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スカウト

「どういうことだ? オークをすでにけしかけられた、だと……?」


エリフェスの問いに俺は頷いて、


「俺がゴブリンの相手をしてる間にな。で、正面からオーク、背後からはハルに弓矢で狙われもしたよ。MPK、って言うんだっけ?」


「それでは、オークは……? いや、そうか。君が倒したんだな、カイ」


エリフェスは腕組みをしつつ、俺の頭上を凝視する。


「"カイ Lv9"か……レベル9のプレイヤーが、そんな状況下でオークを倒すとはにわかには信じられないところだが、しかし君は私のあのスキルを防ぎ切っているからな……」


「あのスキルって、そんなに強いものだったの?」


「スキル自体は中級帯のものでそれほどでもない。君も近接職でレベル20を越えればいつかは覚える機会があるかもしれない。しかしな、それはあくまでも"レベル20帯"の技なんだよ」


「はあ」


「……ふっ、あまりよくは分かっていないようだな。まあいい。今はそんなことよりも、このMPK犯の処遇だ」


エリフェスは隣で腰を抜かしたように尻もちを着いているハルを指さした。

ハルがビクリと肩を震わせる。


「カイ。君はその男をMPK犯だと知っていて庇ったということになるが、何故だ?」


「訊かなければならないことが残ってたからな」


「訊かなければならないこと? それはいったい……?」


「オークからオーク肉がドロップするか、否かだ」


エリフェスが、ハルが、全員が沈黙する。

……。

……。


「オークから料理に使えるようなお肉がドロップするかしないかが知りたいんだ、俺は」


「いや、2回言わなくても聞こえている。ただ……予想だにしない問いだったものでな……」


エリフェスはため息混じりに、


「オークは肉はドロップしない。内臓はドロップして、薬の調合に使われなどするがな」


「くっ……そんな……」


嗚呼、我が夢、破れにけり。

オークって豚の亜種みたいなものだし、

食えるのではと思っていたのに……


「モンスターから肉は落ちるんじゃなかったのか……」


「いや、亜人種でなければ落ちるが? 牛モンスターのアカベッコーとか、蛇モンスターのマムッシーとか……」


「マジでっ!?」


新たな情報だ!

アカベッコー?

マムッシー?

今度はそいつらを追いかければモンスターカレーが作れる・喰えるというワケだなっ?


「それでカイ、この男に訊きたいことというのは?」


「あ、それだけ」


「そうか。ならばもういいな」


エリフェスはそう言って槍を回転させると、

ザクリ。


「ぁえ……!?」


ハルは目を白黒させて……

自分の胸を一直線に貫く槍を見ていた。


「これから幾百のデスをもって償ってもらうぞ、MPK犯」


「そ、そん、な……ッ!?」


ハルの体はバラバラと光の粒子となり、その場から消え去った。

それはプレイヤーの末路……デスだった。

直後、エリフェスのプレイヤー名が赤くなる。


「さて、これから私たちはヤツを徹底的に潰す仕事があるのでな。これで失礼する……と本来ならそう言うところだが、」


「?」


「なあカイ。君、私の所属するクラン──宵の明星へと加入しないか?」


エリフェスはそう言って俺を振り返った。

ここまでお読みいただきありがとうございました。


もしここまでで

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― 新着の感想 ―
[一言] あぁ〜バイバイオーク アカベッコーはどこだ!w
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