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[完結]引きこもりの少年は異世界で森に引きこもる、はずだった。~幼馴染の聖女の為になし崩し的に異世界を連れまわされた件~  作者: 安ころもっち
第三章・帝国を欲する者達

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49.フラン救出作戦 01


 一部が消失した大森林、特に西側の火災の消火には飯田、石川、清水が、さらには伊藤と古川さんが水魔法を使って大量放水して鎮火していた。


 清水は試練で[飛翔]スキルを得た為、上空から広範囲を放水していた。だがかなり燃費は悪いようで、魔力切れを起こした清水に未波が試練で新たに覚えた[魔力譲渡]により魔力を分け与えていた。

 清水の手を握り魔力を譲渡している未波を見て、また胸がチクリと痛んだが、今は早く森を落ち着かせフランを助けに行かなくてはと思い直し、コガネに乗って移動しながら防火の為の城壁を作り出す作業に没頭した。


 魔力を補充した清水が再度上空を飛び回り、豪雨のような水を降らせようやく鎮火することができた時には、みんなぐったりしていた。


 アクアが[治療薬生成]で出した水で喉を潤し一息ついた時、ルリから訪問者が来たことを知らされる。


『警戒せずとも大丈夫じゃ!』

 ルリの言葉に安堵し、休息を取っている俺達の元にやってきたのは岸本さんだった。


「ふう、さすがに疲れたわ。私にもちょーだい」

 そう言って俺の持つコップはひったくられ、グビグビ飲んだ空のコップを返される。


「ちょ、ちょっと!」

 何故か未波が慌てている。


「まあまあ。岸本さんもそんなに急いで……今はこっちも色々あって慌ただしいんだよね」

「一応そのことで来たんだよね、で、御姫様が攫われちゃったっていうのは本当?」

 岸本さんの言葉に即座には返答できなかった。


「その様子だと本当だったみたいね。他のみんなは無事?」

「ああ、全員無事だ。幸いなことに火はついさっき消し止めたし……後はフランを取り戻しに行くだけだ」

 そう言って周りを見回すと、それぞれが決意した表情で頷いてくれた。


「じゃあ少しだけ待って。私の仕入れた情報を伝えとく。真偽はちょっと微妙だけど?多分間違いない情報だと思うんだよね」

「真偽が微妙って……大丈夫なのか?」

「うん。本人はチャラくてうざい奴なんだけどね?今回の事もすぐに私に教えてくれるぐらいの情報網を持っているCランク冒険者みたいなんだよね。だから多分?……大丈夫かなー?なんか不安になってきた……」

「と、とにかく話を聞かせてくれ。聞いてから考えるから」

「分かった」

 岸本さんは戸惑いながら話しを続けてくれた。


「取り合えず、今回の首謀者は自治区側の軍を仕切っている軍師クラスの男。その目的はその男が姫を攫って娶って帝国に取り入る隙に乗っ取るって感じ」

「分かった。今すぐ攻め込んでその男も、自治区も全部ぶっ潰せばいいんだな!」

「いや待ってよ。佐田君って意外と好戦的なんだね」

「いや、だってよ。フランがこれ以上道具のように使われるのなんてそんな事、許されるわけないだろ!」

 俺は腹の奥底から上がってくる怒りで拳を強く握る。


 フランの境遇を知っている俺は、多分だが自分の不遇な境遇と重ねているのだと思う。それは自覚していたが、このあふれ出る怒りを止められはしなかった。

 気付けば俺の背中を未波がさすってくれていた。


「それでその男の真の目的なんだけど、復讐なんだと思う。帝国に召喚された私達、って言うかこれは私の予測なんだけど浜崎達、だったのかな?」

 岸本さんが言いづらそう言葉を詰まらせていた。


「ねえ、その軍師クラスの男って、もしかして……」

 加藤さんがそう言ってって岸本さんを見ると、岸本さんも頷いている。


「待ってくれ。俺には何が何だか分からないんだが」

 俺は岸本さん達に聞くが2人に目をそらされる。


 周りを見渡しみんなの顔を見るが、皆気まずそうにしている。


「あのさ……」

 そんな中、未波が口を開く。


「勝基君は覚えてるかな?藍川君って……」

「藍川?」

「うん」

 俺は記憶をたどる。そして思い出した。


「ああ、いたな。大人しい奴だったけど何度かアニメの話で盛り上がったことはあったぞ?その藍川がどうした?」

「その藍川君なんだけど、こっちに召喚されて1週間ぐらいだったかな?いつの間にかいなくなっちゃったんだよね」

 未波の話に他の奴らが「2週間ぐらいはいたんじゃなかったか?」とか「俺、3日目ぐらいから見てないけど?」などと話をしていた。こっちにきても影が薄いのは変わらなかったということだけは理解した。


「それで、その藍川君のクラスが軍師だったの」

「……じゃあ、今回の主犯は藍川ってことか?」

「うん」

「でも、なんで藍川がそんなこと……まさか城でフランを見て惚れた?」

 俺の質問に未波は首を横に振る。


「藍川君ね、勝基君が学校に来なくなってから浜崎君達に虐められてたの。もちろん高校に行ってからもね」

 俺はそれを聞いて同情のような心が芽生えたが、フランは関係ないだろと再度怒りが込み上げる。


「なら、藍川に浜崎達は死んだことを告げれば止まるってことか?」

「そうかも!」

 未波はそう言うが、岸本さんは否定したように首を振る。


「多分だけど彼は私達も恨んでると思う。私達も浜崎達を止められなかったし」

「それは……」

 俺は、岸本さんの言葉を否定することはできなかった。実際俺も、つい最近まで飯田達を逆恨みと分かっていても恨む気持ちがあったことは事実だ。


「それに、彼もこういうの好きなタイプでしょ?私もだけど」

「まあ確かに。俺もだけどな」

「軍師とかどう考えてもチートでしょ?この境遇を楽しんでるんだと思う。だから復讐心が無かったとしても、その能力を使わなきゃ損って思うんじゃないかな?」

 これも分かってしまう。俺だって引きこもりってクラスじゃなければ……いや、引きこもりだって結構なチートだと今ならわかるけど。


「じゃあさ、藍川の奴に敵対したら損だって思わせればいいんだろ?」

 そう言ったのは石川だった。


「そうだな。とにかくフランさんは返してもらおう」

 飯田もそれに応えるように言葉を続け、皆、俺より先に出発しそうな雰囲気になっていた。


「ちょっと待ってくれ。先走りそうになった俺が言うのもなんだが、他に自治区の情報は無いのか?軍を所持してるってことは強いスキル持ちもいるんだろ?」

「そりゃいるでしょ?でもルリさんって言ったっけ?その蜘蛛さんいたら関係ないんじゃあない?」

「いや、ルリ達は森の外には出られないから、今回はルリ達の力は借りれないぞ?」

「えっ、そうなの?」

 俺の言葉に驚く岸本さんだが、他の者もまた驚いていた。


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