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[完結]引きこもりの少年は異世界で森に引きこもる、はずだった。~幼馴染の聖女の為になし崩し的に異世界を連れまわされた件~  作者: 安ころもっち
第一章・異世界召喚

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10.懐かしき者との再会 01


 毎日ダンジョンへ入り狩りをする。

 私達は2週間が経ってもそれぞれのグループで能力をを上げるため狩りを続けていた。


 ダンジョンでは魔物を狩ると魔石と呼ばれる石が落ちる。

 たまに武器や魔導具などが落ちるけど、私達が入れる低階層では稀で、出たとしてもあまり高価な物はでないようだ。

 それでも能力は確実に上がり、私も毎日自分が強くなっているのを実感していた。


 勇者である飯田君達は30階層というこの世界でも超一流の冒険者と認められる階層を超え、さらに進んでいるようだ。浜崎君達もそれに迫るぐらい進んでいるらしい。


 そして今、皇帝に命じられた討伐依頼を受け、クラスメイト全員で森へと移動していた。

 全員と言っても、召喚時には病欠していた岸本さんは召喚されなかったようだし、あまりクラスに馴染んでいなかった藍川君もいつの間にか城からいなくなっていたようで、最近みかけていないなと思っていたが、今も実際一緒には来ていなかった。

 どこに行ってしまったのだろう?


 目的地は帝都から20キロ程離れた西にあるウイストザーク大森林、通称・魔宵の森で、そこの東側の主である強い魔物、女郎蜘蛛を討伐する依頼になっていた。


 その森は豊富な資源があるが同時に強い魔物が出没し、中でも森の主である女郎蜘蛛は厄介でこの世界の上位の冒険者達が集まっても討伐できない程の脅威となる魔物のようだ。

 この森自体の豊富な資源はもとより、森の中心部には手付かずのダンジョンがあると言われているようで、そこを確保できれば人々の暮らしはさらに良くなるそうだ。


 何時もは偉そうな皇帝が、「民を守る為には必要なことなのだ」と頭を下げていたので、よっぽどの事なのだろうと思った。


 魔物を狩り続けた私はさらに[範囲回復][聖結界]が使えるようになった。

 装備もローブに杖と、本来の後衛の装備にはなっているけれど、いざと言う時の為に腰には細身の剣を差している。


――――――

志田未波 / 人族 / クラス [聖女]

力 G+ / 知 C / 耐 G+

<スキル>

[結界] 自身の指定した範囲で耐物耐魔の結界を作り出す力

[治癒] 癒しの力で傷を回復させる力

[浄化] 解毒効果のある光を放つ力

[範囲回復] 周囲に常時回復の領域を作り出す力

[聖結界] 周囲に魔の者を浄化する領域を作り出す力

――――――


 現在は森の中に入り、浜崎君達が先陣を切って進んでいる。


 暫く森の中を進むと色々な魔物が出現し、それらを浜崎君達が軽々と倒している。

 ダンジョンとは違い倒した魔物はそのまま残るので、本来は毛皮や肉、体内の魔石などそれぞれに需要のある部分を回収するようだ。だが今回は全部無視して先へと進んでいる。


 急に大きな何かの影を感じ身を竦めると、京子が私を引っ張りその何かから助けてくれた。


 京子は影術師のスキルも増え、危険な気配も察せるようになったらしく、今も私を掴んでいるのは[蔭分身]で作り出した黒い影でだった。


――――――

玉井京子 / 人族 / クラス [影術師]

力 G / 知 D- / 耐 F+

<スキル>

[認識阻害] 他者の意識から外れる力

[影分身] 真っ黒な影の分体を作り自由に操作する力

[周辺察知] 周囲の気配を感じる力

――――――


 私の立っていた場所にはドスンという音を立て大きな枝が落ちている。

 もぎ取られたような大きな枝が……


 さらには前方では中島君が大盾で同じように飛んできた枝をはじき返していた。中島君は浜崎君のグループの重戦士というクラスで、[肉体強化]などのスキルが使えるそうだ。

 私も緊張しなながら身構えていると獣の唸り声も聞こえ、さらに不安になる。


「進もう!」

 飯田君の合図で先を進む。


 途中で枝を投げつけてきているのは木の上にいる大きな猿だった事が分かり、それを清水君が岩の柱を飛ばし倒していた。[魔道の極み]というスキルにより、ある程度の属性魔法が自由に使えるようだ。


 さらに進むと、目の前には城の壁のようなものに囲まれた、まるで城壁のようなものが見えた。

 警戒しながらも近づくと、開けている入り口からは竈のようなものまで存在していた。建物もあり明らかに誰かが住んでいる場所のようだ。


 帝国の兵士達の防衛拠点なのだろうか?そう思った私は、その建物の一つから人が出てくるのが見えた。


「誰かと思ったら……」

 小屋から出てきてそう言った男性を見て、私は夢を見ているのかもしれないと思った。


 心臓がバクバクと激しく脈打っている。


「誰かと思ったら、佐田じゃねーか?」

「マジかよ!もしかして引きこもってても召喚されちゃったってこと?同じクラスメイトでも無いのに?マジでウケルんだけど!」

「おい、喜べよ!俺達がお前も助けてやるぜー!」

 浜崎君達の言葉に反応を示さない男性。


 それは私の幼馴染であり、中学の頃に苛めを受け不登校になってしまった勝基君であった。


『なんじゃ?また煩わしい者達が入り込んだと思うおったが、カツキの知り合いだったのかえ?それにしても悪意の籠った言葉を吐き連ねておるが……よもや此奴らはカツキの敵ということかのぉ?』

「ひっ!」

 勝基の背後から巨大な蜘蛛の下半身を持った、真っ白な顔をした青い髪の女性の魔物らしきものが現れ、私は思わず悲鳴を漏らす。


 周りからもクラスメイト達の悲鳴が聞こえた。

 私も含め、皆が少し後退り戦闘態勢を整えているようだった。


 あれが噂の女郎蜘蛛なのだろう。


「勝基君!」

 気が付いたら私は私は勝基君に向かって叫んだ。


 けれど勝基君は右手を軽く上げただけだった。


 そのまま女郎蜘蛛の長い脚に引き寄せられるように抱かれる勝基君を見て、襲われているようには見えなかったが、それでも私の心臓はさらに激しく脈打っていて、今にも倒れそうになっていた。



◆◇◆◇◆



――― 少し前


 朝食に兎肉を堪能した俺は、部屋の床に胡坐をかき微睡んでいた。


『カツキ、先ほどから侵入者がいるようじゃがどうする?』

「またいつものように、冒険者が狩りでもしてるんじゃないのか?」

『そう思っておったがの?結構な数でこちらを目指して真っ直ぐに移動しておるようじゃ。帝国の者が遂に我を倒しにでもやってきたのやもしれぬな』

 そんなことを言いながら笑うルリ。


「そんな!大丈夫なのか?」

『心配するでない。何人来ようが我の敵ではないのじゃ!』

 そう言われてほっとする。


 アクアとレッドには一応建物の中に隠れてもらう。今日はまだコガネは自分の根城に戻っており来ていない。

 俺は心を落ち着かせようとルリを抱きしめる


『来たようじゃな』

「じゃあ、まずは俺が出ていってみるよ。話し合って何とかできるかもだし」

『帝国の者と話じゃと?まあ無理かとは思うが一度試してみるのもよいじゃろうて』

 そう言って笑うルリに見送られ、俺は部屋から出るのだった。


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