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[完結]引きこもりの少年は異世界で森に引きこもる、はずだった。~幼馴染の聖女の為になし崩し的に異世界を連れまわされた件~  作者: 安ころもっち
第二章・大森林争奪戦

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36.姫様奪還計画 03


 岸本さんの訪問があってから数日後、昼食の準備中にルリが森への侵入者が来たことを知らせてくれた。


『今回はかなり人数が多いようじゃな。カツキ、我が殲滅しても良いのじゃぞ?』

「ルリ、ありがとう。だけどまずは話し合いしてみないとな。いざとなったら頼んだよ」

『もちろんじゃ!』

 ルリが俺に蜘蛛足を絡ませてくる。


 そばにいたコガネも俺の足に尻尾を絡ませてくる。


「みんな、戦闘の準備だけはしておいてくれ」

 俺の号令に慌ただしく動いていたが、野村さんは食事前の時間を邪魔され特に不機嫌そうであった。


 その十数分後、飯田と思われる姿が目視できる距離までやってきたのが確認できた。

 徐々に近づいてくる者達を見て頭を悩ませる。


 また全員で来たのかよ……


 他に知らない兵士やローブ姿の男達もいるようだ。

 当然ながら浜崎達もいたが、あまり恐怖は感じなくなっていた。


「佐田ー!フランソワーズ様を返してもらいに来たぞー!」

 叫ぶ飯田にフランがびくりと体を震わせ、俺の横にきて腕に体を押し付けてくる。


「大丈夫」

 そう言う俺にフランは笑顔を返してくれた。


「フランソワーズ様を、早く解放……する、佐田!お前、フランソワーズ様に何をした!」

 ようやく話し合える距離までやってきた飯田は、俺の隣にいるフランを見て戸惑っているようだった。


「フランが帰りたいって言うなら帰ってもらっても良いんだ」

「貴様ぁー!なにがどうなってる!まさか洗脳でもしたというのか?ちゃんと説明しろ!」

 飯田の返答にフランがまた体をビクリと震わせ、俺の腕にしがみつく力が増していた。


「フランが帰りたいと言うなら連れ帰っても良いんだ。そのかわり、お前が全力で彼女を守れ!」

「佐田、お前は何が言いたいんだ!とにかく、俺はお前を許すことはできない!俺達異世界人が卑怯で野蛮だという(そし)りを受けることは、断じて看過できない!」

 そう宣言する飯田だった。


 説明しろと言う割には人の話を聞かないなと思った。

 そんな中、俺の腕を離したフランがふらふらと俺の前に歩き出した。




「飯田様!勝基様は(わたくし)の命の恩人ですわ!その勝基様に向かってそのような暴言、たとえ勇者様であっても許しはいたしませんわ!」

 そう言ってファイティングポーズをとるフラン。


 その両脇には4体の[カラクリ]人形が同じようにファイティングポーズを取っている。その光景に飯田も、周りの者達も大いに戸惑っているようだ。俺も戸惑っている。


「フラン、メルヘン過ぎて変な空気になってるから、戻っておいで?」

「はい」

 フランは少し落ち込んだ様子でこちらに戻ってきてまた腕に絡まってきた。その顔は少し赤くなっているようで俺の腕は温もりに包まれていた。


「佐田ー!ほんとお前なんなんだよ!フランソワーズ様に何をしたって言うんだ!とにかく、フランソワーズ様は返してもらうぞ!」

 混乱した様子の飯田だがどうあってもフランを連れ戻すつもりのようだ。


 このままでは話が進まないと思った俺は、フランの逆側にやってきた未波の「押す?もう押しちゃう?」という言葉を遮り、別の質問を投げかけた。


「それよりも飯田、クラスメイト達以外にも、今回はおっさん連中が増えてるようだが、助っ人か?」

「そんなことはどうでも……」

「いいから説明してくれよ!」

 俺は強引に説明を求めた。


「この方達はお前達に迷惑を(こうむ)ったという子爵様の私兵団の方々だ。そして、こちらがお前達が前回殺した2名の兵士の弔いとして参加された魔法局の局長、そして局員さん達だ!……佐田、これで気が済んだか!」

「兵士の弔いってのもバカげてるが、私兵?貴族の私兵が何の用だ?」

 俺のその問いに答えたのは玉井さんだった。


「見たことあるなって思ってたけど!あれ、例のあれだよ。私に絡んできた兵士!」

「ああ、あの玉井さんがぶちのめした……」

 俺は少し前に聞いた難癖をつけてきた兵士達だと分かり、ため息をついた。


「ちょっと待ってくれ。では、玉井さんがこの方達に迷惑をかけ、そして叩きのめして逃げたっていう事なのか?」

 飯田は混乱しっぱなしのようだ。


 そんな飯田を見て、あっちの世界では感じなかったけど意外とメンタル弱そうだなと思った。


「勇者殿、奴らのあのような態度、我々も気が収まりませぬ。我々の言い分をぶつける機会を頂いても?」

「あ、ああ。色々思うところはあるだろうからな」

 兵士達5人は少しだけ前に出ると、中央の男がさらに一歩前に出る。


「我こそはサークリット子爵家の誇り高き騎士団!流星騎士団の団長クライン・ゲイルランドとは俺様のことだ!子爵家の貴重な素材を奪った罪!今こそ晴らしてくれる!」

 その口上に合わせ、後ろの兵士達もそうだそうだと囃し立てている。


 それを見て、俺は頭が痛くなってきた。

 なぜそんな嘘がバレないと思っているのか?


「ねえ、あいつらやっちゃって良い?」

「そうだね。もうやっちゃおう?」

 玉井さんと山崎さんがイラついている様子だが、俺はそれをこめかみを揉みながら手で制していた。


「未波、もう良いかな?俺、疲れてきたわ」

「はーい」

 嬉しそうにそう言う未波は、岸本さんから預かっていたカード型の魔道具の上だと言っていた方を飯田の方に向けた。


「志田さん、何を……」

「じゃあ、何が起こるか分からないけど、ポチっとな!」

 身構える飯田に向け、未波がボタンを押した。


 その場に静寂が訪れる。


「あれ?」

 未波も首を傾げながらカードを回したりして確認をしている。


『あー、あー、これでいいのかな?まっ、いっか。ん"ん"ん、さーて始まりました、美少女忍者、由美がお送りする異世界通信局!第一回目は ―――』

 どうやら岸本さんの声と思われるそれが流れ、未波は思わずもう一度ボタンを押し停止させていた。


 拍子抜けした俺は、眉間を押さえ唸ってしまった。


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