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[完結]引きこもりの少年は異世界で森に引きこもる、はずだった。~幼馴染の聖女の為になし崩し的に異世界を連れまわされた件~  作者: 安ころもっち
第二章・大森林争奪戦

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43.修行の合間に。未波とフラン


 夕食も終わり、俺は少し体を動かしたくて森を散策する。


 もうこの辺りに出現する魔物に苦戦することは無い。そもそも拠点周りには加藤さん監修の罠も多く設置され、今ではこの一帯に魔物は近づくことは無くなっていた。


 体を伸ばしながらブラブラした後、そろそろ戻ろうと歩き出した。


「はい!ありがとうございます!」

 そんな声が聞こえた。


 遠目から女性陣が寝泊まりする建物の陰で、未波と姫が何やら話しているのを見つけてしまった俺は、つい出来心で様子を伺うように木陰に隠れてしまった。


「皆様から未波様は飯田様からも好意を寄せられていると聞きました。それに他の方々も……それで、未波様がどう感じているかを聞かせていただけますか?」

「それは……」

 そんな話が聞こえ身を竦める。


 すると肩に乗っていたアクアが顔に巻き付いて視界を邪魔していた。遊びたい時の行動のようだ。俺は声を出さずにアクアを撫でつつ手で軽く押し戻すと、肩に戻るよう促していた。

 その間も未波達は真剣な表情で話を続けていた。


「飯田君は、好き、なんだろうなと思ったこともある。多分今も好き、なのかなって……」

「そう、ですか。では、勝基様はどうでしょうか?」

「え、うーん……どうだろう?」

「未波様の思ったままをお聞かせくださいませんか?」

「昔は、結構仲良くやってたと思う。その時はもしかしたら……と思ったこともあるけど、今は多分だけど全然。好きじゃない……かな?もしかしたら嫌いなのかもって最近気づいた」

「そう、ですか……」

 未波の言葉に心臓を抉られるような痛みを感じアクアに顔をうずめ、俺はその場を音を立てず逃げだした。


 部屋に戻ると、俺の顔を見て不思議そうな顔をしているルリに甘えるように抱きついた。分かってはいたけど、弟のようにぐらいは思っていると勘違いしてたんんだ。俺、嫌われてたんだな。その夜俺は、少しだけ泣いた。



――― 時間は少し巻き戻る


 夕食も終わり、部屋で寛ごうとしていた私は、フランさんに声を掛けられた。


「大事な話があります」

「何?」

「ここではちょっと……」

 そう言って近くにいる他の女子達をチラ見しているので、愛理に声をかけて建物の陰に移動する。


「ここなら大丈夫かな?」

「はい!ありがとうございます!」

「それで?」

 フランさんが少しもじもじしながら口を開いた。


「皆様から未波様は飯田様からも好意を寄せられていると聞きました。それに他の方々も……それで、未波様がどう感じているかを聞かせていただけますか?」

「それは……」

 そんな事を聞かれて困惑してしまう。


「未波様は飯田様からの好意に気付いていらっしゃいましたか?」

「それは……」

 フランさんの言葉に改めて考えてみる。


 私だって鈍感ではない。

 確かに、飯田君からは時折熱い視線を感じることもあった……はず。


「飯田君は、好き、なんだろうなと思ったこともある。多分今も好き、なのかなって……」

「そう、ですか。では、勝基様はどうでしょうか?」

「え、うーん……どうだろう?」

「未波様の思ったままをお聞かせくださいませんか?」

「昔は、結構仲良くやってたと思う。その時はもしかしたら……と思ったこともあるけど、今は多分だけど全然。好きじゃない……かな?もしかしたら嫌いなのかもって最近気づいた」

「そう、ですか……」

 正直勝基君の事は分からない。


 昔は良く遊んでたし、私は当然その頃から勝基君の事は大好きだったし、結婚したいなって思ったこともあったけど最近は……


「では、未波様は飯田様の事をどう思っているのですか?」

「私は、飯田君の事は良い人?うーん、この世界に来てからはちょっと怖いなって思ってる。でも好きでも嫌いでもないよ?」

「では、勝基様のことは?」

「好き」

 思わず食い気味に口走ってしまった。


「即答、ですわね」

「うん。昔からずーっと好き。でも、やっぱりこっちの世界で会った時も冷たかったし……私は嫌われてるんだと思う。気は使われてるとは思うけど、やっぱり面倒な奴とか、早くどっかに行ってくれないかなって思ってるんじゃないかって……」

「……御二人を見ておりますと、そんなことないと感じましたけれど?」

「慰めはやめて!」

 思わずそう叫び耳を塞いでフランさんから目を逸らす。


 視線を戻すと、フランさんが真剣な表情でこちらを見ているので、恐る恐る耳から手を離す。


「勝基様は、未波様のことを少なからず思っているはずですよ?」

「そんなこと……」

「でも、(わたくし)は、負けませんので!」

「えっ?」

「未波様には負けませんわ!(わたくし)は絶対に、勝基様に愛されるのだと心に決めたのですわ!」

 突然の宣言に混乱する私。


「待って?えっ?そうなの?薄々そうかなー、でも勘違いかなー、いや勘違いにしても距離が近いっていうか、勝基君もまんざらでもなさそうだし?……って言うかその非常識なな胸!卑怯よ!私もある方だけど、それはずるい!私だってそんな大きかったら顔をうずめたいもん!」

「えっ……」

 一気に吐き出した言葉は、自分でも何を言っているんだと呆れてしまう言葉だった。フランさんが戸惑うのも当然であろう。


「未波様、そんな目で(わたくし)をみていたのですか?」

「あ、いや……とにかく!私は勝基君に嫌われているとしても、諦める気は無いから!」

「その意気です!一緒に勝基様を落として、三人で愛し合いましょう!」

「え……」

 フランさんの言葉で思考停止した私は、その後、フランさんの爛れた結婚生活という妄想話を聞かされ続け、悶々としたまま眠れぬ夜を過ごすのだった。


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