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[完結]引きこもりの少年は異世界で森に引きこもる、はずだった。~幼馴染の聖女の為になし崩し的に異世界を連れまわされた件~  作者: 安ころもっち
第二章・大森林争奪戦

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41.誤解が解けたその後で 04


 食事の後片付けが終わった後、飯田達5人と未波達女性陣、フランも加えたメンバーで話し合う。

 他の者達は俺が食後に即席で作った簡易な部屋を見に行ったようだ。


「まずは数日、体を休めたら城へ行こう!幸い破壊された装備は何とかなりそうし……」

 あの戦いで飯田の剣や鎧は所々破損していた。

 他にも流れ弾を受け装備を破損、魔力を籠めすぎて効力が無くなった装備もあった。


 俺達の中に鍛冶師はいないが、不破さんは付与師、北山さんは錬金術師、2人が揃えば新しく武具を作り出すことはできないが、補修程度ならできるらしい。その為に必要な大量の素材も明日買い出しで揃えれば良いという。


「やっぱり全員で行くのか?」

「そうだな。さっき全員が賛同してくれてただろ?」

 飯田はそう言って笑う。


「じゃあ準備が整ったら出発だな。だがルリ達は街に連れていけないし、まあフランはここで待機だから丁度良いかな?ルリとコガネの近くが一番安全だしな」

 俺の提案に他の者達もうんうんと頷いている。


 しかし、俺の左隣に座っているフラン本人は納得していない様子だった。


(わたくし)も、参ります!」

 体を震わせそう叫ぶフラン。


「そもそもこれは父上が売った喧嘩ですわ!私も売られっぱなしでは悔しいですもの。一緒に行って文句の一つでも言ってやりますわ!」

 鼻息荒くそう言うフラン。テーブルの上にはいつの間にか[カラクリ]人形が足をバタバタさせて怒っている仕草をしていた。


「危険もあるんだ。ここで待っていても良いんじゃないか?」

 俺の言葉にこちらを向いたフランは俺に体を近づける。


「カツキ様が、守って下さるのでしょ?」

 そう言って俺の手を両手で包み込むようにして握るフラン。


 俺は、恥ずかしさに負け頷いていた。


 機嫌が戻ったフランの手から逃れた俺は前を向くが、視線を感じ右隣に座る未波を見る。

 未波は不機嫌そうに頬を膨らませていた。


 守ることにかけては未波の方が適任だからな。フランも未波に頼めばよかったのに。俺は苦笑いをしながらその場をごまかした。


 どうやらフランも付いてくることが決まり、俺達はさらに作戦を考える。


「上原、最初ここに来た時に使ったあの強力なスキルは連発はできないのか?」

 俺の問いに上原はやや戸惑いながら返答する。


「ああ、あれか。あれは[聖なる裁きホーリージャッジメント]って言ってな。1日一発が限界で、ほとんどの魔力を放出するスキルなんた。だからあれを使うと他のスキルがほとんど使えなくなる」

 思わぬ欠点を聞き、改めて考える。


「そうか。1発で十分な威力だしな。城がどんな形をしているかは知らないが、あれを城の外から皇帝がいるってあたりに向かってぶっぱなしたら良いんじゃないか?城にはクソみたいな奴しかいないんだろ?」

