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[完結]引きこもりの少年は異世界で森に引きこもる、はずだった。~幼馴染の聖女の為になし崩し的に異世界を連れまわされた件~  作者: 安ころもっち
第二章・大森林争奪戦

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38.誤解が解けたその後で 01


 子爵家の面々と思われる音声は続いている。


『父上、私の依頼をないがしろにした女達に、きっちりと分からせてやって下さいね!』

『分かっておる!こちらもやられっぱなしでは、他の者達に示しがつかんからな!』

『そうですね。せっかく当家の素材を盗んだとギルドに伝え当人と接触できたものを、まさか多勢に無勢の中ですら女一人に叩きのめされるとは……流星騎士団の名が泣きますぞ、団長殿!』

『も、申し訳け御座いませぬ!今回はただ油断しておりましたゆえ、次は万全の装備で、スキルも惜しまず使いましょう!』

『命を懸けてでもあの女どもを抹殺せよ!さもないと……』

『はっ!必ずや!』

 そこでしばし沈黙が訪れる。


 どうやら子爵家の音声はこれで終了のようだ。

 ちらりと見た私兵達は顔を真っ赤にして腰の剣に手を添えている。


『はい!いやー怖いですねー。ちなみに、この私兵達はプリティでラブリーなエンジェル京子ちゃんがギルドに持ちこんだ大森林の素材を、こともあろうに自分達から盗んだと主張したそうですよ?』

 ここで玉井さんが「ぐほっ!」と言って膝をついていた。


『そして事実確認と言ってギルドに頼み込み、京子ちゃんと対面した直後に拘束しようと総勢18名で襲い掛かったそうです。まあ全員、京子ちゃんに叩きのめされてたけどね?

 ……ってことで、今回の由美チャンネルはここまで!後はリスナー全員でよーく話し合って解決してね。シ―ユーネクストタイムゥー!いずれまたお会いしましょうー!』

 この言葉を最後に、岸本さんの音声は終わった。


 魔道具の点滅していた光も完全に消えたので、ここで本当に終了なのだろう。


 気づけば私兵達は全員が剣を抜いている。

 だがそれを飯田は睨みつけ、一歩、また一歩と近づくが、兵士達はそれに合わせ後退りしていた。


 そんな中、魔法局の局長だという男がその間に割り込んでくる。


「飯田様、あのような音声に惑わされ、陛下に反旗を翻すつもりでしょうか?」

「反旗?最初からお前達は味方ではなかったのだろう?」

 その言葉に局長は顔を歪ませる。


「では、仕方ありませんね!」

 局長は後ろに飛び退きながら懐から出した何かを投げつける。


 地面に打ち付けられたそれは激しく燃え黒い煙を出していた。

 その間に飯田と距離を取った魔法局の3人。便乗して流星なんだら達も後退しこちらを伺っている。


 魔法局の3人が何やらぶつぶつと呟き出した。


 苦しそうな呻き声が聞こえていたのは、少し後方にいた女性陣の中からであった。

 周りからは悲鳴が聞こえ、後退る女性陣の中から、浅野さんが自分の体を抱くようにしながらよろよろとこちらに歩いてきていた。

 そして地面に倒れ込む彼女は、全身から黒い痣のような物が浮き上がってきてさらに苦しそうに藻掻きはじめた。


「飯田、くん……」

「浅野さん!どうしたんだ!」

 飯田に向かって手を伸ばす彼女。


 未波は彼女のそばまで走り出し[聖結界]を作り出す。


「あれ、だめかも」

 加藤さんが何かを察知しそう叫ぶ。


 石川と神官クラスである山本も駆けより[治癒]を、上原は[聖なる癒し(ホーリーヒール)]を、アクアも近くまで跳ねて行くと、[治療薬生成]で生み出した水をパシャパシャとかけている。


 だが、浅野さんの体はみるみる干からび、最後には砂のように風に舞って消えた。彼方此方から悲鳴が聞こえる。


「お前達、何をした!」

 魔法局3人の元へ駆け出し剣を突きつけそう言う飯田。


「勇者殿もされているその指輪は、我が主、皇帝陛下へと繋がっている!そして今、お前の間違った判断により女が一人、陛下の贄となりその力は吸収されたのだ!」

「貴様ぁ!」

 剣を振り上げた飯田に、再び何かを投げつけられ煙に巻かれる飯田。


 その煙は清水が風を操り消し去っていた。

 だが、魔法局の3人は離れた箇所に分散しているように見える。幻覚か何かなのだろうか?

