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天方くんは不潔です!

 

「学校でなんて……不潔すぎますぅぅ!!」

「哀川さん!? 誤解だよ哀川さーーーーん!!」


 哀川さんが俺に対しあらぬ誤解を抱えたまま、走り去っていく。

 しかし、コアラモードに入った心春を引き剥がすこともできない俺が追うこともできず……いや、果たして万全の状態でも、哀川さんを追えたかどうか。

 それほどに、哀川さんは速かった。


 流石だ哀川さん……県予選ダントツの平均得点率1位は伊達じゃないんだね……!

 俺、バスケは詳しくないんだけど、平均40点超えって凄いの? 凄くないの?


 まぁ、それはそれとして。


「大丈夫ですよ天方くん、哀川さんもきっとわかってくれます」

「そうかな……なんかもう、だいぶヤバい気がするんだけど」


 明日から、哀川さんの席、めっちゃ離れてそうな気がする。

 それだけならまだ立ち直れるけど、クラスの女子からゴミを見る目で見られたら立ち直れないかもしれない。


「見る人が見れば、どちらが本命かなんて一目瞭然です!」

「結局二股やろーからは離れられないんですねわかります」


 しかもそうじゃねぇ! 


「それに多分、今更です」

「そうだね主に君たちのせいでね!?」


 明日からは、二股野郎に校内不純異性交遊男まで加わるのかと思うと気が重い。

 9月の頭以上に学校行きたくないよぉになりそう……帰って日向咲に慰めてもらおうそうしよう。


「……ハルのほんめーはボクなんですけど」

「ハイハイソウデスネソウデスネ」

「ハルはボクに告白だってしたんですけどー!」

「痛っ!? 痛い! おま、痛い死ぬ!!」


 小柄なくせに意外と力強い心春に締められると……死ぬよ!

 鯖折りなんていやー!


「ほらほら三枝さん、天方くんも痛がってますし、それくらいで」

「ハルのひよわ」

「あ、なんだ? 胸貸してやってんのにその態度は、離れるか?」

「……もうちょっと」

「はいはい、ごめんね蓮見さん、付き合わせちゃって」

「いえいえ、こんな状態の三枝さんを放っておいたら、何か間違いがあってもインターセプトできませんから」

「間違いって」


 そうですね、先日は蓮見さん本人が、お母さんにインターセプトされましたもんね。

 あれ、絶対様子窺ってたよね……タイミング完璧だったもん、窺ってないとしたら恐るべき察知力としか言いようがないよ、あれが年の功……おっと、今背筋がぞくっとしたぞ? 風邪かな?



「はー……うん、もう大丈夫、さんきゅーハル」

「どういたしまして、そろそろこの癖、直そうな心春」

「んー……考えとく」


 考えとくて。

 将来的に、俺がお前のそばからいなくなる可能性だってあるんだぞ、お前……ん?


 俺が、いなくなる?


「? どしたのハル」

「んー、いや、なんでもないわ、そろそろ帰るか」


 今の自分の思考に、何か引っかかるものを感じたが……いや、おそらく錯覚だろう。

 そう結論づけた俺は、鞄を手にして立ちあがった。

 えーっと、今日はどっちの日だっけ……なんかテスト中の放課後はずっと三人でいたから、よくわかんなくなっちゃったなぁ。


「あ! 帰る前にスーパー寄って帰りたいんだけど!」

「三枝さん……アレをするんですね……」

「ふふふ、そうだよ、アレをするんだよ蓮見さん」


 ふふふ、と二人で顔を突き合わせて笑う姿は、若干……いや。

 かなり怖かった……え、何、何をするの二人とも? サバトでも開催するの?

 この二人が仲良くきゃっきゃしてるってだけで、すでに不気味なんですけど!?


「ハル!」

「天方くん!」

「は、はい!?」


 な、何!? 


「今日は三枝さんのおうちで、みんなで甘いものパーティです!」

「今日はケーキ焼くぞーホールで焼くぞー!!」

「ふふふ! クッキーとかも焼いちゃいますよー!」


 どうやらこれから行われるのはサバトではなく、お菓子パーティらしい。

 この二人が作り出すと相当な量を作りそうだからなぁ……。

 これから待ち受ける、二人のお菓子の量が一体どれだけになるのか。


 胃薬、一応準備しておいたほうがいいかなぁ。

 過去のお弁当を思い出した俺は、途中で薬局へ寄るべきかどうか、本気で悩むのだった……。

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