「佐田、お前!」

 俺の提案に飯田が席を立ち叫ぶ。 


「城の中には、何も知らずに働いている方々もいるんだ……俺はその提案には乗れない!」

「わ、分かってるよ。言ってみただけだ」

「ああ、そうか。すまん……」

 ほとんど本気だったのだが、城には普通の人もいるらしいし却下されてしまった。


「じゃあ話題を変えよう。帝国はなぜそんなにこの森が欲しいんだ?」

「あ、ああ。そのことか……」

 飯田は深呼吸をして席に座りなおした。


「この森の中にはかなり古いと思われるダンジョンがあるって話があってな」

「ああ。あるぞ」

「そうか。あるのか。で、そのダンジョンが……いや待て。本当にあるのか?」

「ああ」

 飯田の惚けた顔は珍しいなと眺めていた。


「なあ、そこにはもう入ったのか?」

「少しだけだが、未波達の話では帝都のダンジョンよりは少し魔物が強いと言っていたが……」

「何階層まで行った?」

「30階層で止まってる。加藤さんが嫌な予感がするって言うからな。罠師は[直感]スキルがあるから念の為もう少し力をつけてからにしようと考えていたんだ」

 飯田はそこで大きく息をはく。


「加藤さんの嫌な予感は多分正解だ」

 そう言って飯田は、帝国がなぜこの森を狙っているかを話し始めた。


 ダンジョンには30階層、50階層、100階層で試練があること、それをクリアすると特別なスキルが発現すること、勇者が100階層を攻略したことで長い年月をかけて試練がなくなり、今では30階層の試練も消えてしまったことなど、飯田はゆっくりと話てくれた。


「じゃあ、王国なんかの試練は残ってるんだから、やっぱりここにも試練はあるってことだよな?ここの100階層、いや、有るかは分からないがそれをクリアしたら、もしかしあたら日本に帰れるかもしれない……そう言いたいんだな?」

「ああ。そうだ」

 なるほどな。だから必死で俺達を排除しようとしていたんだ。


 だが、ルリとコガネがいる限りこの森は攻略不可能だろ。

 偶々初回に上手くいっただけ……そうか、あれは俺がいたからか……


 俺が、ルリ達の足枷になっていたのか。

 そう考えて拳を握る。


「なあ、城に乗り込むのは延期にしてくれないか?」

「なんだよ」

「俺は、もっと強くならなくちゃいけない。ルリ達の足枷であってはならないんだ。もう、ルリ達を傷つくのは見たくない!」

 その言葉に、飯田も察したようでチラリとルリを見る。


「確かに、佐田がいなければ最初にここに来た時に俺達は即殲滅されただろうな……」

「た、たしかに……」

 上原達もそう呟いて下を向く。


「ダンジョンを、まずは30階層を攻略してみるよ。俺はその試練って奴を受けて新たなスキルを得る。城に行くのはその後だ!」

「お前、ひとりで行く気か?」

「ああ。できればその試練て奴の情報が欲しいが、そもそもこのダンジョンは未知の物なんだろ?必ずしも同じような内容とは限らないし……何があるか分からない。まずは俺一人で挑戦して、だめそうなら何とか逃げ出して攻略する方法を考える」

「ダメだ!俺も行く!俺だってまだ強くならなければならない!強くなければみんなを守れないんだ!」

 真剣な表情を向ける飯田。


 だが、俺は背後から感じる何かに肩を震わせた。


「一人で行くなんて、ダメに決まってるでしょ!」

「そうですわ!」

 振り向けば、胸の前で両手を組んで仁王立ちしている未波とフランが、俺達を睨んでいた。


 同時に、チラチと下を見ると俺の足をカツンカツンと音を立て蹴っている5体の[カラクリ]が見えた。痛みは無いがその動きからフランの怒りは十分に感じられた。


 結局、未波達や飯田達を中心に希望者はダンジョンに入り、十分に注意して可能なら30階層を突破してみようという事に決まる。フランはもう少し外で修行となり、それはルリ達に丸投げした。


 期間は2週間程をめどにして、フランと一緒にルリ達に手伝ってもらいながら最深部周辺で狩りをする班と、ダンジョンに籠って頑張る班に分かれることになった。


 だが、2週間もしない間に何か動きがあるかもしれない。

 帝国側が戻ってこない飯田達を、2週間もの間、只々黙って待っているとは到底思えなかった。

 俺は、ルリ達に十分注意するよう伝え、ダンジョンに専念することになった。


 それが、どういう結果を生むことになるかも知らずに……


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