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遅いよ!


「ちょっと日葵、あんたまだ学校行ってなかったの?」

「まだ時間に余裕あるしいいだろ……」

「よくないわよ、心春ちゃん、待たせてるんじゃないの!?」

「あー、いいのいいの、もう……ははは……」


どうせあいつも、もう先に行ってるだろ。

なら、わざわざ早く家を出る必要はない。

ギリギリのギリギリまで家にいたって、全く問題ない。

ああ、お茶が美味い。


「はー……あんたと心春ちゃんと、何があったか詳しくは聞かないけど……」

「だいたいはひまからも聞いてんだろ? ……そういうことだよ」


精一杯、陰のあるイケメンを気取ってやろうとしたら「キモい」と返された。

あれ? ここの家の人、なんか俺に当たり強くない?


「あーあ、心春ちゃんに捨てられたら、あんたもう結婚できないわねぇ……」

「うるせぇ!」


泣くぞ!


これ以上傷を抉られてはたまらないと、俺は予定よりも早めに家を出ることにした。

それでもいつもと比べるとかなり遅い時間だ。

これからはこんな時間に出ても、誰にも何も言われないんだなぁ……。

いや、母さんには言われるかもだけど。


そうだ、何も心春にフラれたからって悪いことばかりじゃないじゃないか!

朝だってゆっくりだし、夕方も寄りたいところに寄って帰れる!

なんなら今日はもうこのままサボって……



「遅いよ、ハル!」


それは、いつも心春と待ち合わせをしている交差点に差し掛かったところだった。

そこに、いるはずのない人がいて……。


「え……」

「もう!遅れるんだったらメッセ送ってくれないと、心配したんだから!」


なんで……。


「なんでいんの……?」

「なんでって、いつも一緒に行ってるじゃない! ほら、早くいかないと遅刻しちゃうよ?」


待て。

待て待て待て、落ち着け、時に落ち着け。

俺をフったのに、夏休みの間も一度も連絡がなかったのに、なんでこいつがいるんだ!?



『ご、ごめん……ぼく、ハルのこと、男の子として見たことない……』



「う……」

「? どうしたの、ハル? 早く行こうよ」


脳裏に過るのは、夏休み前の心春の姿。

戸惑い、申し訳なさそうな顔で俺を見る、彼女の……。


「わ、悪い……俺、忘れ物したから、一回帰るわ……」

「そうなの? ぼくも行こうか?」

「いや、いい! 一人で行くから! じゃあな!!」

「あっ、ハル!?」


……冗談じゃない。

心春と、一緒に登校? 出来るわけないだろ!

 

それに……。


それに、なんでそんな平気な顔してられるんだよ……三枝 心春……っ!!

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