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[完結]引きこもりの少年は異世界で森に引きこもる、はずだった。~幼馴染の聖女の為になし崩し的に異世界を連れまわされた件~  作者: 安ころもっち
第三章・帝国を欲する者達

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59.反撃の狼煙 01


 整地作業を続けること5日目の夜。


 俺は作業が終わったことにホッとして、いつものようにルリに抱かれながら目を閉じ寛いでいた。


 作業に取り掛かって3日目、慣れたとはいえその疲労感からその日を休息日にすることを決めた俺達。


 そんな一日を俺は、今と同じようにルリに抱かれながら一日を過ごしていたことをを思い返してみた。


 その日は、『明日からまたルリにフラン達に任せるのじゃから当然じゃろ!』というルリの提案を仕方なく受け入れ、未波の冷たい視線にも負けずルリに言われるがままの怠惰な時間を過ごした。


(わたくし)も早くカツキ様のお役に立てるよう頑張りますわ!」

 そういうのはだらけ放題の俺の前に笑顔で座っているフランだ。


 二日間別行動にしていたフランは何をするでもなく、朝から俺の前に座り俺を見ていた。何がそんなに面白いのか?

 そんなフラン達の能力も着実に増え、何人かはスキルも覚えたようだ。


 飯田達は体をほぐすと言って最深部へと行ってしまった。

 大丈夫だとは言っていたが、念のためとコガネを護衛に着いて行かせた。それならと蘭堂や横井、不破さん達も一緒に行くと結局体の休まらない一日を選択したようだ。


 未波は少し離れた場所で俺に冷たい視線を投げかけながら、加藤さん達と何やら雑談をしているようだ。


 そんな休息日もあっと言う間に終わり、飯田達も戻ってきたので夕食を……と思ったが、器用に糸を操作したルリが野村さんから晩飯を受け取ると、俺の前へ置くとまるで俺を介護でもするように口元へと運んできた。


 加藤さん達はそれを見てため息をもらしていた。


 そんな一日も終わり翌日からはまた作業。

 そしてお昼過ぎの現在、作業が終わった俺達は野村さんがストックしてくれていた料理を取り出し遅めのお昼を頂いていた。


 俺は寝そべるコガネに寄りかかるようにして寛ぎながら、出汁の旨味が溢れる具たっぷりのスープを飲み干してホッと一息ついていた。


「明日は城に行けそうだな」

「そうだな。俺も時間が経ったせいか大分落ち着いたが、それでも帝国の連中がやったことを許しておくことはできない」

「最終的にどうするんだ?皆殺しにでもするのか?」

「う……そうだな、反論を聞いてからとなるが場合によっては全員切る。そうする覚悟もとうの昔に決めている!俺がそうしなきゃ、死んでいった奴らにも申し訳が立たない」

 俺と飯田でそんな会話をかわす。


 飯田の言う"死んだ奴ら"には、浜崎達も入っているのだろう。

 俺も今更あいつらにどうこう思う気はない。ましては飯田は俺のような禍根はないはずだし、ある意味犠牲者というのも理解している。


 そもそも俺は、俺自身の理由で付き添おうと思っただけだ。

 元々この森は帝都にも王国にも属さない未開の地らしいからな。言うなればルリとコガネの国だ。その二人が良いというならここはもう俺の居場所だ。奴らに俺の居場所を奪わせはしない。

 そのことを示すための戦いであった。


 そんなことを考える中、遠くからルリの気配を感じる。

 別に気配察知を覚えたわけでは無い。それが無くても感じる程の途轍もない圧を察知しただけであった。この森の中でコガネ以外でそれ程の圧を持つのはルリだけという簡単な理由だ。


『カツキ!終わったのじゃ!』

 森の深部から感じていた圧に視線を向けると、視界に映ったルリが瞬く間に俺のそばまできたと思ったらすでに抱きしめられていた。上半身の柔らかなぽよよんに圧迫され息苦しくなるが、それもまた良いなと思った。


『そちらも終わったのじゃな?』

 そう言って俺を抱きしめる手を緩めてくれたルリ。


「ああ、終わったよ。そっちも今日はもう終わったのか?」

理由(わけ)あって今日は終わりじゃ!』

 そう言ったルリはフランの方を見る。


「カツキ様!(わたくし)、やりましてよ!」

 ルリを追いかけやっとたどり着いたフランは、ハアハアと肩で息をしながらそう言って胸をはる。


「そうか」

 そう言いながらフランに[偵察]を使う。


――――――

フランソワーズ・デ・ウイストザーク / 人族 / クラス [人形術師]

