この夜に
五月
窓辺の寝台
あなたの香りに包まれる幸福な時間
ぼくたちは月の光を浴びて
夜を越えていく
白く輝く頬を少し傾けて
あなたは問う
こうしてみつめあっているのに
なぜこんなに寂しいの?
こうしてぬくもりを分けあっているのに
どうしてこんなに悲しいの?
それはきっと
こうして愛しあうほど
こうしてみつめあうほど
いつの日か必ず訪れる永遠の別れを思ってしまうから
互いの手の優しさを
ぬくもりをわかちあうほど
あたたかな声の消えた世界にただひとり残される
その耐えがたい苦しみを
みつめあう瞳の光の消えた世界にただひとり生きる
地の底の抜けるほどの悲しみを
あなたも予感するからこそ