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[完結]引きこもりの少年は異世界で森に引きこもる、はずだった。~幼馴染の聖女の為になし崩し的に異世界を連れまわされた件~  作者: 安ころもっち
第二章・大森林争奪戦

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44.皇帝陛下の秘密


――― 帝都城内


「しかし……森の主達はあれほどの力を持っていたとは……」

 その恐ろしさに私は思わず身震いしてしまう。


 勇者達を再び森へと送り出し、映像を投影する魔道具を魔法局の局長に持たせたのだが、話し合いが始まる直前に木陰に設置したそれからは信じがたい映像が映し出されていた。


 はじめは悠長に話し合いをしているようだった。

 聖女が持っていたのは録音再生用の魔道具であった為、何かを再生していたようだ。それに度々横やりが入るだけで、すぐに戦いには発展していなかった。


 それを苛立ちながら見ていたが、やっと始まった戦いはまさかの勇者の裏切りにより厳しい戦局となってしまった。


 それでも魔法局の3人が女の1人から力を全て奪い、そのおかげで私も[魔性眼]というスキルが発現したところまでは良かった。


 あの護符の指輪といって渡してある指輪は、城の地下の工房で役立たずだった職人系のスキル持ちに仕事を与え、作らせた貴重な指輪であった。

 どんなに尻を叩いて作らせても年に1つ程度しか完成しない貴重な指輪であるが、その効果は他の何物にも代えがたい有能な魔導具だ。私の力の源でもある。

 指輪を装備した者の力を常にこの私が装備している腕輪へと送り込み、私の力を底上げしてくれる魔道具だ。


 さらにはあのように呪文を唱え一気にその力を奪い去ることもできる魔道具で、その奪い去った力により、その者の持つ資質の中から私に合った能力を発現させてくれる効果がある。

 必ずしもその者が持つスキルだけではないが、どれも有能なスキルを私にもたらせてくれる。


 新たに芽生えたスキルに、早く試してみたくて心が躍る。


 だが、そんなことを考えている最中にも勇者の愚行は続き、遂には勇者からも力を奪うことになっていた。

 こうなっては仕方ない。勇者の絶大な力が手に入ることにむしろ喜ばしいことではないか!そう思った次の瞬間、勇者の指が切り飛ばされる光景が映し出されていた。


「なんだ!何をやっている!クソが!」

 そんな言葉を発しながら、苦々しく映像を凝視していた。


 わずかに流れ込んだ勇者の力は凄まじい底上げを感じた。それだけにすべてを奪うことができなかったことに心の底から悔しさがにじみ出る。

 結果、同行させた子爵家の私兵までも全滅し、それらを映し出す魔道具も破壊されたのか、遂には何も映さなくなってしまった。


「グレゴリよ、すぐに勇者達を謀反人として手配せよ!」

「はっ!」

 私は宰相にそう命じた。


「それと、シルを呼べ!今すぐにだ!」

「はっ!」

 あの浜崎とやらが使っていた剣は間違いなく魔王の剣だ。


 危険ゆえ宝物庫の奥、王族だけが入れる部屋に封印していたものだ。あれを持ち出せるのは王族のみ……今あれを持ち出せるのは私以外は息子のシルドークのみであった。

 あのような危険な呪物、あの森で魔王復活となったことは僥倖ではあったが、どれだけ危険な行為だったか、バカ息子には思い知らさねばならない。


 反面、それのおかげで森の主の圧倒的な力を確認できたのは不幸中の幸いでもあった。魔王と化した存在を意図も容易く屠ったあれは、我々が手を出して良いものでは無かったのだ。


 まずはあの召喚者達を追い詰め、そして救いの手を差し伸べ懐柔してあの森を……

 その為にはどのように動けば良いのか考えた。


 まずはあの危険な物を持ち出したバカ息子を処分し、あの佐田という青年の信頼を得ることから始めねばならぬだろう。こうして私は、あの青年達をいかに苦しめ、救いを求めさせるかを考え始めた。



◆◇◆◇◆



 私はグレゴリ・サザビース。

 この国の宰相まで登りつめたサザビース侯爵家の嫡男だ。


 この国で起こる彼是は全て私の元へ集まってくる。

 あの、皇帝陛下の秘密でさえも……


 陛下は……いや、あの男は軍神クラスという類い稀なる武闘派クラスで生まれ、何不自由なく王と言う地位を獲た傑物と言われ、国民からの信望が厚い。

 だが、本当のクラスを知っている私から見たら、ずる賢い男、としか映らなかった。


 あの男の本当のクラスはただの盗賊だ。

 だが、最初に発現したスキルは[擬態]という珍しい物であった。


 先代の皇帝陛下は殊の外あの男を可愛がり、生まれて5年は極力外へは出さず、専属の従者により育てあげたようだ。そして、皆へのお披露目の時には、すでに擬態スキルを操り、軍神クラスだと偽装してしまっていた。

 私がそれを見抜いたのは偶々お休みになっている陛下を、偶々持っていた鑑定具で覗き見たからでもあった。


 私はいずれこの国の王となってみせる。

 タイミングを見てあの男を殺し、適当な賊を立て、私がそれを討伐した英雄として王となるのだ!


 その為に、まずは邪魔な後継者をその座から引きずり下ろす為、皇太子をあの男の前に連れていき、その継承権をはく奪させるよう仕向けねば……そう画策し、計画通り魔法局の局員の1人と一緒に皇太子の部屋のドアをノックした。


「殿下、陛下がお呼びです」

 私はそう呼びかけ、中にいた侍女がドアを開けたのを見て中へと入る。


「なんだ。父上が何の用事だというのだ」

「陛下が……宝物庫から殿下が持ち出したあの魔剣についてご立腹で御座います!」

「なに?」

 殿下は目を見開き驚いている。


「私は……お前に言われた通りあの浜崎という男に剣を渡しただけではないか!」

「ええ。ですがそれを危険な行為として陛下は、殿下のことを罰するおつもりです」

「くっ……ならば、お前のことも報告せねばな……」

 殿下はそう言って私を睨んでいる。


 私は一緒に来た局員に目で合図を送る。


「殿下、失礼いたします」

「な、何を……」

 局員はスキルを使い殿下の動きを止め、懐から出した魔道具を翳す。


「サザビース、お前……」

「殿下?もう何もかも忘れてしまえば良いのです。その方が幸せということも御座いますから」

 殿下に使った魔道具は、数年分の記憶を奪うというものであった。


 惚けた顔の殿下を見て、上手く行ったようだと私は口元をゆるませる。


 その魔道具は完全に廃人になってしまう危険性のある強力な魔導具である。この局員は錬金術クラスの男で、以前から私が支援し個人的に危険な魔道具を開発させていた。それがこのような形で役立つとは……

 私は、自分の幸運に感謝した。


「第二皇姫は森の中、残る継承権は第一皇姫のみだが、彼女はすでに公爵家に嫁いでいる。公爵との間に世継ぎは生まれているが、成人するまでに陛下に何かがあれば……」

 惚けている殿下の前で彼是考えながら、この国を導く為の道筋を思い描いていた。


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