力 F- / 知 F+ / 耐 F+

<スキル>

[カラクリ] 木の人形を作成して動かす力

[複製] 複数のカラクリを操作する力

[デコイ] 木の飛翔体を作り出し遠くを見渡す力

[巨大化] 制作物を魔力により巨大化する力

[巨人兵(ガーディアン)] 巨躯な魔導兵を作成して動かす力

――――――


「おお!巨人兵(ガーディアン)!」

「ええ!巨人兵(ガーディアン)ですわ!(わたくし)も試練をうけましたの!」

 スキルに書かれたそのワードに興奮する俺と得意気に胸をはるフラン。


「試練を?やったのか?石探し」

「いえ、(わたくし)が受けたのは本物のカラクリを探すものでしたわ!」

 詳しく話を聞くと、フランが30階層の例の扉を開けると、そこには鏡が乱立する部屋で、そこで勝手に作成されあたカラクリが1体奥まで走り去ったそうだ。


 なんとなくそれを追いかけると、鏡の中から複数のカラクリが現れそれをまた負いかけ……結局は意識を集中して何かを感じ、本物の自分が作成したと思われるカラクリをキャッチしたところで試練が終わったそうだ。

 そうして覚えたのが巨人兵(ガーディアン)だと。


巨人兵(ガーディアン)、見たい!」

 つい口走った俺のお願いにフランが顔を下げる。


「今日はもう無理ですわ」

 そう言って俺に体を預けてくるフラン。ダンジョンから戻ったはずなのに少し良い匂いがした。


「かなりの魔力を使いますし、複製や巨大化も同程度の魔力が必要なようですの。今は一日1体、10分程度しか出せませんわ……」

「そ、そうか。いやこれからいくらでも見れる機会があるからな。その時を楽しみにしておくよ」

「分かりましたわ!(わたくし)、もっと強くなってカツキ様をお守り致しますわ!」

 胸の中に納まってしまったフランが顔を上げてそう言って笑う。


「あ、ああ、程々にな」

 俺はそう言いながらフランの肩を優しく押し返し体を離した。フランからある程度の好意は感じるが、距離感が近いのは中々慣れない。未波と同様弟のように思われていることも分かったっているし。


 だが俺も、いつまでも守られてばかりの男ではいけないなと改めて感じた。せめて未波やフランに守ってあげなきゃなんて思われない程度には強くならなくては。そう思った。


「勝基君!私も、私も確実に強くなってるんだからね」

 そう言ってフランを引き剥がすようにそばに来たのは未波だった。


「あ、ああ。お疲れ様」

 俺は少し不機嫌そうな未波に戸惑いながらも[偵察]で確認する。


――――――

志田未波 / 人族 / クラス [聖女]

力 F- / 知 B / 耐 E+

<スキル>

[結界] 自身の指定した範囲で耐物耐魔の結界を作り出す力

[治癒] 癒しの力で傷を回復させる

[浄化] 解毒効果のある光を放つ力

[範囲回復] 周囲に常時回復の領域を作り出す力

[聖結界] 周囲に魔の者を浄化する領域を作り出す力

[上級治癒] 高い癒しの力で傷を回復させる力

[魔力譲渡] 他者に魔力を譲り渡す力

――――――


 スキルは増えてはいないが、確実に能力値を伸ばしているようだ。知力Bとかやばいなと思った。


「勝基君の事はしっかり守るからね!」

「それは、よろしく」

 笑顔の未波に心がチクリと痛みを感じながら、絶対に強くならなきゃ……と思った。


 その後は明日に備え夕食まで自由に過ごすことにした。女性陣は風呂場へ行ってしまった。女性用の風呂は度々拡張を迫られたので全員で入っても大丈夫な大きさになっている。

 その分準備は大変らしいが、そこは魔術師の古川さんの魔力も大幅に上がった為、解決したらしい。


 そんなことを思い出し、少しだけ女性陣の入浴シーンを想像してしまった俺に飯田が声をかけてくる。

 明日の予定を確認する為、飯田達と話を始めた。


 話し合いの結果、明日は正々堂々正面突破。

 全員で真っ直ぐに城へと向かい、途中で何かあっても俺達の武力があればそこらの兵士に捕縛されるようなことはないだろうと。


 まずは皇帝の話を聞き、場合によっては……そう話がまとまった。もちろん不安を抱えるものはこの森に暫く匿う方向で話を進めたが、男性陣は全員参加、おそらく女性陣も全員が行くだろうと予想できた。


 みんな帝国のやり方にムカついている。

 俺達は決戦を前に緊張を抱えたまま夕食となった。


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