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[完結]引きこもりの少年は異世界で森に引きこもる、はずだった。~幼馴染の聖女の為になし崩し的に異世界を連れまわされた件~  作者: 安ころもっち
第二章・大森林争奪戦

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33.帝国からの使者 03


(わたくし)に!帰る場所などありませんわ!」

 俺の言葉は遮られフランソワーズさんがそう叫び俺に迫ってくる。


「ちょ、待って下さい!フランソワーズさんは第二帝姫なんですよね?戻らないとまずいのでは?」

「先ほども言いましたが、(わたくし)は城の中でも要らない子なのですわ!」

 俺は、泣きそうな表情のフランソワーズさんの言葉に、まずは詳しく説明してほしいと伝える。


 兵士達には少し離れた場所で待機させた。

 不満の声はあがったがコガネが唸って威圧をすると、兵士達はすぐに俺の提案を受け入れてくれた。


(わたくし)のクラスは人形術師なのですわ……」

 そう言って話し始めたフランソワーズさん。


 俺は近くに座り込み、彼女の話を聞いていた。


 実力主義の帝国で人形術師。その時点で彼女の境遇がある程度は予想はできたが、まさか皇帝本人が娘ですら不遇な扱いをしているという事は想像もつかなかった。

 只々城の中で衣食住を保証されているだけの存在。

 御付きの侍女も1人だけ、それも持ち回りで手の空いた者が嫌々来るといった日々だったようだ。


 所持スキルは[カラクリ]というもの。

 小さな木の人形を作成して動かす力。なんの力を持たない20センチほどの人形を作り出し、自由に動かすというメルヘンなスキルだった。


 このまま城にとどまり、いずれどこかに嫁ぐという政治のコマでしかなかったはずの彼女が、今回は帝国の使者としての役目を与えられ、有頂天になってここまでやってきたのだと自虐的に笑っていた。

 結局は殺される為だけにここに連れてこられたのだと知った彼女。死んで役目を果たせなかった私は、城に戻ってもどんな仕打ちが待っているのか……


 そんな現実を叩きつけられた彼女は、もはや生きる希望など何も無くなったと呟いた後、再び俺に縋りつき泣き始めてしまった。


 結局俺は、兵士達に帰れと命じて彼女をここに匿うことを選んだ。


「なあルリ、フランソワーズさんを鍛えたら、意外と凄いスキルを覚えたりしないかな?」

 兵士達を帰し、頭の仲で彼是考えた俺はルリにそう聞いてみる。


『そうじゃな、試してみる価値はあると思うのじゃ!』

 ルリの返答に、俺もまた「そうだよな」と声を漏らす。そして、まだ嗚咽を漏らしながら俺を強く抱きしめている彼女の肩をポンポンと叩き、その顔を上げさせた。


「フランソワーズさん、ここで少し魔物を狩って、新たなスキルを開花させてみませんか?」

「……あの、佐田様?新たなスキルと言いましても、私は人形術師でしてよ?役に立つスキルなんて覚えられる保証はあるはずもなく……」

 彼女はそう言ってまた下を向く。


 俺は野村さんの方を見て頷くと、野村さんの方も察してくれたようでそばまでくると、彼女の背中をツンツンとして顔を向けさせる。


「私は千佳、私、調理師なんだよね。最初は料理に使うスキルだけだったけど、魔物を倒し続けたら、[包丁術」ってスキルを覚えてさ!これ見てっ!私の得物!あっ、これ戦闘用のね。調理にはこれ使ってないから安心して?」

 そう言って腰の鞘から抜いたのは刃渡りが40センチ以上ある長くて固い特注の包丁だ。


 その長さに包丁とは思えないが、実際野村さんがそれを握ると[包丁術]が発動しているようで、軽々と操ることができる。俺も試してみたが重くてうまく扱えない代物だった。力の能力値は俺の方が上なのに……


「後ね?最近覚えたのは[解体]ってスキルでね?なんと、可食可能な部位がある魔物なら正確にそこを狙って仕留めることができるの!」

「それは……」

「ね?凄いでしょ?」

「ですがそれは、千佳様が異世界からの召喚者様、特別な存在だから覚えたスキルなのではないでしょうか?」

 不安げな彼女はそう返答したが、その表情は少しだけ明るくなったように見えた。


「取り敢えず試してみたら良いんじゃないの?」

 加藤さんも彼女の手を握りそう言っている。


「そうだよ!ここって魔物が強くてさー、きっとあっと言う間に新しいスキル覚えちゃうよ!」

「そうそう!私達もサポートするから!やってみよう?」

 山崎さんと玉井さんもそばまでやってきて声をかけている。


「フランソワーズさん。私、未波。フランって呼んで良い?」

 少し遅れて声を掛けたのは未波だ。その言葉に少しだけ圧を感じるのはなぜだろう?


「未波様、そして皆様も、(わたくし)の事はフランとお呼びください。そして、(わたくし)も頑張ってみようと思いますので、どうぞよろしくお願いいたしま」

 また涙声になっている彼女だが、その表情は笑顔だった。


「そして佐田様!佐田様もぜひ、(わたくし)の事はフランと!そうお呼び頂けませんか!」

 女性陣の方を向いていた彼女がくるりと俺に向き直り、俺の手を両手で包み込むように握ってそう迫ってきていた。


「わ、分かったよ、フランさん」

「フランです!」

「えっ……フ、フラン!これでいいだろ!」

 フランの暖かな手の温もりに戸惑いながら、フランと呼ぶことを強要された俺は、観念して彼女の要望に応えるのだった。


 その後、フランをどこかへ連れ去った女性陣。

 夕食前には戻ってきたが、何を話していたのかは分からない。きっとここで暮らす上での女性ならではのルールの説明とかもあるのだろう。……俺には気をつけろ、なんて言われてはいないだろうか?

 そんな不安を感じつつ、夕食時には全員で野村さんの美味しい料理頂いた。


 フランは「美味しいですわ!」と連呼してまた泣いていた。


 食後、女性陣に許可を取り、女性陣の寝泊まりしている部屋にさらに一室追加するように[城壁]を操作した。それを見たフランはとても感動していたようだ。


 こうして、新たに加わったフラン。いつまでになるか分からないが多分これも厄介事になる予感しかしないなと思いながら、精神的な疲れを感じ、ルリに抱きしめられるとすぐに眠りについてしまった。


――――――

野村千佳 / 人族 / クラス [調理師]

力 F+ / 知 E- / 耐 E+

<スキル>

[神の舌] 口に含むことで食材の情報を読み取る力

[食材鑑定] 可食できる物の全てを見通す力

[包丁術] 包丁の扱いが上手くなる力

[解体] 可食できる食材を最適なサイズで解体する力

――――――

加藤愛理 / 人族 / クラス [罠師]

力 F- / 知 F+ / 耐 E

<スキル>

[足止め] 自身の周辺の指定場所に見えないくぼみを作る力

[罠感知] 罠を見抜く観察力を得る力

[爆弾付与] 自身の周辺の指定場所に爆発を起こす罠を設置する力

[麻痺沼] 自身の周辺の指定場所に麻痺効果のある液体を設置する力

[魔力節約] スキル使用時の魔力消費を抑える力

[直感] 危険を事前に察知する予測の力

――――――

フランソワーズ・デ・ウイストザーク / 人族 / クラス [人形術師]

力 G- / 知 F / 耐 G

<スキル>

[カラクリ] 木の人形を作成して動かす力

――――――


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