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[完結]引きこもりの少年は異世界で森に引きこもる、はずだった。~幼馴染の聖女の為になし崩し的に異世界を連れまわされた件~  作者: 安ころもっち
第三章・帝国を欲する者達

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52.フラン救出作戦 04


――― 自治区東門


 街道を歩き続けた俺達は、自治区の東側の門へと到着した。


 粗末な木の柵を並べた場所ではあったが、兵士達が警戒するように屯している。

 近づくとこちらをじろりと睨まれるが、特に制限はしていないようであった。これならこのまま入れるかな?そう思って門をくぐろうとした時、不破さん達のあたりを見ていた兵士が声をあげた。


「おい、そこの女達!」

 俺達は警戒を強めると、横井達が不和さん達を背後に隠すようにゆっくりと前に出た。


 俺は心の中で横井達をやるじゃん!と褒めたたえた時、飯田も前を出るとその兵士に話しかけてきた。


「何でしょうか?」

 苛立ちがにじみ出ている声でそう言った飯田に兵士達は少し怯えた様子に見えた。


「いや、もしよければ良い店を紹介しようとだな、ただそれだけだったんだが、まあ強制ではないぞ?良ければこの街一番の店をだな?」

「不要だ!」

 兵士の言葉に断りを入れた飯田は俺達に目で合図をして先を急ぐ。


「ちょっと焦ったよね」

 隣を歩いていた未波が小声で言っているので頷いた。


 さすがに周りに人が多数往来している場所で戦闘を始めることは無いだろうとは思っていたが、思った以上に素通りできたことに安堵する。

 その時、背後から金髪ギャルな池田さんが隣へ並ぶように寄ってきた。


「あいつら、私達が通り過ぎたら何やら慌てて建物の中に入ってったよ。誰かに連絡してたみたい。やばくない?」

「そ、そうか。やっぱりこれだけの人数で移動してたら目立つよな。でも飯田達もいるし大丈夫だろ?ありがとう」

「う、うっす」

 池田さんがおでこに二本指を添え、変な返事をしながら元の場所へと戻って行った。


 おそらく池田さんの所持する[千里眼]のスキルで確認してくれたのだろう。


 彼女も含め、浅野さん達のグループだった4人は、意外と真面目に修行をしていたし、俺にも素直に協力してくれるようになっていた。正直見た目で及び腰にはなるけどビビる必要はないんだ。

 そう思いながらも、緊張から解放されホッとため息をついた。


 さらに進むとそれなりに賑わっている商店街のような場所を通り抜ける。


 さらに10分程度歩いた頃には、そのにぎやかな場所は途切れ貴族達が住む様な豪華な館が立ち並んでいた。そして、その先にすでに見えている城の前、開けた場所に兵士達が固まっているのが確認できた。


「やっぱ待ち構えてるねー」

「まあ当然だよねー」

 未波達がそう言って笑っているが、正直この面子で負ける気はしない。


 そもそも勇者パーティに勝てる程の戦力があるのであれば、すでに帝国に反旗を翻しているはずだ。怖いのはイレギュラーな戦略があった場合だが……


「加藤さん、何か嫌な感じとかはしない?」

「今のところ大丈夫みたいよ?」

 頭の後ろに腕を組んでそう言う加藤さんの言葉に安堵して、俺は念の為と無言で全員を対象に[鼓舞]を使った。


「まずは俺達で先行する。蘭堂、横井達はそれに続いてくれ。女性陣は待機で守りを固めよう……でいいか?」

「俺に確認をとるなよ」

 号令をかけた飯田が俺に振るのでため息交じりにそう返答すると、飯田は少し笑って頬を掻いている。


「じゃあ、行くぞ」

 飯田は腰の剣に手を添えながら走り出し、石川達4人もそれに続いた。


「出たなガキ共!」

「やっちまえ!」

 明らかに他の者より良い装備を着込んでいる男が2人。その号令により兵士達が飯田達に合わせて前へ出て身構える。意外と慎重なようだ。


 飯田、松本の2人は向かってくる兵士達を次々と切り伏せているが、どうやら峰打ちのようだ。石川達も軽めのスキルで兵士達を戦闘不能にしている。やっぱりチートだなと思った。

 このまま問題なく進めばいいなと思ったが、どうやらそう簡単にはいかないようだ。


「お前達!何をやっている!」

 体格の良い男がそう叫ぶと兵士達から怒号のような声があがった。


 俺は[偵察]で2人のステータスを確認する。


――――――

シュッツバルト・フレイドリヒ / 人族 / クラス [魔導士]

力 F- / 知 C+ / 耐 F

<スキル>

[魔道の極み] 四大魔法を自由に操ることができる力

[魔力節約] スキル使用時の魔力消費を抑える力

[詠唱破棄] 詠唱を省略しても魔法効果を減少させない力

――――――

リーガル・ハイネック / 人族 / クラス [重戦士]

力 C / 知 E+ / 耐 C+

<スキル>

[肉体強化] 身体能力を向上させる力

[強制執行] 号令により相手を従わせる力

[鼓舞] 味方の能力を引き上げる力

――――――


 2人ともそれなりに高いステータスではあるが、正直飯田達を見ていると障害には成りえないと思った。

 先ほどの号令でリーガルが[鼓舞]でも使ったようで、兵士達の動きが良くなっている気がするが、それはきっと些細なことだろう。


 兵士達がこちらへ必死の形相で走り出し、それらを石川達が放った雷撃などにより吹き飛ばしている。


「なんだか私達要らなかったかもね」

「まあ本番は城の中に入ってからじゃないか?」

「早くフランさん助け出さなきゃね」

 未波とそんな話をしていた俺は、兵士達が再度起き上がり怯えた顔をしながらこちらに走ってくる姿を確認する。どの兵士も泣き出しそうなほどの表情で……


「い、嫌だー!」

「死にたく、ないー!」

 そんなことを叫びながらも剣を振りかざし、杖から魔法を放つ兵士達。


「なんだ、あれ……」

 飯田達に打ちのめされ、血を流しながらも起き上がり向かってくるその兵士達の光景に、思わず俺は一歩後ろに下がる。


 同様に飯田達も気圧されているようで後退る。


「うあー!」

 泣きながら切り付けてくる剣を叩き返す飯田だが、力なく倒れ込む兵士に「うっ」と声を漏らしていた。


「なんで……」

 未波がそう呟いている。


「2人の活路を開け![鉄壁]、[鉄壁]、[鉄壁]!飯田、後ろの、あのデカイ奴を狙え!」

 俺は2人の周りに格子状の鉄壁を作るながら、リーガルという重戦士を指差しそう言った。


 あの重戦士が先ほど使ったのは[鼓舞]じゃなく、もう一つのスキル、[強制執行]を使ったのだとようやく理解した。あの男を倒せばきっと……


 飯田と松本がリーガルに狙いを定め駆け出すが、その行く手をもう一人の男、魔導士のシュッツバルトが魔法を放ち邪魔をする。[詠唱破棄]により次々に飛んでくる雷撃を、2人は剣でいなしている。


 石川達も負けずに魔法で迎撃しているが、飯田達には悲鳴をあげなから鉄壁を避けてきた兵士達が群がってゆく。


 俺達が一番嫌がる戦術だな。

 そう思いながら飯田達を援護すべく俺はさらに前に出た。


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