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[完結]引きこもりの少年は異世界で森に引きこもる、はずだった。~幼馴染の聖女の為になし崩し的に異世界を連れまわされた件~  作者: 安ころもっち
第一章・異世界召喚

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11.懐かしき者との再会 02


「お前、その蜘蛛に飼われてるのか?」

 私が複雑な思いに胸を押さえている中、浜崎君がそれを聞く。一体どんな関係なの?私も知りたい!


 勝基君は浜崎君達を見て歯を食いしばっているようで、浜崎君への返事はなかった。

 そんな中、飯田君が浜崎君より前まで移動する。


「討伐対象と一緒なら丁度良い!佐田、俺達と一緒にそいつを捕縛してこっちに来い!皇帝陛下には俺が話を通してやる。お前も鍛えて俺達のように強くなれよ。そして一緒に魔王を倒し、元の世界に、日本に帰るんだ!」

 飯田君がそう言ってさらに一歩前に出ると、握手を求めるように手を伸ばす。


『あんなことを言うておるが、どうするのじゃ?』

 女郎蜘蛛は口元を緩め勝基君を見つめそう尋ねている。


「なんで俺があんな奴の言葉を聞く必要があるんだよ。馬鹿馬鹿しい!」

『たしかにのぉ』

 女郎蜘蛛は口元を白い手で隠し笑っているようだった。


 勝基君はあの女郎蜘蛛と仲良くやっているようだ。胸の中に少しだけ嫉妬心が芽生えていた。


「[聖なる裁きホーリージャッジメント]!」

 そんな中、クラスメイト達からいつの間にか離れていた上原君が手を前に突き出し叫んでいるのが見えた。


 多分だけどあっちからは上原君は死角になっていて見えないだろう。太い光線のような攻撃がその右手から放たれると同時に、それが女郎蜘蛛に直撃したように見えた。

 激しい光が突き抜け、背後にあった建物を貫く光景を見て、私は発狂したように悲鳴を上げた。


 女郎蜘蛛は勝基君を庇うようにしながらも直撃を避けていたようだが、その体が大きく削り取られているように見える。


「上原君、何するの!勝基君もいるんだよ!殺す気なの!」

 私はこの状況に堪えきれず泣き叫んでしまう。


「油断している今がチャンスだろ!それにこれは連発できないスキルだ!絶対に当てる必要があったんだ!あれを殺さなきゃ目的が果たせないのは、志田さんだって分かってるだろ?」

 そんな私を上原君は凄い目で睨みながらそう言った。


 上原君は神術士と言うクラスだったはず。今のは一撃必殺のスキルなのかな?みんなやっぱりこの世界に来ておかしくなってる気がする。戦闘向きのクラスになったクラスメイトは特に好戦的になった気がする。


 溢れる涙を手で雑に拭うと勝基君の方に目を向ける。

 女郎蜘蛛の体に手を添え心配そうに声を掛けている様子が視界に映った。ルリって言うのはあの女郎蜘蛛の名前なのかな?


 その女郎蜘蛛は、勝基君が手を添えている反対の一部が焼け漕げたようになっていてそっち側に生えていた蜘蛛の足も半分無くなっていた。それを見て胸がキュっと締め付けられた私は、今すぐ駆け寄って[治癒]をかけてあげたい衝動にかられる。


 いや、躊躇している場合じゃない!そう思って走り出そうとした時、私の決断が遅かったのだと後悔し歯噛みする。


 すでにその女郎蜘蛛に向かって狩人クラスの杉浦さんが兵士から捕獲用にと渡された魔導具を投げつけていた。投げ入れられたそれは、空中で広がり網状になって女郎蜘蛛の上から降ってきている。


 次の瞬間、私の視界に金色の何かが横切った。

 それはいつの間にか現れた金色の狼であり、その狼が網状の魔導具をジャンプして咥えると、そのまま引っ張るようにして女郎蜘蛛から剥ぎ取っていた。


 だが、広がっていた網状の魔導具は、反対側に反り返るようにして狼の全身を包み込んでいた。


『がふっ!こんな、もの!』

 暴れる狼だったがすぐに無理だと判断したのか動きを止め大人しくなっている。


「コガネ!」

 勝基君がそれを剥ぎ取ろうと網状の部分を引っ張っているが外すことはできなかったようで、その狼を魔導具ごと引きずるようにして、私達から距離を取る様に奥へと移動させていた。


「あれは、金狼?西のエリアのボスか?」

「多分そうなんじゃねーか?金狼ってのが何匹もいるなら別だがよー?」

 後ろで誰かがそう話しているが、私は勝基君が苦しそうに顔を歪めていることだけが気になって息苦しくなっていた。


 そこからは他のクラスメイト達が攻撃を繰り返し、そこにあった城壁などは破壊されていた。クラスメイトたちの攻撃でボロボロになって破壊されてしまったその建物などを見て、私は堪えきれずに「やめて」と叫び前に出た。


「まずは話し合いしようよ!勝基君だって事情があるんだよ!さっきからあの女郎蜘蛛さんだって、そこの狼さんだって、勝基君を守ってくれているように見えるよ!話し合えばきっと何か、そう、解決できる何かがあるはず!お願いみんな!」

 戸惑いながらも必死で叫ぶ。


 愛理達もそばに来てくれて私の手を握ったりしてくれている。


「うっせー!あいつは魔物に飼われているだろ!見てわかんねーのか?そんな奴に何を言っても無駄だろが!」

「そんなことない!」

 浜崎君の言葉を遮る様に反論する。


 浜崎君は大きく舌打ちをして周りを見渡す。そして みんな戸惑った様子で動けないのを確認すると、私から視線をそらしていた。


 私はみんなの顔を見ながら、何とかしなきゃと必死に考えていた。



◆◇◆◇◆



 俺が帝国の者と思われる奴らと初対面しようと部屋の外に出ると、俺の前にやってきていたのは帝国の者達ではなかった。


 懐かしく、そして二度と会いたくはなかった元クラスメイト達であった。

 俺はその面々を吐き気を堪えながら睨みつけていた。

 知らない者も何人かいたが、ラノベあるあるのクラス召喚なのだろうか?だったら高校に進学していない俺がなぜ巻き込まれたのか……尤も俺にとっては異世界に召喚されたことは歓迎すべきことだったが。


 嫌な再開から数分程で拠点はめちゃくちゃに壊され、コガネはよく分からない魔導具のようなものに捕縛され今は周りを威嚇しているようだ。

 なにより悔しいのがルリが俺を庇ったが為に大怪我をさせられてしまった。


 ルリは大丈夫だとは言っているが、一刻も早くこいつらを追っ払って回復に専念させたい。


 この事態を招いたのは全て俺の所為だ……俺が躊躇せず全員を殲滅するように先に伝えておけば、少なくともルリがあいつらなんかに負けるはずが無かったはずだ。


 口内には、強く歯噛みした所為か鉄の味がしていた。


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