重骨格猟兵
グワアッ!
「サン!」
「サンさん!!」
「はい?」
「あんたの機体落ちてるよ!」
「ジェットノズルが飛んじゃってるよっ?」
「ホントですか!?」
「あんたのコンピュータが警報出してるのが」
バシュッ!!
バン!
「もう間に合いました」
「感謝します、ジャム少尉殿!」
「別に良いんだけどね・・・」
俺の機体は、整備不良で戦線に投入済みだから。
今こうしてパラシュート降下で生き延びたが。
この機体は、歴戦のおフルだから。
新人の俺には頭が痛い問題だ。
ああ、俺はサン。サン・チャイ。
貧乏だから、この戦争で軍人に成ったが。
ハッキリ言って、この変なロボットが戦う戦場は。
どう見ても何かが足りない。
みんな知ってるくせに言わない。
つまり、まる見えだから、簡単に歩兵に食われるんだ。
大きいとは目立つのだな。
巨大でもないが、5・6メートルくらいか?
運転席が最上部にあるから見晴らしはいいが。
簡単に狙撃されるし。
対重歩兵ライフルで簡単に撃破されるし。
ホバリング走行して高速で必殺が持ち味なのに。
この作戦は、輸送機から高高度降下して、ジャングルに強襲。
高台で構える陣地を殺すって立案は。
どう見ても無茶だな。
自軍の機体が足りないもん。
援護の航空支援も攻撃ヘリも、
向こうでヤってる重要ミッションで忙しくて来てくれないし。
「サン!」
「サンさん!」
「あんた狙われてるのが分かんないの!?」
「え?」
「早くハッチを閉めろ!あんたバカかっ?」
ジャングルで偽装するのを忘れていた。
カモフラージュが・・・
ビシッ!
「痛いっ!」
ライフル狙撃された、ほっぺたから血が出た。
「待ってろサン!」
「あたしが殺ってやるよ!」
ドスドスドス・・・
バキバキバキバキ!
「ジャム少尉!」
「跳躍しないのですか?」
「いいんだよ!」
ガンガンッ!!ガガガガガン!!
あのオバサン、ガトリング砲をぶっ放して自然破壊してる。
でも狙撃兵はもう逃げたよ?
俺の小隊は3機編隊。
隊長のジャム少尉と新兵の俺。
あと一人居るんだけど、ココにいないな。
「ジャム少尉!そんなのいいからホルストさんを!」
「ああ、そうね!」
「救難信号があそこだから、早くしないと敵に捕まるぞ?」
「解ってるなら早くしましょうよ!」
「サン!」
「あんたの機体はダメだから、あたしが少佐に言ってやるよ!」
「すみません」
ドウンっ!
「きたよ!歓迎式典だぞ!」
「うあわ、ダメですよ」
「こんなのは相手できませんよ少尉!」
「解ってるよ!」
「肩部ミサイルを全部使いな!!」
「早くロックしろ!新米!」
ピピピピー!
ボシュボシュボシュ!
「はい、全部撃ちました。早く逃げましょう」
「いいんだよ新米、あたしが殺っとくから」
「ホルストを助けに行け!」
「は?」
バリバリバリ!ガンガンガンガンガン!!
「早くイケってんだよガキ!!」
「了解!」
ビーコンが出てる地点。
ドスドスドス・・・
「こんなジャングルじゃ高速ホバリングも跳躍も意味ない」
「ホルトさん!」
「ドコですかー?」
「・・・ここだよ新人」
「わ、何してるの?」
「隠れてるんだろーが!!」「バカかお前はっ?」
「すみません」
「救難信号出しただろーが」「ここなんだよマーキングは」
「ほら、あの高地を取るぞ!」
「はへ?」
「こっから跳躍できるぞ!!」
「距離は足りるんだよ、いくぞガキ!!」
「お前のライフルは使えるか?」
「はい、イッパツも撃ってませんから」
「あー!肩武装無いじゃんかよ!」
「俺のだけでやんの?」
「すみません」
「撃ってきたぞ!!」
ビィビィビィビィ!!
ひゅんひゅんひゅん!!
ぶわあっ!!
2機は高所に一瞬でジャンプ。
上空からライフルを撃ちまくる。
バンバンバンバンッ!!
ボムブッ!!
よし!基地が燃えたぞ。弾薬庫と燃料庫に撃たねば。
「あ」
ホルストさんが全部殺ってくれてる。
さすがプロだな。
ボーーゥン!!
「大爆発するぞサン!!」
「翔べっ!」
「は、はい!」
ブワッ!
「・・・あ、ジャム少尉が来た」
ビューン!!
上空を飛翔しながらジャム少尉が次の目標を叩いてる。
「・・・・」
この人達は最低の装備でも平気で戦えるんだな。
「はい、ええそうよ!ここは確保しました!」
「あっちのほうが戦力が足りないのよ!」
ブスブスブス・・・
何か高台が真っ黒て言うか、ここらへんが変わっちゃったぞ。
俺たち破壊王だな。
投降した敵兵士を憲兵に引き渡すんだったな。
「サン!」
「サンさん!」
「はい」
「あんたの機体燃えてるよ!」
「何で判んないのっ?」
「うわああ!!」
「ダメだよ、自動消化できないよ!」
「早く飛び降りろ!!」
「ひぃぃ!」
ズッドーーンっ!!
「・・・もうイヤ」
着地で足首ねんざ。
後方の野戦病院で休める。助かったな。
「サン」
「あんたついてるよ」
「火薬の神がついてるぞ」
「な、何それ?」
「硝煙の匂いだ、産まれ持った才能だぞ?」
「は、ははは」
このオバサンちょっとおかしい。
とにかく生き延びたな俺は。
「ホルストさん、何してるんですか?」
「記念写真だよ、ほら笑え小僧!」
「は、はは」
パチリッ