くないことが分かったし、もう飯田が限界っぽいので早々に終わらせてしまいたい。不意打ちで何とかならないかな?そう思いながら上原を見る。上原も俺の視線に気づいたようで一歩前に出ると両手を前に出し叫んだ。


「我が思いに従い悪を貫け![聖なる裁きホーリージャッジメント]ぉー!うぉぉぉー!」

 上原が翳した手からは神々しい光が放たれ皇帝へと向かっていった。


 吸い込まれるように進んだその光は、皇帝の目の前に突然現れた黒い空間によりかき消された。

 丁度その下に敷かれていた絨毯のように見えたモノが光を放っている。バチバチと漏電したような光が魔法陣のようなものに見える。そして、次の瞬間には火を吹き塵のように消えていった。


「な……」

 そう声を漏らした上原を筆頭に、みんな目の前で起きた光景に唖然としていた。


「目の前で見るとさすがに迫力があるものだ。神聖魔法だけは脅威であったからな。だが、ネタが分かっておればどうと言うこともない。相反する闇属性の結界であればこのような結果になるのだ。お主達も良い勉強になったであろう?」

 そう言って笑う皇帝。


 近くの兵士がその魔道具と思われる物をバックから取り出し、皇帝の前に設置していた。良く見るとそれぞれの竜の騎士の前にも同じようにそれが設置されている。準備万端だったということだろう。

 他にも色々仕掛けてありそうだが、どうやら鑑定持ちに確認させる暇もなさそうだ。すでに相対する兵士達が応戦する構えをみせていた。


「やるぞ!」

 俺はそう叫び、その声に反応して全員が動き始める。


 どうにかして皇帝を無効化しなくては……俺は方法を探す為、周りを確認しつつ後ろに下がった後衛の者達の前に[鉄壁]を格子状に設置した。


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