 長距離スキル持ちのクラスメイト達もそれぞれに攻撃を仕掛けているが、ことごとく攻撃はすり抜け、その姿は消えてはまた別の場所へと移動してゆく。


「お前もさっきの女のようは成りたくはないだろう?大人しくそこの奴らを殺し、この森を制圧するのだ!」

 それぞれの場所から響く様に聞こえた声に、飯田は怒りを露わにして叫ぶ。


 歯を食いしばりながら局長を睨みつけ、剣を降り見えている局長達のいる1か所に攻撃を放つが、やはりそれはその攻撃はすり抜けてゆく。


 そして飯田に向かって詠唱を始めた局長達。

 苦しみだす飯田だったが、左手を高々と掲げる。


「昌磨!やれ!」

 飯田の叫び声に反応するように走り出した松本。


「浩平!歯を食いしばれよ!![一閃]!」

 松本の示し合わせていたような攻撃により、飯田の上げられた指を切断する。


 周りからは悲鳴が漏れ、血しぶきと一緒に飛んだのは飯田の指と、その指にはめられていた指輪であった。


 苦しそうにくぐもった声をあげる飯田は、切断された手を抱えるように蹲る。

 すぐに石川が駆け付け飯田を治癒する、

 未波も一歩遅れてだが走り出し、飯田に治癒を施していた。


 飯田はその間も局長達から目を離すことは無く、狼狽えるその者達を睨みつけていた。

 飯田はすぐに治療が終わったようで、新たに生えた指を曲げ伸ばしして確認しているが、動かすとまだ痛みを感じるようだった。


「助かった。志田さんもありがとう!」

「うん。でも、大丈夫なの?」

「問題ない。この痛みは、俺達が佐田を、一方的に攻撃した贖罪だ。……佐田、本当にすまなかった」

「気にするな」

 チラリと俺に目線を向け謝罪する飯田に、俺はそう言うしかなかった。


「唸れ!怒りの氷槍(ひょうそう)連撃!悪しき者を殲滅せよ!」

 痛々しい口上が聞こえ、無数の氷の槍を広範囲に放ったのは、ノリノリでポーズを決めている清水であった。


 その中の一つが局長達の本体を捕えたのか、3人は膝をついている。

 直撃したように見えたが、何らかのスキルか魔道具でガードしたのだろう。傷1つ負ってはいないようだ。


「くっ、ここまでか……」

 そう言いながらこちらを睨みつけている局員達。


「さあ、これで切り札はないのだろう?どうするんだ?」

 一歩、また一歩と近づく飯田に、後退る3人。


 飯田は抵抗するように何かをしようとした3人を、躊躇なく切り伏せていた。


「もう迷ったりしない。敵だと確信したら迷わず切る。ここはそう言う世界のようだからな!」

 悔しそうな顔をしながらそう言う飯田。


 残す敵は私兵達のみ。俺はそう思って私兵達を探す。


「くっ、おい!あれを使え!」

「はいっ!」

 2~30メートル程だろうか?離れたところまで離脱した兵士達が何やら叫んでいる。


 俺は、まだ足掻こうとしている兵士達の様子に警戒を強めた。


――――――

浅野真美子 / 人族 / クラス [魔眼術士] 死亡

力 F+ / 知 E+ / 耐 E

<スキル>

[威嚇] 睨みつけた者に恐怖を与え怯ませる力

[誘惑の瞳] 見つめた者に好意を持たせる力

[狂乱の瞳] 見つめた者の力を引き出し戦意を高める力

[忘却の瞳] 見つめた者の記憶を一時的に消す力

――――――


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