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[完結]引きこもりの少年は異世界で森に引きこもる、はずだった。~幼馴染の聖女の為になし崩し的に異世界を連れまわされた件~  作者: 安ころもっち
第二章・大森林争奪戦

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37.姫様奪還計画 04


 岸本さんから預かった魔道具から発せられた声に、眉間を押さえ唸ってしまった俺。


「い、今のは、岸本さんの声ってことだよな?」

 そう飯田が聞いてくるが、名乗った以上はそれ以外の誰だというのか?


「ああ。これ岸本さんからお前がきたら押せって渡されたんだよな。自己紹介もあったし、もしかしたらお前宛のラブレターか何かじゃないか?」

 俺は皮肉も込めてそう返してしまったが、他のクラスメイト達は大いに混乱し、近くの者通しで彼是話をしているようだ。


「未波、続けてくれ」

「う、うん」

 もう一度ボタンを押す未波。


『まず栄えある初回一発目は、皇帝のUさんと宰相のSさんの素敵な日常を切り取ったものを、心してどうぞ!』

 そんな軽い感じで再開された音声だが、皇帝って……皇帝だよね?


『――― では、明日フランソワーズ様を森へと送れと?』

『そうだ。そしてあの佐田とかいう青年の前で殺せ』

『本当に、宜しいのですか?』

『良いも悪いも、あのような娘、こんな事でも無ければ役には立たぬであろう』

 たまらずそこで音声を止めた未波。


 腕にしがみついていたフランは俺の胸に抱きつき、肩を振らわせている。

 思わずその背中をさする。


「貴様ら!よくもそんな偽りの音声を!」

 魔法局の3人が抗議の声を上げ近づいてくるが、それを飯田が剣を抜き静止させ押し戻していた。


「ゆ、勇者殿……これは」

「少し大人しくしていてくれ……」

 飯田の顔は怒りに爆発するのを耐えているようだった。


「勝基君、これ以上は……」

 フランを心配するように見ながらそう言う未波。


「未波様、お気遣いありがとうですわ。(わたくし)は大丈夫ですので、続きがあるのでしょう?お続けくださいませ」

「フランさん、本当に、いいのね?」

「はい。(わたくし)は勝基様がこうして抱きしめて下さってますので、大丈夫でふわ」

 そう言って顔をぐりぐりして俺にしがみついてくるフラン。


 未波は顔を近づけ小声で話し始めた。


「ちょっとフランさん?それはちょっと卑怯、ずるくない?」

「ずるくはございませんわ。(わたくし)、失意の中で耐え忍んで知るのですもの」

「待って、思ったよりダメージ受けてなくない?いったん離れたら?ねえ、ちょっとフランさん?」

 何を言っているのかいまいち理解できないが、フランの腕をぐいぐい引く未波だったが、フランは俺から離れようとせず諦めたようだ。


「後で話、し合いが必要ですね」

 未波はそう言い残して俺の隣の位置に戻り、再びボタンを押した。


『それでは、明日、森への使者としてフランソワーズ様を送り出しますゆえ』

『頼んだぞ。ああそうだ。その出立の時は勇者にも立ち会ってもらおう。さすれば多少なりとも愛着も芽生えるであろう。フランソワーズは見目だけは良いからな!』

『ではそのように……』

『それにしても異世界人とはなんと甘いことだ。せっかく勇者にも効果があるという高い毒を使って2人程殺したというのに、あ奴らは死に物狂いという気持ちは無いのか?もっと必死でやってほしいものだ!』

 そこで一旦音声を止める。


 衝撃的過ぎて狼狽えてしまう。


「今のは……本当なのか!」

 横井が叫び他数名と魔法局の3人に詰め寄っている。


 飯田も今にもブチ切れそうで拳を握って震えている。


「こんなの!作り物でございます!そんな虚言に惑わされてはいけませんぞ!」

 そう叫ぶ局員達の声に、納得する者は誰一人いなかった。


「志田さん……まだ、続きがあるおんだろう?続けて、くれないか」

「う、うん。わかった」

 飯田の絞り出すような声での願いに応え、ボタンを押す未波。


 飯田は覚悟を決めたように地面に胡坐をかいて座りっ込んだ。


『まったくですな!』

『さて、娘を失った悲しみの父親の演技でも、今から練習しておくとするか!』

 そして、暫く2人のものと思われる笑い声が聞こえた。


『はーい。一発目はここまで!いやー酷い親もいたもんです。で、これを聞いているという事はー?飯田くん、皇帝のUさんの虚言を真に受けて乗り込んできちゃったのかな?てーことで、飯田、あんたってバカだったんだね!』

 未波はそこまでまた音声を止めた。


 飯田はスクっと立ち上がったと思ったら腰の剣を抜き、地面に2度3度と突き刺し叫んでいた。


「岸本さんが言ってたのは、このことか!」

 そう言って地面に剣を深く差した飯田は、魔法局の者達を睨みつけていた。


 飯田、お前も岸本さんに会って何か言われてたのかよ。

 この間初めて会った女性だが、暗躍しすぎて興味がでてきた。サブカル強そうだし。


「あのさ、思わずまた停止しちゃたけど、まだあるかもだから再生してみて良いかな?」

「志田さん、取り乱してすまない。まだあるというなら、続けてくれ」

 俺はできればあれで最後にしてくれと思ったが、願いむなしくまた岸本さんの声が続くようだった。


『さて、お次はー?極悪!貴族S一家の我儘な面々、をどうそ。ちなみに登場人物は子爵、執事、バカ息子に負け犬騎士団長でーす!』

 その音声に一瞬首を傾げるが、その答え合わせをするように、サーなんとか子爵家の私兵だと言っていた流れ星なんたら団だかの兵士達がこちらを睨みつけてくる。


 ああ、あいつらのことか?そう思いながら、岸本さんはなんつーもんを俺らに託してきたのだとこめかみを揉んだ。


『で、陛下に陳情した件はどうなってる?』

『はっ!無事、私兵の同行をお許し頂きました』

『そうであろう。陛下には何かと便宜を図っているでな。子爵家を敵に回す炉言うことがどういう事か、あの小娘達に分からせてやらねばならぬ!』

 ここで私兵達が暴れ出す。


「黙ってろ!次に邪魔したら、殺すっ!」

 もはや勇者とは言い難い飯田の冷たい言葉が兵士達に向けられていた。


 そして、さらに音声は続き……


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