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[完結]引きこもりの少年は異世界で森に引きこもる、はずだった。~幼馴染の聖女の為になし崩し的に異世界を連れまわされた件~  作者: 安ころもっち
第一章・異世界召喚

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14.懐かしき者との再会 05


「偉そうに!全部その化け物のおかげだろ!それに、女に守ってもらうなんて、どんだけ情けない奴なんだ!だからお前は虐められるんだ!」

 そんな浜崎からの言葉には怒りが込み上げてくるが、俺の思いに反応するように浜崎も、そしてそれに同調するように罵声を向けてきた者達も痛みに悲鳴をあげているようだ。


 ルリの怒りの表情からもその糸が奴らを締め上げているのだろうと理解できた。


「佐田、俺達はこのまま戻ることを約束する!だから、解放してくれるように言ってくれないか?」

 諦めた様子の飯田がそう言うと、飯田に迫っていた糸が少し緩んでゆく。


「ありがとうルリ」

『うむ!』

 俺はルリの白い上半身を抱きしめた後、飯田達の方にもう一度顔を向けた。


「動けるものからそのまま後退しろよ。何かしたら、分かってるよな」

 そう言って俺は飯田をじっと見る。


「あ、ああ。分かっている。みんなも、このまま戻る!変なことはしないでくれ!俺達は負けたんだ……俺も、みんなも、もうここには手を出さないことを覚えておいてほしい!

 それに関しての文句は俺に言ってくれ!全ては俺の……力不足だ」

 そう言って飯田はじりじりと後退る。


 それに合わせてルリは飯田の後ろに道を作り出していた。


 他の者達も解放されてゆく。

 中には泣きながら逃げるように岡田達を追っかけている者もいた。


 だが、強く締め付けていた者達はそのまま締め上げられているようだ。俺の判断を待っているのかもしれない。


「浜崎、お前達はどうする?」

「呼び捨てすんな!強い味方を付けたからって偉そうに!お前なんか、うぐっ、くっそー!卑怯だぞ!ぐ、ぐぁー!」

 俺を罵倒する浜崎の体に巻き付いている糸が明らかにギリギリと締め上げられているのが見た目からも分かる。


 チラリと見たルリの顔が怖くてすぐに視線を浜崎に戻していた。


「このまま死にたいのか?」

 俺の問いに、浜崎からは涙声が返ってくる。


「う、ぐ……なんで、お前なんかに……」

 中々折れない浜崎を見て、俺に屈するのがそんなに嫌なのかとイライラしてしまう。


 未波や他の女の子達は空気を読んでいるのか黙ってそれを見守っている。


「俺は、俺はもう降参する!だから殺さないでくれ!」

「ずるいぞ!俺もだ!俺ももう許してくれ!死にたくない!」

 そう言っているのは石川と清水だった。


 残りは浜崎とさっきルリを負傷させた上原、そしてコガネに魔導具を投げつけた女の子だった。中学の時はいなかったと思うから他の中学だった子なのだろう。

 その女の子は戸惑ったようにこちらを見ながら泣いている。あの子は何も文句言ってなかったけど……魔導具外してもらわないとな。


 俺を虐めていた5人の中で矢沢だけは早い段階で開放されているので、もう他の4人とはつるんでないのかもと思ってしまった。


 よく見たら飯田はかろうじてこちらが見える位置でこちらを見守っているようだ。その近くに開放された他の者達も集まっている。木々が邪魔で見ずらいが、まああの位置なら何かあってもルリが何とかしてくれるだろう。


「後は2人だけだな。どうする?」

 2人は懲りずにまた俺を罵倒するのでさらに痛い思いをしているようだ。


「あの!私はもう絶対にここに来ません!お願いです許してください……うう、なんで私だけ!うわーん!」

 そんなことを言って号泣し始めた女の子。未波からも困惑した視線を向けられる。


「お前、あの魔導具?あれの外し方知ってるか?」

「びえ……えっ、あれですか……あっ!知ってます!持ってます!これ、あれ?手を、右のポケットに鍵が……えっと、外して?これ、外すから!お願いですー!」

 彼女は必死に鍵について伝えようとしている。


 その後、糸が緩められ地面にべたりと座り込むように落とされた彼女は、お尻をさすりながらポケットから短い棒状の何かを取り出した。


「これ、これをあの網についてる装置の穴に嵌めると解除されます!嘘じゃないです!本当なんです!」

「わ、分かったから!」

 俺が宥めるようにそう言うと、ルリの糸がその鍵と思われる棒を受け取り俺の方へと引き寄せていた。


 俺はその棒を受け取るとコガネの元に走る。


「コガネ。待たせたな」

『なに。大丈夫だ。それより、すまなかったな。役に立てなかった』

「何言ってるんだ。今外すからな」

 俺は急いで装置に棒を差し込むと、淡い光を放ちながら網がほどけるように戻ってゆき、やがて元のボール状に戻った。


『カツキ!』

 そう言って俺にのしかかるように跨ると、俺の頬を舐め始めるコガネ。


「ねえ、その狼さんはコガネって言うの?カツキのお友達ってことで良いんだよね?」

 少し距離を取っている未波。


「ああ。東側の主、ゴールデンネオウルフのコガネ。俺の大事な仲間だ」

「そうなんだ……コガネさん、よろしくお願いします」

 そう言ってコガネに手を差し出す未波。


『うむ!ミナミと言ったな。お主のおかげでカツキも蜘蛛女も助かった。礼を言う。ありがとう』

「そんな。元々は私達が……」

 お手をするように前足を乗せたコガネの言葉に言いよどむ未波だったが、どうやら誘惑に我慢することができずコガネのふわふわの銅の部分に手を伸ばす。


「ふ、ふわぁ!凄い!凄いよカツキ!コガネさんふわっふわだよ!」

『う、うむ……』

 興奮気味の未波にコガネも引いている気がする。


「すごいだろ?言っとくけどコガネもルリに負けず劣らず強いからな!」

「うん!凄く早くていつ現れたか分からなかったもん!」

「だろ!」

 俺は、自分でも気づかずについ子供の時のように楽しく会話をしてしまっていた。


「ぐっ、うおー!」

「や、やめてくれ!うぐぅ、もう降参、ぐぐぅ、降参する!頼む、助けてくれー!」

 俺は背後から聞こえた浜崎の叫び声と、上原の観念した声に視線を向ける。


 その視線の先には、締め付けられて藻掻く2人と、イライラした表情をしてこちらも見ているルリの顔が見えた。


「ご、ごめんつい……」

 俺は慌ててルリの元へ走り寄り、その白い体に抱きついていた。


 背後から「あっ」という声が聞こえたが、今は聞こえなかったことにしよう。


「ひ、ひー!」

 解放された上原は一目散でみんなの元へと走って行く。


 俺は、ルリの体に頬を寄せながら1人取り残された浜崎の様子を見る。


「ゆる、して」

 苦しそうに藻掻きながら呻いた後、浜崎は絞り出すようにそう言った。


 地面に落とされた浜崎は、負傷したのか足を引きずるようにして飯田達の待つ場所へと戻って行った。


「これで終わりかな?」

 そう思った時、遠くから叫び声が聞こえた。


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