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[完結]引きこもりの少年は異世界で森に引きこもる、はずだった。~幼馴染の聖女の為になし崩し的に異世界を連れまわされた件~  作者: 安ころもっち
第二章・大森林争奪戦

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46.ダンジョンの試練 02


 試練を開始してから1時間程が経過した。


 俺はあの何かを探し続けていたが、ほんの数分前、ようやく黄色い宝石のような石を見つけることができた。もう立っているのも億劫なぐらい疲労困憊だった。


 沼の水に何度も手を突っ込んで探ったが、あの石どころが他の石ころや草、ゴミ一つ出てこなかった。そして遂には苛立ちと放った[城壁]スキルにより、沼の底がせり上げる光景を見て、スキルを使うことを思いついた。


 即座にスキルを使いまくり、沼の半分程度の範囲を埋め尽くしたところで[城壁]と一緒に上がってきたそれを見つけた。

 それを手にした瞬間、入った時とは別の部屋に立っておりずぶ濡れだった体も戻通りになっていた。もちろん疲労感は消えなかったが……


「勝基君!」

 俺に気付いた未波に声をかけられる。そのそばには山崎さんと玉井さんもいた。


 周りを確認すると、ほぼ全員がそろっていた。見当たらないのは加藤さんと野村さん、そして飯田だけのようだ。


「未波が一番だったんだよ!」

 玉井さんからそう聞いた俺は、未波にどんな試練だったかを確認する。


「えっとね、薄暗い沼地が見渡す限りずっと続いてたんだけど、光ってる石が見えて沼に落ちて、それを探すのかなって思って……」

「見渡す限り?」

「うん。端っこは見えなかった」

 どうやら石探しは同様だが、その難易度は違うようだ。


「俺は中学の校庭ぐらいの広さだったぞ?そんなに広さでいったいどうやって……」

「えっ?結界広げて歩き回ったら5分ぐらいで見つけたけど?」

 未波の話を聞いた俺はひざから崩れ落ちた。


「ちょっと、勝基君?」

「だ、大丈夫だ。2人はどうだったんだ?」

 そう聞いた俺に、2人はそれぞれ広くはなかった沼からスキルで石を難なく探し当てたようだ。


 そうか。いかに早くスキルを利用するか判断するかにかかってるのか……そう思って自分の至らなさにショックを受けていた。


 その後、周りに話を聞くと全員が大きさに差異はあれど石探しは同じようで、それぞれがスキルを使ってそれなりの時間で出てきたようだ。


 そんな話をしていると、加藤さんと野村さんも戻ってきた。

 特に加藤さんはぐったりしていた様子で、見渡す限り全部が沼で心が折れたと言っていた。[直感]スキルによる恩恵も効果なく、最終的には[爆弾付与]で周囲を爆発させ、吹き飛ばしたらしい。


 それから暫く待つが、飯田は未だに戻ってこない。


「飯田、こないな」

 俺が戻って1時間程してからそう呟いた。みんな心配そうに顔を見合わせていた。


「もしかしたら諦めて戻ったかな?」

「戻った?」

「うん。私、最初に沼の広さに嫌気がさして無理って思ったら、一度あの扉の前に戻されたんだよね」

 加藤さんの言葉に野村さんも「私も一度戻ったよ」と頷いていた。


 他にも戻った奴らが声を上げる中、石川達が入り口の方の様子を見てくると言い出したので、30階層の扉前の転移札と、こちらの場所を登録した転移札を渡した。


 こっちは俺が見てるからと伝え、4人は30階層の扉へ転移。野村さんは夕食の準備と行って何人かの女性陣で戻って行った。


 それから2時間。

 ひたすら待っていた俺はすっかり忘れていた試練の報酬を思い出す。


「ステータス」

 開いた画面には、しっかりと新しいスキルが書き記されていた。


――――――

佐田勝基 / 人族 / クラス [引きこもり]

力 D- / 知 E+ / 耐 F

<スキル>

[拠点防衛] 自分の陣地を認識しその範囲を防衛拠点とする力

[偵察] 人知れず相手のステータスを確認する力

[城壁] 拠点内に石造りの壁を作り出す力

[鼓舞] 味方の能力を引き上げる力

[強制退去] 突風により敵対者を陣地から退ける力

[防壁] 目の前に鉄の壁を出現させる力

[格納庫] 物を大量に保管する空間を所持する力

――――――


 新しく覚えたのは[格納庫]というスキルだった。

 思わず「おお」と声を上げてしまった。


 試しに持っていた短剣を格納庫に入れ、取り出してみる。思っただけで手から探検が消え、また手の中に戻ってきた。これは便利過ぎるなと何度も出し入れしていると、未波がそれを見て驚いていた。


「それ、新しく覚えたスキル?」

「ああ。格納庫だってよ。出し入れ自由だからかなり役立ちそうだ。やっぱり試練受けて良かったわ。そうだ、未波は何を覚えたんだ?」

 そう言って、俺達は互いの新しいスキルを確認し合い、時間をつぶした。大丈夫。ちゃんと普通に会話ができている。


 飯田が戻ってきたのはそこからさらに3時間程立った夕方だった。


「もう、俺はダメかもしれない」

 出てきて早々、そう言って大の字に倒れ込んだ飯田。


 通信具で石川達も呼び戻し、試練の内容を聞いた。


 やはり広大に広がる沼に落ちた石を、とにかく必死で探し続けたそうだ。

 最後まで諦めるものかと気合を入れて片っ端から手を突っ込み……今の今まで探し続け、ようやく見つけることができたのだと。


 俺は悲しくなって両手で顔を覆った。

 だが、未波が「お疲れ様ー」と飯田に[治癒]を使っている未波を見て、胸がチクリと痛んだ気がした。


「飯田、やっぱりあんた、バカだったんだね」

 岸本さんの言葉を借りた加藤さんの言葉は、飯田の胸に深く刺さったようで飯田の目から涙が零れていた。


「なぜだ!俺だってこんなに頑張ったのに!」

 そう叫んだ飯田を、こちらに戻ってきた石川達が悲しそうな目で見ていた。


 石川が試練をスキルを使い10分程度で突破したことを告げると、またも悔しそうに叫んでいる飯田。本当にその気持ちはよく分かる。


 あまりの痛々しさに嫉妬心も忘れ飯田と悲しみを共有している時、懐に入れていた通信具が震える。


「どうした?」

『勝基君すぐ来て!森が大変なの!森が、フランさんが!』

 拠点に戻った野村さんが慌てた様子でそう叫んでいる。


 急ぎ帰還札を使ってみんなでダンジョン前に戻ると、そこには誰もいなかったので拠点へと急ぐ。拠点近くまでたどり着いた俺の目に、木々を焼く炎が映し出されていた。


 俺はそこにいないルリ達を必死で探した。


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