25.新たな生活 02
――― 帝都城内
森から帰ってきてから2週間程が過ぎた。
この世界に恐怖を感じるようになった俺達。
拓海と順二の死からすぐには立ち直ることはできなかった。
俺は拓也と健太の2人と話し合い、ダンジョンへ入る際は他のグループと合流しようと考えた。だが飯田君や浜崎君のグループでは僕達ははっきり言って足手纏いすぎて無理だろうという結論になった。
他の男子のグループと言えば蘭堂君達の特待生組もあるが、そっちも無理だろう。スポーツ特待生である彼らは、元々体力などがずば抜けていた。
さらにはそれなりの戦闘クラスとなった彼らは、実は浜崎君達より進んでいるのでは?と思うぐらい効率よく狩りをしているらしい。
残された女性陣という選択肢の内、浅野さん率いる女子グループは問題外だ。俺達は彼女達に嫌われすぎているから。まるで害虫でも見るような視線で見られている。最近はさらに飯田君達の親衛隊になってダンジョンにもかなり深く潜っているようだし。
残るは世話好きの不和さん率いる女子5人のグループだ。
彼女らはクラスが戦闘向けとは言い難く、森から帰ってからは特に精神的にまいっているようだ。城の人達の僕達の扱いについては飯田君が色々と注文を付けてるとは言え、弱い者への風当りは強く、彼女らは怯えているようにも見えた。
声を掛けてみたら意外とすんなりと一緒に組むことができた。
俺達3人が戦闘系のクラスというのが理由だろう。ダンジョンには行きたくないけど少しでも強くなっておかないとこの先どうなるか分からないという不安は、不和さん達も強く感じているようだ。
話し合いをして5人のクラスの詳細を聞いた。
不和さんは付与術士で柳本さんは商人、北山さんが錬金術師で安西さんは召喚士、中山さんは舞踏師だという。やはり直接的に戦える者はいないのだと再確認できた。
安西さんは召喚術で魔物をや悪魔を呼び出せるようだが、今のところ弱い魔物しか召喚できないようだ。舞踏師の中山さんはいわゆるバフを付与する踊りを使えるスキルを持っているが、恥ずかしがって最初は見せてはくれなかった。
それでも最近ではかなり効率的な連携もできてきていると思う。
20階層で鬼湧きする鬼人と鬼人王の群れを、安西さんが召喚した角兎の群れを囮に魔物の群れを減らし、数が減ったところで男性陣3人で捕獲、女性陣が狩るという連携は今のところ上手くいっている。
もちろん恥ずかしそうに踊る中山さんのバフにより、僅かだが全能力が強化されているのが、俺達が楽に狩れている理由でもある。
もう少し経てば不和さんの付与で装備を強化したら、さらに先にも進めるだろう。最近は飯田君達の装備にも付与を使って強化を行っているようで、そのお礼で資金を貯めている。もう少し貯まったら俺達の装備を良いものに変える予定だ。
なので付与はもう少し先になる。付与するのにも素材が必要だからね。
俺は不和さんと話し合うことが多いので、何となく気になり始めている。かなり良い関係を築けているとは思う。俺以外にも拓也は安西さん、健太は中山さんを推しているようだ。部屋に帰ってからはお互いに「上手く行けば良いな。頑張ろうな」などと励まし合っている。
柳本さんと北山さんは2人一緒にいることも多いようで男に興味はなさそうだが、多分だが、絶対ではないが、あくまで想像の域ではあるが、腐っている可能性があることも2人に伝えている。男に興味が無さそうにしているが、俺達が話し合っているような時だけ2人の熱い視線を感じるのだ。
目が合うとサッと逸らすから最初は俺達3人の内の誰かを好きなのか?と思ってしまったが、それぞれが一人の時は全く興味が無さそうだったから。
こうして、多少の青春を謳歌しながらスキルを増やして行く中、俺達は日に日に佐田への恨みを募らせていった。それは、この世界を楽しんでしまっている俺の死んだ2人への贖罪かもしれない。
それは他の2人も一緒で、それを払拭するために俺達3人は、女性陣が狩りを終えた後にもまたダンジョンに舞い戻り、黙々と魔物を狩り続けていた。
いつか佐田に一矢報いるために……そして、2人の事を罪悪感なしに思い出せるように……
そして現在、そろそろ夕食前という時間帯。
「今日はそろそろ上がろうか?」
「ええ、そうしましょう。もう汗だくで、お風呂入りたいわ!」
不和さんはそう言って袖で頬を流れる汗をぬぐっていた。
そんな彼女がたまらなく魅力的だと感じる。
少しだけ惚けていた俺だったが、不和さん越しにダンジョンを走っている冒険者が見えた。
ソロの冒険者かな?
