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[完結]引きこもりの少年は異世界で森に引きこもる、はずだった。~幼馴染の聖女の為になし崩し的に異世界を連れまわされた件~  作者: 安ころもっち
第一章・異世界召喚

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12.懐かしき者との再会 03


 目の前のクラスメイト達は、まるでファンタジーロールプレイゲームのような鎧やローブを身に着け、俺の大切な場所を無遠慮に攻撃し続けていた。


「まずは話し合いしようよ!勝基君だって事情があるんだよ!さっきからあの女郎蜘蛛さんだって、そこの狼さんだって、勝基君を守ってくれているように見えるよ!話し合えばきっと何か、そう、解決できる何かがあるはず!お願いみんな!」

 未波が俺をかばうように前に立ちふさがっている。


「おい!また俺達が可愛がってやるから!今すぐここから出て来いよ!」

「俺達がこの森を有効に活用してやるよ!」

「そこの化け物蜘蛛!俺様の聖なる剣技で八つ裂きにしてやるよ!」

「そっちの狼は俺がやる!毛皮を剥いだら良い装備品になるだろ?」


 だが、その未波の背中越しに見えた中学時代のクラスメイトだった4人が俺にそんな言葉を投げかけ、俺を以前と同じように笑いながら見ていた。

 この4人は俺を執拗に虐めてきた奴らだ。だが、その一員だった矢沢がこちらを黙って見ている様子だったのが気にかかる。[偵察]で確認するち矢沢のクラスは分析官であった。

 これが原因か?こんな世界でも弱い奴は仲間外れにってことか?そんな想像に少しだけ胸がすっとする。ざまーみろ!そう思った。


「だめだよ!ここはきっと勝基君の大切な場所なんだよ!なんで壊さなきゃならないの!同じクラスメイトなのに……みんな、酷いよ!」

 未波が声を張り上げ他のクラスメイトに呼び掛けているようだ。


 未波のクラスは聖女か……[偵察]でそのステータスを確認してあっけに取られる。未波の事は聖女様って呼ばなきゃならないか?そんなことを考え、そのあまりにイメージとピッタリなクラスに笑いがこみ上げてくる。


 未波と仲の良い女子4人なのだろう。俺と未波、他のクラスメイトの様子を伺いながら未波のそばへと集まってきている。

 だが俺は、未波も、そのそばにいる子達も信用できず警戒しながら様子を伺っている。俺の最優先事項はルリやコガネ達、拠点の仲間を守ることだ。


「佐田!お前も人間ならその魔物達を倒して一緒に来い!俺がお前の事も導いてやる!」

 クラスの優等生、勇者となったが飯田浩平が偉そうに命令する。


 さすが勇者様。覗き見た能力の高さに吐き気を覚える。

 他にも、明らかに俺のことを軽蔑した視線でこちらを見ている者達の視線に、息苦しさを感じる。俺の事を知らない奴らもいて困惑しているようだが、それでも敵視した目で俺も見ているように感じる。


「俺はここから出る気は無い。そして、お前達にこの場所を開放する気もない!俺からこの場所を奪う奴らを、俺は絶対に許さない!」

 クラスメイト達に右掌を翳した俺は、[強制退去]のスキルを発動する。


 スキルをコントロールして未波達以外のクラスメイトに向かって強烈な突風を放った。


「未波、それに他の女達も、あいつらと一緒に帰りなよ。ここが俺の居場所だから邪魔しないで。俺の事は忘れてくれていいんだ。向こうでもそうだっただろ……」

 俺はそう言って中学時代と同じように未波を拒絶する。


 中学に入ってからは眩しいぐらいに可愛くなった未波。

 そんな未波と一緒にいるのが恥ずかしくなって、思わず俺は未波を避けたんだ。未波もはじめはそれに構わず話しかけてきたが、それにも空返事を返していた。1か月もすると未波も諦めたように俺に話しかけなくなっていた。


 未波は、あの時と同じように俺を悲しそうな顔で見ていた。


「佐田君すまん。俺達にも立場ってものがあるんだよ。この任務をやり遂げるっていう責任もな!」

 そう言いながら清水が放ったのは巨大な石柱であった。


 清水は飯田と同じグループのモテ男。そんな清水のクラスは魔導士か……うらやましいステータスだ。放たれ攻撃は[魔導の極み]のスキルによるものか?さすが魔導士様だ。魔法を自由に操れるようだ。


 そんなことを考えならがらも使い慣れた[防壁]を発動する。

 目の前に猿の枝投げ攻撃も防ぐ鉄の壁が出現する。だが清水の放った鋭く尖った石の柱によりその鉄の防壁は難なく貫かれた。


 瞬間的に危険を感じて身構えるが、今の俺には何ができるわけでもない。精々身構えて奇跡を信じることだけだろう。


 この世界に来てからは常にルリが守ってくれていた。今までこんな危険は感じることは一度も無かった。

 俺はこの世界に来て初めて死を恐怖を感じた。


『カツキ、大丈夫かえ?』

 俺を貫こうとしている柱は怪我を負ったルリが必死で糸に搦め捕ってくれたようで、俺の顔の前で無効化されていた。尖った先が俺の目の前にあり体が思わず震えてしまう。


 ルリがそれをクラスメイトの方へと投げ返す。

 ドシンと大きな音がした後、清水がスキルを解除したのか消えていった。


「ありがとうルリ、助かったよ。でも大丈夫なのか?足がそんなに……」

『この程度の傷、大丈夫じゃ。だが。不意打ちさえなければコガネと我で何とかなったものを』

 そう言いながらルリがちらりとコガネを見る。


 コガネは未だに動きを封じられている。

 しかし、森の主でもあるコガネを動けなくするとか、あれは魔導具の類いなのだろうか?コガネの力はS+だ。物理的な力では抜け出せないということだろう。厄介だなと舌打ちをする。


『ちっ、あの犬っころめ。カツキのピンチだと言うのになんと役立たずな奴じゃ!』

 ルリがコガネを見て悪態をついていた。


「ルリ、コガネが庇ってくれなかったらルリがあの網の中だったんだよ?」

『それは、そうじゃが……』

 ルリが気まずそうに少なくなった足をたたみ下を向く。


 クラスメイト達は先ほどのルリの反撃に悲鳴を上げながら腰を浮かせた所為で、強制退去の突風に煽られ20メートル程後方に飛ばされていた。しかしその僅かな距離ではどうしようもないことも分かっている。

 だが、誰であっても、もう二度と俺の居場所を奪わせる気は無い。


 スキルを解除する。

 それにより突風が止むと、飯田がこちらに向かってゆっくりと近づいてきた。


「これ以上近づくな!こっちも奥の手を使わなきゃならないからな」

 飯田にそうハッタリをかます。


 正直こちらに反撃の糸口は無い。

 だが、慎重な飯田のことだ。もしかしたらこれで……


 俺は淡い期待を込めて飯田を睨みつけていた。


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