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[完結]引きこもりの少年は異世界で森に引きこもる、はずだった。~幼馴染の聖女の為になし崩し的に異世界を連れまわされた件~  作者: 安ころもっち
第三章・帝国を欲する者達

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53.フラン救出作戦 05


 飯田達を援護する為、前に出て[強制退去]をと考える俺。


 拠点では無いから効果は低いが、逆にそれが良いかもしれないと思いながら。


「敵を吹き―――」

「周囲に2人を守る強固な[結界]を!傷つき嘆く兵士達には癒しを!」

 俺の声を遮るように叫んだのは未波だった。


 飯田と松本の周囲を広範囲で結界が覆う。そして、倒れそうな兵士達から治癒の白い光が立ち上る。[範囲回復]を使ったのだろう。


「嫌な上司に疲れたら、おー、〇〇!今すぐ休息をー!」

 突然前に出た池田さんが聞き覚えのあるフレーズを添えそう言うと、飯田達に襲い掛かっていた兵士達は糸が切れたように座り込んでいた。そのフレーズに思わず吹き出しそうになるが口元を押さえ堪えた。


「ちょっと由衣ちゃん?今の何?」

「いいでしょ!ネットで流行ってたフレーズ。使った[強制執行]ってスキルは試練で覚えた奴なんだよねー。思わず私の命令聞いちゃう奴?なんかやばくなーい?」

 未波の質問に金髪をくるくる指でいじりながらそう言う池田さん。


「あの大男も同じの持ってたんだよ。それをちゃんと打ち消したんだから、池田さんは凄いよな」

「うへ?ま、まーねー!」

 俺の言葉に池田さんは照れながらいつもの3人の元に戻って行った。


「な、何をさぼって―――」

「煩い!」

 例の大男、重戦士のリーガルが再び叫ぼうとしたところで、すでに射程距離に入っていた飯田がバッサリと袈裟切りにしていた。


「ひー!」

 容赦のない飯田の攻撃に隣にいた魔導士シュッツバルトが悲鳴を上げながら雷撃を乱発するが、それを未波が結界により全て防いでいる。


 無言でそのシュッツバルトを切り伏せる飯田。

 森の一件で吹っ切れてからの飯田は、強制的に動かされていた兵士達はともかく、自ら攻撃を仕掛けてくる相手には全く躊躇する様子が見えない。それが少し怖いんだが。


「さて、まだやるか?」

 石川が座りこんでいる兵士達にそう聞くが、どの兵士も顔を下げたまま返答がない。


「じゃあ、行くか?」

 俺は飯田達にそう声をかけ、怯えながら門前に待機していた兵達をスルーして城内へと入って行った。


 城内に入りいつの間にか俺の横から消えた未波を探すと、座り込む兵士達の前に立ち両手を翳している様子が見えた。

 再び[範囲回復]を使ったのか治癒により白い光りを放つ兵士達。そしてそれに拝まれてる未波。それを見て俺は、近い将来に未波はどこかで教祖様にでもやってそうだなと思った。


 いや、それ以前に未波は聖女様だったな。

 そんなことを思い出し俺は頬を緩めた。



◆◇◆◇◆



――― 自治区城内


 城内に侵入した私は人の流れを確認しながら[隠密]でフランソワーズ姫か藍川の居場所を探った。


「よいしょっと」

 警戒強めな場所を発見して柱をよじ登り、天井を板の一部を外し上へと入る。


 思わずふひひと笑いそうになる。

 忍者が潜むのは天井裏と決まっているのだ。

 帝都の城より楽に侵入できたことに安堵しながら天井裏を移動すると、下から話声が聞こえる。私は、相棒の鉄串を使って板を一枚外し隙間を開けると、その隙間からそっと下を覗き見た。


「姫、俺と一緒になれば良い暮らしをさせてやれる。それに、森にいた仲間が助けにくるだろうと思ってるが、こっちには屈強の兵士達が待ち構えているだぞ?」

「卑怯者っ!」

 覗いた先に見えたのは偉そうに椅子に座る藍川と、縛られ座らされているフランソワーズ姫だった。


 その首に嵌っているのはスキルの発動を妨害するような何かかな?まさか異世界あるあるな隷属の首輪じゃないよね?反抗的なフランソワーズ姫の返しにそれはなさそうに思うけど、もしそうなら……私は拳をぎゅっと握りしめた。


「出会ったばかりとはいえ、知り合いを殺されるのは辛いだろ?姫、君が首を縦に振ってくれれば全員が幸せになれるんだ!なんなら帝国の女王にしてやってもいいぞ?」

 藍川が下種な提案してるびで今すぐ降りて処してやろうかと思ったが、よく見ると近くには明らかに強者のオーラを纏った男達が5人。


「カツキ様が絶対に助けにきてくれます!カツキ様もイイダ様も卑怯者の率いる兵士なんかには負けませんわ!ええ、負けませんとも!」

「くっ、こっちが下手に出てるからって調子に乗りやがって……」

 ふんすと鼻息荒く宣言する姫に苛立つ藍川は近くのごみ箱を蹴り上げる。


 中にはくしゃくしゃのティッシュとかが入ってるけど、なんだかきちゃないなーと思ってしまった。侍女がせっせと片付けている。やっぱ頑張って処してやろうかな?


「そして、(わたくし)も負けませんわ!たとえこの身が穢されようとも!ええ、どんな恥辱にまみれようとも、(わたくし)は負けませんからー!」

「くっ」

 姫の斜め方向な宣言に今度は少し前屈みになる藍川……だめだ、殺そう……そして私は姫のお抱えの隠密になるんだ!


 そう思って天井の板を大きくずらした時、外から大きな爆発音が聞こえた。


「来た、かな?」

 私は少しだけ冷静になって全開きとなった天井の板の一枚をそっと戻した。


「くっそー!どうして上手くいかない!さっきから嫌な閃きしか返ってこない!このまま逃げる?嫌だ!俺は絶対にあいつらに復讐をするんだ!」

 そんな叫びが聞こえてきたが、スキルかなにかで出た予測が外れたのかもしれない。


 色々と藍川の持つスキルを予測はするが、逆にそんなスキルから嫌な答えしか返ってこないなら、もうすでに積んでいるのでは?と思った私は、このまま様子を様子を見ることに専念しようと安堵した。

 そして、天井裏の柱によりかかる様にして時を待つ。


 そんな気のゆるみからだろうか?

 下から何かの気配を察知して[影分身]から[変わり身]を使い部屋の上部から距離を取る。


 私の姿を模した分身は下から突き出た槍により消え去っていた。


 あっぶない!思わず叫びそうになった私は、心臓が煩く動くのを必死でこらえるように胸を押さえながら、少しずつ這うようにして天井裏を後退していった。

 私は騒がしくなった下からの喧騒に身の危険を感じ、その場を全力で離れることにした。


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