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[完結]引きこもりの少年は異世界で森に引きこもる、はずだった。~幼馴染の聖女の為になし崩し的に異世界を連れまわされた件~  作者: 安ころもっち
第二章・大森林争奪戦

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40.誤解が解けたその後で 03


 戦いは終わった。


 そのままの勢いで城へ乗り込むもうとする飯田は、「少し冷静になれ」と石川達に説得され、どうにか落ち着いたようだ。


 今回の死者は全員が塵となって消えた。

 亡骸は無いがせめてという思いで残された装備をかき集めてもらった。そして、少し離れた場所にそれを埋め、墓標代わりに剣や杖を突き差してみた。それに全員で手を合わせる。

 突き刺した物の中には浜崎が持っていたあの剣もあった。ボロボロのその黒い剣は力を失ったように朽ちかけている。


「あの剣は結局なんだったんだ?」

「聞いた話では浜崎は皇太子からもらったそうだ。堀部達があの剣を貰ってから浜崎の様子がおかしくなったと言っていたが……それについても問いたださなくちゃな」

 俺の問いに飯田はそう言うが、今回のようなことをやらかす奴らが、素直に答えたりはしないだろうとは思った。


「浜崎達もこの世界に翻弄させられた犠牲者なのかもしれないな」

 そう言って顔を上げた飯田は、珍しく泣きそうに見えた。


「佐田、お願いがある」

 そう言って飯田が俺に願い出たのは、城に乗り込む際には一緒に来てほしいというものだった。


「皇帝は軍神クラスで周りの兵も聖騎士や重戦士、魔導士などもいる。負ける気は無いが犠牲が出てしまうかもしれない。犠牲をなくすためには後衛として志田さんの力が必要だと思うんだ。

 だが、佐田が来てくれなければ、きっと志田さん達も一緒には来てくれないのだろう?」

 そう言って未波を見る飯田。


 未波は、顔を赤くして頷いていた。

 俺が行けば御守りとして未波がくっついてくるって言うことだよな。俺はいつまでたっても守られてばかりの弟なんたろう。落胆しつつも飯田を見る。


「仕方ない。売られた喧嘩ってのもあるし、俺だってフランの事とか、結構怒ってるんだよね」

 そう言って飯田に握手を求めた俺。


 柄にもなく固く握手を交わしてみたが、嬉しそうに握り返す飯田の握力により俺は顔を歪ませた。


「まずは後片付け、その前に腹ごなしか?」

 俺の言葉にいち早く反応したのは野村さんだった。


 その他の女性陣は、未波の先導で風呂に行くようだ。

 俺は野村さんの指示により[城壁]を使いみんなが座れる様テーブルと椅子を増やし、そこに皿を並べたりと遅めの昼食の準備をしていた。


 皿を並べる前に「手を洗え!その汚い顔を拭け!」と野村さんに怒られた。

 そんな中、食器出しを手伝ってくれた男性陣。


 途中、横井と田中、伊藤がそばに来て謝られた。


 毒で死んだのは3人と仲の良かった2人だったようで、2人の仇をいつか討つぞと日々俺に恨みの念を送っていたらしい。


「恨みなんてそんなものは存在しない。だからもう気にするな」

 そう返しておいたが、最近少し胸がチクチクすることもあったが、あれは横井達の呪いの効果か?……そんなことを考えていた。


 食事の準備を終え椅子に座って惚けていると、女性陣が風呂から戻ってきた。少しだけ気分もまぎれた様子で、適当に椅子に座り始めた。


 さて、そろそろ皿を持って野村さんの方へ……と思った時、飯田が立ち上がる。


「みんな、聞いてくれ!」

 俺は上げかけていた腰を下ろした。


「今回、俺達は、いや、俺は帝国の口車に乗り佐田達に迷惑をかけた!改めて謝罪させてくれ!すまなかった!」

 そう言って俺を見た後、深々と頭を下げる飯田。


「もう、いいじゃないか」

「ありがとう」

 そんなやり取りがあった後、さらに飯田の言葉は続いた。


「俺は、帝国の卑劣なやり方に我慢ができない!城に行き、皇帝に全ての責任を取ってもらおうと思っている!それには佐田達も一緒に来てくれことになった!」

 みんな真剣な表情で飯田の次の言葉を待っていた。


「できれば……みんなにも一緒に来て欲しい!だが、強制はしない!志田さんや耕太もいるので守りも万全だと思うが、100%安全ではない!みんなには死んで欲しくないが、敵は強力だ。みんなの力が必要なんだ!」

 そう言って再び頭を下げる飯田。


「もちろん俺達は行くぞ!今度こそ本当の敵討ちだからな!」

 横井がそう叫び両隣の2人も頷いている。


「私達も……」

 ちょこんと手を上げ小声でそう言ったのは不和さんだっただろうか?


 横井達3人のすぐそばに座った5人の女子達も一緒に行くようだ。それを見た横井が頬を染め不破さんと見つめ合っている。えっ?何?そう言うこと?

 俺は少しだけイラっとしてしまった。


「私達だって行くわ!真美子の仇よ!」

 そう言ったのは浅野さんと仲の良かった子達だろう。4人はまた涙ぐんでいる様子だった。


「当然俺達もだな」

 蘭堂達も参加のようだ。これで全員が参加することが決定した。


「みんな、ありがとう!では、詳しい日程などはこれからみんなで話し合おう。今は、野村さんが作ってくれたという食事を頂こう!野村さんも、ありがとう!」

「いいから早く並んで!」

 飯田の感謝の言葉はイライラマックスの野村さんによりかき消されていた。


 その後、みんな譲り合いながら皿を持ち列に並ぶ。

 今日はカレーのようだ。


 当然カレー粉なんかないこの世界で、調味料を大量購入していとも簡単に再現してしまった野村さん。もう何度も食べているがやはり今日も旨そうな匂いが漂いお腹が鳴りそうだった。

 食事が始まり、未波達以外は久しぶりの米とカレーに泣き出した者もいた。

 さっきまでの湿っぽかった空気は一新されたのは良いが、聞き耳を立てているとどうやらみんなこの拠点に住みつく腹積もりのようだ……


 今回の事が終わったらどうにか出ていってもらえるよう今から何か考えねば……そう考えながら食べたカレーは、いつもより味気がなかった。


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