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[完結]引きこもりの少年は異世界で森に引きこもる、はずだった。~幼馴染の聖女の為になし崩し的に異世界を連れまわされた件~  作者: 安ころもっち
第一章・異世界召喚

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18.城への帰還と皇帝陛下への報告 03


 部屋へなだれ込んできたクラスメイト達から話を聞き、俺は頭の沸騰するほどの怒りを覚えた。


「金村と樫木が死んだ、だと?」

 怒りを抑えつつようやく絞り出した言葉に、横井達は頷いている。


「毒で、元気だったはずなのに、倒れて、城の人達も薬を飲ませてくれたけど、毒の種類が分からないから効かなくて……飯田君、俺、俺……」

 横井はまた泣き出してしまった。


「毒と言うのは間違いないんですか?」

 一緒についてきた兵士にそう尋ねる。


「はい。治癒士の解毒も一般的な解毒剤も効果なく、申し訳ありません」

 深く頭を下げる兵士をみて悔しさが込み上げる。


「志田さんが居れば……」

 誰かがそう言ったのを耳にして、再度怒りが込み上げる。


「佐田の仕業、なんだよな」

 歯噛みして森での出来事を思い返す。


 志田さんの前で良さげな言葉を並べておいて、元とは言えクラスメイトに毒を使うなんて許されるはずがない!

 頭の中に佐田が笑みを浮かべて俺を嘲笑っている光景が浮かび、ギリギリと歯を食いしばる。


「陛下、少し時間をください!俺が森を、佐田を殺して森を奪取します!」

 俺の言葉に陛下は少し驚いた顔を見せたが、すぐに嬉しそうに頷いていた。


 それから俺はひたすらダンジョンに籠った。


 30階層近くまで潜れるようになると、陛下からは国宝だという剣も頂いた。

 建国の勇者が使用していたという聖なる剣だそうだ。その、少し大きめの白銀の輝く剣は、魔力の通りが驚くほど良く、魔導士が持っている杖のように攻撃スキルの威力を高めてくれているように感じる。


 俺はここでさらに強くなり、佐田を殺す……

 忘れぬよう毎日あいつのことを思い出し、その怒りを原動力に変え、目の前に迫る魔物達を切り伏せていった。



◆◇◆◇◆



 今日も城の兵士達とダンジョンへ潜る。


 浜崎達とはもはややっていけない。

 この世界に来てから、俺はあいつらに邪魔者扱いされている。

 あいつらは聖剣士やら双剣士やがチートなクラスを手に入れ、俺は分析官という意味不明なクラスだった。スキルからも戦闘向けではないことは理解できている。


「矢沢様、準備はできております。早く止めを」

 苛立ちながら思いにふけっていると、兵士から冷たい言葉が投げかけられた。


「あ、はい。すみません」

 俺は苛立ちを隠しながら取り押さえられている犬のような魔物の眉間を剣で突き刺してゆく。毎日繰り返し行っている作業だが、俺の能力はあまり上がっていない。


 早く強くならなければ……


 俺は、あの森から帰ってきてすぐの事を思い出す。


 あの時、俺も蜘蛛の化け物の糸により腕に傷を負っていたが、石川や上原は浜崎達に付きっきり治療をしていて話しかけれなかった。仕方なしにオタクな連中の中の神官クラス、金村の元へ行き治療を受けた。

 金村はおどおどしながらもすぐにスキルで傷を治してくれた。


 そんな中、近くにいた兵士が何かを持っているのに気付く。

 なんとなくで[簡易鑑定]を使うと、兵士が持つ彫刻刀のようなその道具は小刀[暗器・神経毒]と表示されていた。


 それに驚き一瞬身を固くしたが、兵士は金村の背後に立った後、すぐにその場を立ち去っていた。その時、金村が一瞬顔を歪めた背後を気にしていたので、あれで刺されたのかもと感じ、心臓が爆発するぐらい激しく動き、冷や汗が流れた。

 すぐにそれが正解だと分かったのは、金村が倒れ込み嘔吐したからだ。


 すぐに先ほどの兵士を探すと倒れ込んでいる樫木の近くに立っていた。その目は冷たく樫木を見下ろしていた。


 次の瞬間、その兵士はこちらを見て目があってしまった。

 殺されると思った。


 結局、2人は死んだと後から報告され、俺は城から逃げ出したいと思ったが、やはり監視の目は厳しく抜け出せそうにはなかった。

 それから俺は浜崎達となるべく一緒に居ようと思ったが、もはや能力差がありすぎると笑われた。

 俺は[弱点看破]に[罠看破]もある。きっと役に立てると伝えたが、そんなものは必要ないと嘲笑われ、俺を連れて行ってはくれなかった。悔しくて視界がゆがんだ。


 こんな世界……大嫌いだ!


 浜崎達にハブられた俺は、それならば自分自身が少しでも強くなるしかこの世界で生き残る道はない。そう思って恐怖を抑え兵士達にダンジョンへの同行をお願いした。

 兵士達は快く同行をしてくれてはいたが、俺を見る兵士達の目は、弱いものを蔑んでいる目だと感じた。


 いっその事、あの兵士の事を誰かに伝えようか?

 そうも思ったこともあったが、流れは佐田が犯人だと決めつけている様子だったので躊躇した。今の流れで城の兵士が毒を、なんて言ったら……みんなに信じてもらえれば良いが、半信半疑な状態ともなれば、兵士達の次の標的にされ、殺されてしまうかもしれない。

 佐田が犯人。それで良いなと思った。

 そもそもあいつは、森の中で俺の事を可哀想な奴を見る目で俺の事を見ていた。昔はオドオドして俺の目も見れなかったくせに……かろうじて見えたクラスが"引きこもり"なんて爆笑物のクラスだったくせに……


 また頭の中で彼是と考えながらも、黙々と作業を繰り返していた。

 [弱点看破]で正確に魔物達の眉間を突き刺してゆく。


 絶対に強くなって、浜崎達にも、この国の奴らにも、俺の事を認めさせてやる!そう思って兵士達に交代をしてもらいながらも、人一倍ダンジョンに籠っていた。


――――――

矢沢大和 / 人族 / クラス [分析官]

力 F- / 知 D- / 耐 G+

<スキル>

[簡易鑑定] 人物や物の名前や簡単な内容を見通す力

[弱点看破] 対象者の弱点を見抜く力

[罠看破] 危険な罠を感知する力

――――――


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