一人で走る長い黒髪の女性冒険者が見え、そしてこちらを見て驚いたような表情をした後……目の前から消えた。
「えっ……」
思わず口を開けて思考停止してしまった。
「どうしたの横井君」
「いや、今さ、後ろに岸本さんが居たような気がしたんだけど、すぐに消えちゃったんだよね?見間違いかなって思ったけど」
俺の返答に不和さんが何かを考えている。
「あのさ、森で会った佐田君、だっけ?」
不和さんと柳本さん、北山さんは他の中学出身の為、あの森で初めて佐田と会っているはずだ。不和さんが不意に佐田の名前を出したのでそのことを再度思い出す。
「ああ。あの森で……」
「あの人も召喚の時教室にいなかったでしょ?しかもクラスメイトですらないし。それなら、クラスメイトの岸本さんが一緒に召喚されていても不思議はないんじゃないかな?」
「そう、なのか?」
「そうよ!絶対そう!岸本さんも一人で召喚されて、もしかしたら苦労してるのかも!」
俺もその可能性を考えたが、たとえ本人だとしてもソロでこの階層に来て、さらには俺の視界から瞬く間に消えたことを考えると、案外この世界でもうまくやっているのかもしれないと思った。
「じゃあ、今度見かけたら躊躇しないで声をかけてみるよ」
「うん。そうしてあげて。私達も情報共有しておくから!ってことで、帰りましょ?」
俺は、不和さんに賛同し、みんなを集めて帰還の札を使った。
俺達は夕食後にまた来ることになるのだが、俺達は女性陣をエスコートしながら城へと戻って行った。
――――――
横井卓志 / 人族 / クラス [剣士]
力 C / 知 E / 耐 F+
<スキル>
[剣術] 剣の扱いを極めし力
[連撃] 高速の連続攻撃を行う力
[真空破] 剣による真空の衝撃波を飛ばす力
[一閃] 少しの時間無防備になって力を溜めこみ一気に放つ力
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不和恵梨香 / 人族 / クラス [付与術士]
力 F / 知 E+ / 耐 F-
<スキル>
[低級付与/防具] 微力ながら防具の一つに知、耐、運の属性付与を行う力
[低級付与/武具] 微力ながら武具に力、もしくは知の属性付与を行う力
[中級付与/防具] 防具の一つに知、耐、運の属性付与を行う力
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柳本春香 / 人族 / クラス [商人]
力 F+ / 知 G+ / 耐 G-
<スキル>
[算術] 瞬時に高度な計算を完了させる力
[簡易物品鑑定] 物の価値や役目を鑑定する力
[交渉術] 相手の意に沿った言葉を使うことで交渉を有利に進める力
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北山樹里 / 人族 / クラス [錬金術師]
力 G+ / 知 D- / 耐 G
<スキル>
[下級魔導具錬金] 下級の魔道具を作成する力
[下級素材錬金] 下級の素材を作成する力
[中級魔導具錬金] 中級の魔道具を作成する力
[中級素材錬金] 中級の素材を作成する力
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安西萌香 / 人族 / クラス [召喚士]
力 E / 知 F- / 耐 G
<スキル>
[低級魔物召喚] 低級の魔物を召喚できる力
[節約召喚] 召喚時の魔力消費を抑える力
[平行召喚] 召喚できる最大数を増やす力
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中山沙織 / 人族 / クラス [舞踏師]
力 D / 知 G- / 耐 G
<スキル>
[魅了の舞] 少しの時間だけ対象の魔物を魅了し行動不能にする舞踏の力
[鼓舞の舞] 少しの時間だけ対象者の能力を微増させる舞踏の力
[回避の舞] 少しの時間だけ自身の回避を底上げする力
[癒しの舞] 少しの時間だけ対象者の体力を回復させる舞踏の力
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